今日の山梨日日新聞に、現代の若者の生活スタイルが
コミュニケーションに及ぼすかもしれない悪影響に関して
おもしろい記事が載っていたのでご紹介します。
「借りる」といえば、アパートや婚礼衣装などが思い浮かぶ。
若者なら次々新作が登場する音楽CDやDVDあたりか。
必要な時に安価で手軽に使えるレンタル商品。
生活様式の変化や景気低迷の影響などを受けて一層広がりをみせる。
女性用の補正下着、ブランドバックや宝飾…。
昨年は歴史・武将ブームで甲冑が、ペットや農園の貸し出しも人気だ。
高齢化を背景に介護用品は既に買うよりレンタルが定着している。
レンタカーの利用は、駐車場代など自家用車の維持コストが
稼働率に見合わない都市部で消費者に浸透。
街乗りは軽乗用車で、キャンプなら四輪駆動車、高級車やスポーツカーなども
TPOに合わせて選べるよう店側も業態を進化させている。
レンタルは効率的で使い勝手いい。
ただ一方で、以前は男性のステータスシンボルであった
マイカーを持つことに今の若者が魅力を感じないといった具合に、
「モノを持つ喜び」が薄らいでいる風潮を感じてならない。
「欲しい」という単純な発想、そして手に入れた喜び、
年月がたつほど強くなる愛着。
こうした思いは使い捨て時代の中で、少しずつ風化してしまったのだろうか。
借りては返す繰り返しが、
若者たちのモノに対する抑揚のない思いを助長しないか心配だ。
「欲しがらない」感情が、さらにモノから生身の人間、
人と人とのコミュニケーションにまで広がらないことを願うばかりだ。
(2010年5月11日 山梨日日新聞「風林火山」より)