大人たちの過ぎゆく日々 -17ページ目

大人たちの過ぎゆく日々

身近な家庭菜園/現代小説

 (11)レストランでは 「デートしてきたよ」 それを聞いてる先生は、ビール片手に黙って聞いている。

 

先生の事は、一緒に来ている友人には秘密にはしたくなかったのだ。すると彼女たち「いいわね 腕組んだ ?」 

 

 「靴履くときね・・それで、これ買ってもらったよ」 と足元を見せる。

 

完璧に女子高生になっていた涼子を見て 「うらやましいわ。せんせー、私たちには何をプレゼントしてくれるの?」

 

「そうだな、考えてくよ・・風呂行ってくる」 と立ち上がっていたのは、その気がないようだ。涼子も館内の温泉に入りたかったが、この格好で一人では無理があったので食事を終えると皆と一度戻る。

 

バンガローに戻ると、いろいろなことを忘れてしまうほど話が続き飲み交わす。女子高生らしくなってる涼子に「・・もし私が男なら、涼子に惚れちゃうわ」 と大笑いして楽しい旅行一夜を過ごしてくる。

 

バンガローで飲む時間がゆっくりと過ぎていくと「先生に惚れちゃたらどうするかな・・」 と照れながら告白もすると「そうしたらさぁ、もう少しスカート丈を上げたらいいんじゃない ?」

 

煽るが「・・・25年前だったらね」 笑いが絶えない。

 

彼女たちは、涼子を自分の分身として昔を連想しているように思えたのか「その格好でいると、私たちも高校生のような気分にして貰えるよ」

 

「悔しいけどさ、体型が使用前の体だからさ、私たちの分まで普段出来きない事をやってみてくれる ?」

 

「この格好でモール街に一人で立ってたらナンパされちゃうんじゃないの ?」 


キャッーキャーとバンガローで騒ぐ。酔っぱらいの話しが永遠に続くように・・何もかも笑い飛ばしていた。すると車のドアの音がパタンと聞こえ、先生が戻って車内に明かりが点くと、1オクターブ声を下げて 「涼子お風呂は ?」

 

「少し酔ってるし明日の朝にするかな ?」外を見ると、ここからでもレストランの明かりが見えた「行ってらっしゃいよ、いい湯よ」 確かに汗ばむ身体はさっぱりとしたかったのと、24時間営業コンビニはその気にさせてくれたのだ。

 

「うん・・じゃ着替えて行ってくるかな」

 

「その格好でいいじゃないの ? 人生一度っきり」つづく

 (10)上って行くと整地された高台に出ていた「へー、こんなとこあるんだ」


周りは遠く山に囲まれている。見上げた空は星がきれいに輝くような場所だった。その近くには駐車場もあり何組かのカップルも来ている。

 

ここはキャンプ場からは遠回りするが、細い道を駆け上がれば意外に近い。先生が息切れして芝生で、大の字でゴロンとしたので私も同じように寝てみる。すると空が迫って来て雲の流れがストップモーションのように絶え間なく流れてくる。

 

こんな雲を追ってる時間は幸せな時間に思えてしまう。どこでも見上げれば同じ空なのに、ここでは違っていた。こんなに空が身近に感じたのは初めてだと雲を形を追いながら、ゆっくりした時を先生と共にした。

 

「星がきれいなんでしょうね」

 

「夜来てみるかい?」涼子は頷くことも無く言葉を濁して時間を気にした。

 

「あ、こんな時間、戻らないと」彼女たちは待ち合わせの場所でコーヒーを飲んでいるのだった。


・・

 「ごめん・・遅くなっちゃった」

 

「あら、すっかり高校生ね」

 

「えへへ、若返るわ、こういうのって必要ね」

 

「どういうこと?制服に変えて変身ってこと」

 

「制服もそうだけど、相手を変えるってことも必要ってことかな」

 

「それって・・旦那さんじゃないってこと ?」


クスクス笑う、そんな話をしながらレストランで先生と合流した。つづく

  (9)別行動で、涼子は先生と二人っきりになると 25年前の自分に戻って若返った気持ちでいられた。イヤなことはすべて忘れてしまう不思議な感覚である。身に着けた制服は涼子を過去に戻し希望を叶えてくれていた。 


方向を変えて土手を上りはじめると手を差し伸べてきたので、私も手を伸ばしたけど、今でも教え子のようにガッチリ掴んでくる先生。

 

女として意識を持ってくれた感覚ではなかった。けど、このまま引っ張られ引き寄せられたら、胸に飛び込んでしまいそうな瞬間でもあった。

 

先生と教え子の信頼関係は25年経っても変わらない。


皆にも勇気と希望を与える代表だからと、自分を他人に置き換える勝手な判断でモール街を歩くと・・すれ違う人が振り返える気配がする。不倫のイメージもあるようで、私としてはそんなイメージも、あ・る・あ・る・かなと思えて、違う自分を作り上げていた。

 

先生が立ち止まり「鈴木、靴買おうか」と足元まで女子高生に仕上げようという魂胆か、履き捨ててもいいような黒のローファーの靴を購入してくれる。足のサイズに合わせて試しに履いてみる時、ふらつくと先生の腕にしがみつくのが自然でいられて、腕の中に手を差し入れると胸が高鳴ってしまった。

 

私は・・先生の前で癒されて優しい気持ちになれるのは、なぜだろか。目を合わせてくれる先生の笑顔は素敵だ。

 

・・夫にはこんな笑顔は見られない。見たいわけではないが目を合わせて笑顔は見せたことがない・・

 

そんなことを考えながら、しばらく行くと「あっち行ってみるかい ?」


方向を変えて土手を上りはじめると手を差し伸べてきたので、私も手を伸ばしたけど、今でも教え子のようにガッチリ掴んでくる先生。

 

女として意識を持ってくれた感覚ではなかった。けど、このまま引っ張られ引き寄せられたら、胸に飛び込んでしまいそうな瞬間でもあった。

 

先生と教え子の信頼関係は25年経っても変わらない。つづく