16. プラスの刺激    ( 2005年 8月21日 )

依存体質の人たちが集まると、コミュニケーションを通じて
彼らはマイナスの刺激を受けていきます。
比較、焦り、嫉妬、敵意、誹謗中傷、足の引っぱり合い‥‥。
一方で、主体者が集まると、彼らはプラスの刺激を受けていきます。
SYPシステムが提供するワークショップ形式の研修、
特にチームワーク研修では、後者の現象が顕著に現れます。
参加者は数ヶ月間のプログラムの中で、数々の体験を通じて、
多くの「成果」、「変化」、「気づき」を手にしていきます。
また、私たちスタッフも集合研修と個人セッションを通じて、
参加者全体の意識とモチベーションが飛躍的に向上しているのを感じます。

朝日新聞 生活欄 ひととき より

「ひまわり娘の瞳 」   静岡県三島市 武士貞子さん 幼稚園教諭 54歳

 先月下旬、漢字検定5級の合格通知が来た。
中学1年生程度の内容だったが、自信がない答えばかりで
情けない思いをしていただけに、うれしかった。
 受験前、受けるかどうか迷っていた私に、
夫は「ダメもとでやってみれば」と笑った。
「このー!よし、やってやる」と意欲がわいた。
 試験当日、会場で昔の教え子に会った。彼女ももう小学6年生。
ずっと車いすの生活だが、いつも明るく前向きで、まん丸の大きな瞳は輝いていた。
付き添っている母親も同じだった。
その日も昔と変わらずに、にこにこ明るい母子の姿があった。
 周りは小中学生がほとんど。
彼女に「先生、何級を受けるの?」と聞かれたときは恥ずかしかったが、
「学ぶ意欲に年齢はない」と自分に言い聞かせた。
 合格通知を受け、彼女も受かったのか気になった。
何回も受話器を取ったが、「もし落ちていたら」と
かけられずにいたところに、向こうから電話があった。
「先生、受かったんです。今度は4級を受けてみようと思います」
弾んだ声が受話器から跳ね返ってくる。ひまわりのような顔が目に浮かんだ。
 次に進むのはやめようと思っていたのに、彼女につられて「じゃあ、私も」
夏ばてして弱っていた心に、ひまわり娘から元気をもらった。
10月の受験に備え、問題集を買ってきた。 


17. コミュニケーションの実態  その3  ( 2005年 8月28日 )

集合研修で紹介するあの数字には数々の教訓、ヒント、真実が隠れています。
現実のコミュニケーションだけでなく、ドラマや映画を見ていても
私たちは非言語から多くのメッセージを受け取ることができます。
もちろん、その一方で、相手も私たちの非言語メッセージを受け取っています。
そして、たいていの場合、これらの作業は無意識下で行われています。

経営者を始め管理職の方々などリーダーシップを発揮している人や
トップセールスマンなど、目覚ましい成果を上げている人たちにインタビューをすると、
成功者の多くは「人は理屈ではなく、感情で動く」と、おっしゃいます。

朝日新聞 「天声人語」より

「郵政民営化」はおれの信念だ。殺されてもいい」
「民営化に反対することは、手足を縛って泳げというようなものだ」
今回の衆議院解散劇で、小泉首相の言葉は、たんかを切るようだ。
 それが人の心を高ぶらせるのか、世論の支持率が上がっている。
「生死を問わずつかまえろ」「やつらをいぶり出せ」
ブッシュ大統領も西部劇を思わせるような表現で、
同時多発テロ直後の米国人の心をつかんだ。
 昨今の政治では、説得の論法よりも、感情に訴える短い言葉が人を動かす。
「かつて、政治家の演説は、わざわざ演説会場まで聞きに行くものだった。
政治家は論理とレトリックに工夫を凝らした」
故ケネディ大統領のスピーチライターだったソレンセン元補佐官に、
そんな話を聞いたことがある。
 テレビ時代の政治家は、視聴者がチャンネルを切り替える前に、
刺激的な言葉を投げつけねばならない。
首相の解散会見の視聴率は時を追うに従ってうなぎ登りだった。
 名演説というと、「人民の人民による人民のための政治」
というリンカーン大統領のゲティズバーク演説を思い出す。
あれは国有墓地の奉献式で追加的に行われたあいさつだった。
メーンの演説は、雄弁で名高いハーバード大元総長が2時間も行った。
リンカーンはわずか3分間で、写真班がレンズの焦点を合わせているうちに終わった。
 それでもリンカーンの言葉が残ったのは、その崇高な理念にもよるが、
何よりも彼が米国の分裂を防ぎ、奴隷を解放したからだろう。
小泉首相の言葉を、歴史はどう記憶するするだろうか。


