何でもかんでも「不謹慎」では日本が止まる | 欧州野球狂の詩

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日本生まれイギリス育ちの野球マニアが、第2の故郷ヨーロッパの野球や自分の好きな音楽などについて、ざっくばらんな口調で熱く語ります♪

 つい先日「今日からこのブログは平常運転にします」と書いたんだけど、どうしても言いたいことがあったので書かせてください。


 最近、首都圏での買占めや被災地周辺での燃料不足が、深刻化している東北関東大震災。被災者の方々は、非常にストレスがたまるような毎日を、懸命に過ごしてらっしゃることと思う。地震、津波、そして今度は原発による放射能汚染という悪い意味でのコンボが続いているけれど、必ずこの悪夢が終わる時は来る。俺たちも頑張って自分なりのやり方で支えるから、どうか頑張って生きぬいていただきたいと心から思う。


 そんな中で広がっているのが、スポーツやイベントなどの自粛ムードだ。ご存知の通り、プロ野球実行委員会は25日の開幕について、12球団で話し合いを続けている(少なくとも、25日の同時開幕は不可能な情勢だ)。サッカー界では、Jリーグのシーズン開幕が4月中旬にまでずれ込むことも予想され、ザッケローニ日本代表監督が開催を主張していた、モンテネグロ・ニュージーランドの両国との親善試合も中止された。その他、バスケのJBLや、バレーのVリーグが今季の残り試合を打ち切るなど、あらゆるイベントが取りやめとなっている。


 もちろん、今は輪番停電の絡みもあり、電力の節減が最も求められる時期だ。先日パチンコ屋のことでブチ切れた記事を書いたのも、「貴重な電力を無駄遣いするな」という一念からだ。来場者の安全を考慮するという意味でも、まぁ中止や打ち切りはやむを得ない判断かもしれない。ただ、俺が首をかしげたくなるのが、「不謹慎だ」という理由だけで、イベントやスポーツ活動を中止しろという声が相次いでいること。例えば、昨日組み合わせ抽選が行われた高校野球なんかがその典型だ。時には、大リーグのオープン戦の結果記事が、ヤフーのトップページに出ただけで「不謹慎だ」とかいう馬鹿がいるらしい。


 あのね、いくら地震で大変だからって、開催できるもんまで何でもかんでも止めてどうすんの?八百屋が野菜を売ること、大工が家を建てること、商社マンが商品の仲介をすることと同じように、アスリートにとってのスポーツはれっきとした仕事なんだよ。仕事ということは、当然そこには経済活動があるということ。例え災害が起こっても、被害を直接受けていない地域がある限り、経済はしっかり回していかなきゃいけないんだ。既に、日経平均株価は1000円以上の大暴落を見せている。「不謹慎だ」というだけの理由で、日本経済を止めるようなことがあれば、それこそ自殺行為なんだよ。


 甲子園に関して言えば、開催地はもちろん関西地方。幸い、関東と関西では電気の周波数が違うので(それが、今回の輪番停電実施の遠因にもなってるわけだけど)、大会開催自体には電力的な影響はない。高校生の大会ということで、あまり延期してしまうと授業に影響が出るという、現実的な問題もある。それに、大会を実施することだって、考えようによってはきちんとしたチャリティーになるんだ。


 今、現地は本当に大変な状態で、こうした事態が起きた時の訓練を何年にもわたって積んでいるトッププロの自衛隊員でさえ、非常に難しい状況にある。そんな時に、その分野では素人のアスリートが現地入りしたところで、いったい何ができる?せいぜい現地で足を引っ張るのがオチだ。それなら、チャリティーのために大会を開いて、そこで全力でのプレーを見せる。そしてその収益を全額、1円たりとも残さずに被災地に寄付するとか、そういうやり方を取った方が、よっぽど理にかなっているんじゃないの?日本人全員が人命救助できるわけでも、燃料を運べるわけでも、スポーツができるわけでもない。それぞれがやれる分野で貢献するしかないんだ。


 「不謹慎だ」の一言で片づけてしまうのは簡単だ。でも、それを免罪符として経済を止める、それぞれができる貢献の手段を放棄することなんて、絶対にあってはダメだと思う。今この瞬間にも、国民生活は続いているんだから。それを考えずに何でもかんでも食って掛かるのは、愚か以外の何物でもないよ。