山梨日日新聞に連載されている総合診療医の安東満さんの
「患者との会話から学ぶ-納得の医療を求めて」に、
聴く側(訊く側)そして伝える側の双方にとってのヒントがありましたのでご紹介します。
症状整理し正確な診断
今回は、「七つの『ど』」を診察の現場でどう活用するのかについてお話ししましょう。
何となく頭が重い感じはするが、はっきりしない……。
例えば、そんな症状を訴えられた患者さんが来たとしましょう。
ですが、これだけでは何の病気なのかは分かりません。
そこで、「七つの『ど』」の登場です。
「どこが」。こめかみのあたり。
「どんな感じ」。重く、しめつけられるような痛みを感じる。
「どの程度」。薬が必要なほどではない。
「どんなとき」。1年くらい前から、ときどき起きる。
「どうなった」。症状が出ても一晩寝ると、治まっている。
「どうすれば」。お風呂に入って、体が温まると、かなり楽になる。
「同時に」。激しい目の疲れがある。
いかがでしょう。
あいまいだった症状が一気に整理された感じがするのではないでしょうか。
これだけの情報があれば、医師は目の疲れが引き起こした頭痛だろうと診断できます。
この患者さんがパソコンの画面と長時間向き合う仕事などをされているならば、
この診断が正しい可能性はより高くなります。
-略-
例えて言うならば「七つの『ど』」とは、
患者さんが感じている症状を整理する七つの箱のようなものです。
そして、症状を整理することは、正確な診断をするためには
欠かすことができない大切なことなのです。
読者の方が病院を訪れた際には、必ず問診票を書かされると思います。
その時に、「七つの『ど』」を意識して記入していただけたら、
診察はとてもスムーズにに進むと思います。
決して、難しいものではありません。
どんどん「七つの『ど』」を利用してみてはいかがでしょうか。
(2010年1月21日(木) 山梨日日新聞より)
マネジメントをする際、上司は部下の症状を把握することが肝心です。
まず部下の症状をしっかりと把握しないと、正しい処方(適切なマネジメント)はできません。
診断と処方の関係を、もう一度、見直してみて下さい。
そして、診断には「聴く」ことが大切です。
「聴く」には「観る」ことも含まれていますのでお忘れないように。
拙書「仕事耳を鍛える」―ビジネス傾聴入門(筑摩書房)の
P141~にも、「診断」と「処方」の関係を詳しく説明していますので、
同書をお持ちの方はご参照ください。