18. 視点を変える  その2  ( 2005年 9月 4日 )

私たちは「あるもの」ではなく「ないもの」に焦点を当てがちです。
意識的に「あるもの」に焦点を当てると、違うものが見えてくるはずです。
私たちは「おとぎの国」に住んでいます。
以前、新聞でおもちゃを買ってもらえなかったからという理由で
自殺した子供の記事を目にしたとき、いたたまれない気分になりました。
ちょっと視点を変えれば、身の回りに小さな幸せはゴロゴロ転がっているはずです。
「レナードの朝」という映画の中で、主人公のレナードが、担当医に
「普通に暮らし、普通に生きていることの素晴らしさ」を熱弁するシーンがあり、
そのメッセージを聞いたときに鳥肌が立った記憶があります。
「レナードの朝」は、『気づき』の多い映画です。おすすめです!

朝日新聞 生活欄 ひととき より

「洗濯物の風景 」   熊本市 中島美智代さん 無職 49歳

 洗濯物を畳むときほど、家族を感じるときはない。
一枚畳んでは「これはお兄ちゃんので、これはタケちゃんの」と分けると、
家族の数だけ洗濯物の山ができる。
末っ子のタケちゃんがその山をポンポンとたたいて歩く。
15年前の我が家の風景だ。子供たちはすでに独立した。
 子供たちが部活動をしていた頃は、7キロ用洗濯機はフル回転だった。
今は、ふたを開けると洗濯機のふちに衣類が張り付く程度。
大人の洗濯物は、クリーニングに出すものが多く、下着がほとんどで物足りない。
 家庭を持ったばかりの頃、近くに住む母に、
「袖口や襟は、洗濯機に入れる前にせっけんでもみ洗いするのよ」と、
口やかましく言われた。
でも、育児に忙しく、ものぐさな私は、「はいはい」と口ばかりで、
袖口用洗剤というのを塗るのが精いっぱいだった。
 そんな母が亡くなって5年、いつしか私も下洗いをするようになった。
洗い上がりの違いを見て、やめられなくなったからだ。
気が付くと私は、この言葉を口にしていたころの母の年齢になっている。
 母の他界後、私は父と同居を始めた。
メンバーも変わり、洗濯物の数も変わったが、家族の営みは力強く続く。
近い将来、また、小さな洗濯物を畳む日が来るのが楽しみだ。
洗濯物は、私を元気づける。

19. 今を大切に     ( 2005年 9月11日 )

20年後には、実際にしたことよりも、しなかったことを後悔することになるだろう。
                                  ( マーク ・ トゥエイン )

大切なものは、失ってから気づくことが多いように感じます。
健康は、その最たる例と言えるでしょう。
特に人間関係においては、そのときにしか出来ないことがたくさんあります。
時期を逃すと取り返しのつかなくなることが、人間関係には起こり得ます。
手遅れになる前に、実行に移して下さい。
大切な人を突然亡くした経験のある方は、特に実感できることだと思います。
テキストの25、26ページをもう一度、読み直して下さい。

