ベルギーのイングヴェイとの
異名をとるダッシャン・ペトロッシ率いる
MAGIC KINGDOMの4thアルバム。
見た目(体形)がどんどん
本家イングヴェイに似てくる一方、
逆に音楽性はイングヴェイから離れていくという
不思議な人であります。
ただ音楽的にはそれは悪いことではなく、
単純にネオ・クラ・メタルとして
非常に高い完成度を誇る作品です。
1曲目のイントロ曲「In Umbra Mea」に続く
「Guardian Angels」は王道パワー・メタルで、
序盤からその辺のイングヴェイ・フォロワーとの
違いを示してくれています。
ヴォーカルはクリスチャン・パリンで、
この人はADAGIOの4thアルバム
「Archangels in Black」でも歌ってた人ですね。
なかなかパワフルでカッコいい歌声です。
3曲目の「Rivals Forever」は
いかにもの様式美疾走ナンバー。
ダッシャンが並行して活動している
IROM MASKと何が違うのか、
全く分からないネオ・クラな
安定の曲であります。
5曲目の「Ship of Ghosts」は
展開のあるメロ・スピといった感じで、
ベートーヴェンの第九をモチーフにした
ギター・ソロもやはりいかにも。
7曲目の「Four Demon Kings Of Shadowlands」は
縦ノリのパワフルでメタリックなナンバー。
この辺もイングヴェイに無い要素で、
独自の世界観を展開しています。
8曲目の「With Fire And Sword」は
ベタな疾走ネオ・クラ・ナンバーで、
やはりこういう曲があると安心感があります。
ギター・ソロもいかにもの展開ですねぇ。
9曲目の「Dragon Princess」は
イントロがマイケル・シェンカーの
「Doctor,Doctor」そっくりで
一瞬カヴァーかと思いましたよ。
そしてギター・リフが
オジー・オズボーンの
「I Don't Know」風という
なかなか強引な展開ですが、
原曲を知らなければ
恐らく違和感無いでしょう…(苦笑)。
10曲目の「Battlefield Magic」では
気を取り直して(?)
再び典型的なネオ・クラ疾走ナンバー。
なかなかドラマティックな展開で、
これまた心地よいです。
で、ラストが
シェンカー+オジーと書いた
「Dragon Princess」の
アコースティック・ヴァージョンで
これはいらなかったかなぁと…。
ダッシャンはこの曲をえらく気に入っているようで、
公式のMVもこの曲であります。
このセンスは理解できないところですが、
アルバムとしてはなかなか聴きごたえのある
良い作品であります。
ただ僕はこの人には
イングヴェイ直系の音楽を期待していたので、
妙な物足りなさ、寂しさを感じてしまいますね。
まあこの辺は
僕の持病(?)なので、
様式美メタル、
パワー・メタル好きなら
買っても損は無い出来です。
☆「イングヴェイっぽさが希薄なのは、良いのか悪いのか。成長もあるが、寂しくもある」…☆☆☆☆☆☆☆☆星8つ!