17. コミュニケーションの実態  その3  ( 2005年 8月28日 )

集合研修で紹介するあの数字には数々の教訓、ヒント、真実が隠れています。
現実のコミュニケーションだけでなく、ドラマや映画を見ていても
私たちは非言語から多くのメッセージを受け取ることができます。
もちろん、その一方で、相手も私たちの非言語メッセージを受け取っています。
そして、たいていの場合、これらの作業は無意識下で行われています。

経営者を始め管理職の方々などリーダーシップを発揮している人や
トップセールスマンなど、目覚ましい成果を上げている人たちにインタビューをすると、
成功者の多くは「人は理屈ではなく、感情で動く」と、おっしゃいます。

朝日新聞 「天声人語」より

「郵政民営化」はおれの信念だ。殺されてもいい」
「民営化に反対することは、手足を縛って泳げというようなものだ」
今回の衆議院解散劇で、小泉首相の言葉は、たんかを切るようだ。
 それが人の心を高ぶらせるのか、世論の支持率が上がっている。
「生死を問わずつかまえろ」「やつらをいぶり出せ」
ブッシュ大統領も西部劇を思わせるような表現で、
同時多発テロ直後の米国人の心をつかんだ。
 昨今の政治では、説得の論法よりも、感情に訴える短い言葉が人を動かす。
「かつて、政治家の演説は、わざわざ演説会場まで聞きに行くものだった。
政治家は論理とレトリックに工夫を凝らした」
故ケネディ大統領のスピーチライターだったソレンセン元補佐官に、
そんな話を聞いたことがある。
 テレビ時代の政治家は、視聴者がチャンネルを切り替える前に、
刺激的な言葉を投げつけねばならない。
首相の解散会見の視聴率は時を追うに従ってうなぎ登りだった。
 名演説というと、「人民の人民による人民のための政治」
というリンカーン大統領のゲティズバーク演説を思い出す。
あれは国有墓地の奉献式で追加的に行われたあいさつだった。
メーンの演説は、雄弁で名高いハーバード大元総長が2時間も行った。
リンカーンはわずか3分間で、写真班がレンズの焦点を合わせているうちに終わった。
 それでもリンカーンの言葉が残ったのは、その崇高な理念にもよるが、
何よりも彼が米国の分裂を防ぎ、奴隷を解放したからだろう。
小泉首相の言葉を、歴史はどう記憶するするだろうか。