先週の土曜日3月27日の日本経済新聞プラスワンに
私のインタビュー記事が掲載されましたのでご紹介させていただきます。
(ちなみに私の担当は後半部分「飲み会は終了時間を予告」になります)
若者気質を知って、新人指導
もうすぐ4月、職場に新入社員が入ってくる。
「辛抱が足りない」「覇気がない」などと批判されがちな若い世代だが、
上司や先輩が「俺(おれ)の若いころは……」といった古い価値観を持ち出しても
指導はうまくいかないもの。専門家に新入社員との接し方、最近の若者気質を聞いた。
企業向けにメンタルヘルス等の研修を手がけるジャパンEAPシステムズ
(東京都新宿区)の松本桂樹さんは、上司側、部下側双方からの相談を数多く受けている。
若者の相談で目立つのは「教えてくれない」「認めてくれない」「理解してくれない」の3つ。
一方、上司の相談で多いのは「分からないことを聞きにこない」「あいさつしてこない」
「飲みに誘っても付いてこない」の3つだという。
若者が「こない」理由として、松本さんは今の学校教育の手厚さを指摘する。
「大学は学生を集めるために教育をサービス化し、
高校のようにクラス分けして担任がつくことも。
就職の際もガイダンスを丁寧にやってくれる。
アルバイトをしてもしっかりした教育研修をしてくれる。
だから今の若者たちは入社後に会社が教えてくれるのは当然の権利だと思っている」
新人から来ないなら、こちらから行動するしかない。
松本さんがすすめるのは、一対一で、定期的、継続的に話す機会を設けることだ。
時間は1回につき20~30分程度で十分。
「仕事はどうだ、楽しいか?」。その程度で構わない。
逆に長時間だと、つい上司や先輩が余計な助言をしてしまいがち。
基本は聞き役に徹すること。
相手が持っている能力、特徴、長所などを読み取るように努めて、
まずは人間関係を築く。その上でなら新人も先輩からの助言を素直に聞くようになる。
飲み会は終了時間を予告
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「酒を酌み交わせば相互理解が深まる」といった意識も若者には通用しない。
「俺様社員をどうマネジメントするか」(ダイヤモンド社)などの筆者、内田和俊さんは、
飲み会や懇親会に誘っても来ない理由を数百人の若者にインタビュー調査したことがある。
多かったのは「飲み会は嫌いじゃないが、だらだら飲むのが嫌だ」という意見だ。
公私の区別をきっちり付けたがる最近の若者は2次会、3次会と続き、
明け方までとことん飲むような飲み方を敬遠する。
そこで上司や先輩が新人を飲み会に誘うときは、
終了時刻を明確にしておくことをすすめる。
なるべく負担にならない夜9~10時ぐらいまでにすると参加率が高まるという。
「ここで注意してほしいのは、盛り上がったからといって当初の約束を破り、
2次会、3次会へとなだれ込むと、彼らは二度と来なくなる」と内田さんはくぎを刺す。
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もちろん新人指導は常に彼らの価値観に合わせればよいわけではない。
ときには厳しく臨むべき場面もある。
例えば社会人としてのルールや会社の就業規則などを教えるとき。
雇用不安の影響もあり、最近の若者は、
どこでも使える実践的なスキルを優先して学びたがる傾向がある。
そのため社会人としての基本ルールや就業規則などをないがしろにしがちだ。
松本さんは「学生まではお金を払って教育されていたが社会人は
労働の対価としてお金をもらう。そのためにルールを守る必要があり、
守れなければ社会人としてはじかれる、ということを
最初に教え込まなければいけない」と強調する。
そのコツは「言動を修正するまで何度でも言い続けること」(内田さん)。
新人がふてくされているように見えても、あきらめてはいけない。
言うのをやめると「容認された」「これでいいんだ」と思われる。
「入社1~2年の間は吸収が早くどんどん成長する勝負の時期」と内田さん。
ここを逃すと矯正は難しい。時間とエネルギーをかけて新人を育てることが大切だ。
(ライターは、上田真緒さん)
