山梨日日新聞 | SYP友の会

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ご想像通りというか、ご想像以上に更新は不定期です。                                 ちょっとした暇つぶしにお読みいただければ嬉しいです。


先日、私が取材協力させていただいた
企画連載記事「孤人社会」④
本日の山梨日日新聞に掲載されました。


孤人社会

第3部「就活」の向こう側


すれ違う「若者と企業」


就活を「入り口」に職場で居場所を失い、
孤立に向かってしまう若者たち。
原因や問題は、すべて企業の側にあるのだろうか。


終業まで、あと3分。
胸ポケットに入れたスマートフォンが震えた。
正面のデスクに座っている新入社員からのメールだ。
わざわざ何だろうと思って開くと、
「やっぱり飲み会には参加しません」の文字。
驚いて顔を上げたが、
新入社員は平然とパソコンに向かったまま。
「口に出して言えばいいのに」
との思いは言葉にならなかった。
 

この新入社員をどう教育すればいいのか。
上場企業の人事担当者から相談を受けた
人材育成コンサルタントの内田和俊さんは、
「言いづらいことこそ、直接顔を合わせて
説明するように指導を」と伝えた。

担当者の戸惑いや悩みに理解を示しつつも、
若者文化と企業文化の間にギャップがあるのは
いつの時代も同じ、と考えている。
 

現代の若者は「ゆとり世代」とやゆされるが
30年前にも「新人類」と呼ばれる世代があり、
世代間の壁は指摘されていた。

ましてや「ウィンドウズ95」が発売された頃に生まれ
スマートフォンを巧みに操って育ったデジタル世代と
アナログ時代に入社した会社の要職を担う中高年世代とでは
コミュニケーションへの考え方が異なるのも当然。
「問題はそのギャップを埋め、一人前の企業人として
育てる余裕が職場になくなってきていること」


バブル崩壊後の不況と成果主義を重視する風潮を背景に
現代の企業側は若者に「即戦力」としての資質を強く求める。
それに応えられないと
「適応する能力がない」と切り捨ててしまいがち。
三くだり半を突きつけられた若者が
居場所を失い、追いやられていく。
内田さんが説く「孤立の背景」だ。