朝日新聞 生活欄 ひととき より

「神様がくれた時間 」   埼玉県上尾市 山下明子さん 主婦 48歳

 昨年10月、母が子宮がんの手術のために入院した。
1人で留守番する80歳の父が心配で、私は1ヶ月、函館の実家に行っていた。
思えば、大学のときから両親と離れて暮らしている私は、
これほど長く父と一緒にいるのは30年ぶりのこと。
父は一人娘の滞在をとても喜んでくれた。
 久々の娘の手料理には「おいしい」の連発。
買い物に行こうとすると、「おれが荷物を持ってやる」と同行する。
父との喫茶店も、たぶん生まれて初めての経験だったと思う。
いつも父はニコニコしていた。
 しかし、母が退院して2ヶ月ほどたった今年1月末、父は脳梗塞で倒れ、入院した。
あんなに元気だった父が、今はほとんど寝たきりの状態だ。
私が行っても、喜ぶことも、笑うこともない。
 あの1ヶ月は、神様がくれた父への親孝行の時間だったのだろうか。
買い物をしたお店を見るたび、喫茶店の前を通るたび、
父の元気な声が聞こえてきそうな気がする。
「今度はお母さんと3人で来ようね」父が何度も口にした言葉だ。
本当にその日を望んでいたのだと思う。
父は私に気を遣っていたのかもしれないが、とても楽しそうだった。
父のあの笑顔と、その言葉は忘れられない。
 神様、もう少し、私に親孝行する時間の続きをくれますか。

20. コミュニケーションの実態 その4 ( 2005年 9月19日 )

言葉は大事ですが、言葉以外のノンバーバルメッセージも大事です。
集合研修でもお伝えしていますが、コミュニケーションのコツの一つは
『言葉はシンプル』に。(長く伝えれば、多く伝えれば良いというものではない)
それと野党は、否定語を使いすぎたように感じます。
あれでは、自民党の批判ではなく宣伝になってしまいます。
今回の選挙で小泉さんは、言語、非言語の両面で
意識的に、かなり磨きをかけてきたように感じました。

「小泉語は強かった」    朝日新聞 CM天気図 天野祐吉

「政治の世界で歴史的ななだれを起こしたのは、書かれた言葉の力ではない。
それは語られる言葉の魔力だけだ」と言った政治家がいる。ヒトラーだ。
 小泉さんがヒトラーだなんて言うつもりはないが、こんどの選挙で
小泉新党(じゃない自民党)が大勝した原因も、それにつきるんじゃないか、
とぼくは思っている。テレビの街頭演説でも、小泉さんには文字に書かれた
原稿を読んでいる感じがない。それにくらべると、ほかの党の党首たちは、
しゃべっている言葉がほとんど書き言葉である。
 もちろん原稿を棒読みしているようなヘボ役者はいない。
が、まず書いた原稿があり、それを暗記してしゃべっているという印象が、
どうしてもつきまとう。ヒトラーの仮説に従えば、
それだけでもう勝負がついているようなものだ。
 それにしてもこの異常な小泉人気は、いままでの政治家たちの言葉が
いかに書き言葉(それも空疎な)的であったかを証明している。
言葉が聞こえてこない政治家たちへの人びとの欲求不満が、
小泉人気をいやが上にもあおったと言っていいんじゃないだろうか。
 以前にも、話し言葉の魔力で人気を得た首相はいる。田中角栄さんである。
が、小泉さんと角栄さんの違いは、角栄さんの言葉の魅力が村芝居的な
それだったのにくらべて、小泉さんの言葉の魅力は町芝居のそれだ。
そのことが、都市の無党派層にまで、小泉さんが広い人気を集め得た原因だと思う。
 テレビのCMでも、自民党と他党との間には、そんな『言葉』の違いがあった。
書き言葉的な言葉で自民党を批判する野党と、話し言葉の魔力を使っている小泉さん。
小泉語の魔力は、「破壊」と言わずに「ぶっこわす」と言うようなところに、
いちばんはっきり現れている。
「改革を止めるな!」という広告的スローガンを、呪文のように繰り返すのも、
小泉語の特徴である。呪文の効果という面から言えば、問題は改革の中身ではない。
そのひびきをしつこく繰り返すことである。
 大敗した民主党が、次の選挙でこそ政権交代を現実のものにしようと思うなら、
硬直した野党語で小泉さんを批判してもはじまらない。
小泉語を『ぶっこわす!』言葉を見つけることだ。
貧しい言葉で豊かな明日を語るくらい、人びとをシラケさせるものはない。