(34)「ご存じの方も居られるようですが、結婚したのが早くて娘も結婚。夫は定年退職したのでやり尽くしましたね、後はお墓の心配だけかも・・」
幹事の渡辺くんが笑いながら「まだ早いですよ、これからでしょう。ここは毎月飲み会がありますから来月は"鈴木さんと滝口さんの青春時代を取り戻す会"としましょう。ぜひ参加してください」
涼子は短大卒業後、すぐに結婚したので遊ぶ時間が無かった "これからでしょ" と言われて、まともに受け取ってしまった。もし受け取らなければ、何てつまらない人生だと感じる一瞬でもあった気がする。
・・
「私も、まだ青春かな」
「え?新井先生、まだ結婚する気があるんですか?」
「監督は既婚者だからダメですよ」
「監督は飲み友達、先輩後輩の仲ですって言ってるでしょ・・でも、たまには箱根とか行っちゃうけどね。監督と一緒だと若い気持ちで居られる〜」
「箱根 ? それゃ、やっぱ不倫だぁ、何歳違うんですか?」
「ひと回りくらいかな?日帰りで温泉入って地酒飲んで、美味しい海鮮料理を食べるのよ。監督も年金生活だし、落ち着きがあってお相手にはちょうどいいのよ。もちろん私は教師としても頑張っているよ。あ、そうだ ! 今度一泊で女子会しましょうか」
私たちを見て誘ってくれたので「行きたいですね」
「俺たちも参加したいなぁ。このメンバーで一度、泊まったこと事を思い出すなぁ。渡辺の奥さん (冬子) も同級生で参加してたよね」
そこで冬子が一泊したとは初耳だった。
弘美が「冬子は高校時代から仲の良い友達。それが渡辺くんの奥さんとになったとは知らなかった。25年の歳月は変化有り過ぎで驚きね。あの頃の渡辺くんは、私たちのクラスでも一番人気があったよ。 涼子も好きだったよね」
「え?、ああ、私は・・野球ファンとしてね。応援してたよ」涼子の初恋の相手の渡辺くんに想いを伝えようとしたが、今は冬子の旦那であるので、それ以上は躊躇してしまう弘美。
それに先日、渡辺くんと一緒にいた知はらない若い女のことが気になるし、それ以上は話せない。いったい誰だろうか?それを知らないと涼子の青春の想いでなど語ることは出来ない。
弘美は知っている・・当時、涼子の家が近かったので泊まりにも行った布団の中での事「渡辺くんが好きだ」と、何度も聞かされていたのだ。つづく









