(48)「長田くんはさ~今、何の仕事してるの?」
「アパレル会社でマネージャーをやってます」そこへ電話が鳴る「はい、長田ですけど・・分かった」それだけで切っていた。
「お仕事忙しそうですね OB会で皿洗いも頼んだりしてして、すいません」
改めて礼を言うと「いいえ、ここに来ると発想の転換が出来るんですよ」皿を洗うにも意味があるという。
「実は一か月前に、鈴木さんと出会って気付いたんですが・・」と、前置きし「今度、アラフォー世代のおしゃれ着ファッションの立ち上げ案で、モデルさん探してます」
「そうなんだ」
「若いモデルは所属してるけど・・主婦の方となると居なくて」
実は、健康で体型を維持しているアラフォー世代の人を探していると話してくる。イラスト描いたりマネキンにばかりに着せても、デザイナーはイメージ出来ないと言うのだ。
「それで鈴木さん、どうですか。フィッティングモデルなんですが、やってみませんか?鈴木さんなら主婦歴もあるからイメージは合格ですが、ん、大人の雰囲気が少し欲しいですけどね・・あの?男の僕では決定出来ないですが、皆もきっと賛成してくれるでしょう。イメージはぴったりだと思いますよ」
「フィッティングモデル ・・? モデルさんのようにスラっとしてないし、顔も普通ですよ」大人の雰囲気って、色気が足りないのか!それはショックだったけど、長田の話しに乗り気になっていた。
「いや、身長もあるし良いと思います」
「ネットや雑誌の広告など載らない試着が主です。新宿ですので、よければ一度」
名刺を差し出すと長田智明 統括マネージャーとなっていた。
涼子は夫に話をしなければと返事を後回しにした。仕事は前々から希望していたが、それは・・気分転換のパートで十分と思っていたので、モデルとは信じられない話になっていた。
名刺にはオフィス住所、アドレスも印刷されている「新宿なんて結婚して以来行ったことないですね」
「ぜひ、旦那さんとお越し下さい」え、夫と・・そういえば結婚前に、新宿でタイタニックの映画を観たのは記憶に残っている。
あの頃の夫はメグ・ライアンが好きだと言うから、一緒にユー・ガット・メールを観に行ったこともある。その時「君はメグ・ライアンのように可愛い」と言っていたのだけど・・もうあの当時の気持ちも失せている。
以前、夫のポケットから観たことが無い新宿での夫婦割りチケットを発見した時を思い出した。今でも誰かと映画を観てるのを感じてしまう。そんな夫と、新宿など行ってみようとは考えないけど、新しく出来た屋上からのゴジラは一度、観に行こうかと興味を示した。つづく


