68 好きな女性のタイプも同じ | 身近な大人たちの疑惑

 草刈は、一緒に暮らす雰囲気を感じたいう。

 

話を聞いた圭子は、山岸からの連絡を待ってから「油絵 "窓辺の風景" が完成間近です」と一言伝えていた。

その後「有難うございました、私の勝手で呼び出してしまい申し訳なかったです」と素直な返事があった。やはり久美と一緒に住むのだと直感し、アトリエを片付けて去る準備を決めた。

月末には全ての物を運び出して、その後は草刈の家でゲームのような生活になってしまう。

新たな出発は、天気の良い日は朝が早い草刈に合わせて目覚め、お弁当を作ってあげている。今日は自分のも作った。何故なら長老の小田夫婦の肖像画を描きに行く日である。

 

 

・・・一方
久美の元夫、上田は良美から連絡を受けた「母が出掛けたので連絡です」

 「今日は朝から出掛けたの?」

 「そうだよ。段々早くなるよ、上田さんにもよろしくって言ってたよ」上田は伯父さん的な存在に成り下がっていた。

 「ゲームって楽しいからな。さらに愛しい人がいれば会いたくなるし、時間は短く感じるのだろう」

 「そうなの? 愛しい人?経験済みなのね」

・・
 「ところで山岸さんとは、よく会うの?」と、聞いてみた。

 「え、私? 全然会わないよ。父とは会社が同じだから会ってたという話でしょ・・父は山岸さんとは食べるもの観るもの、趣味から感性まで同じだと言ってたわ。酔ってる時には、好きな女性のタイプも同じだと話していたのを聞いたし・・好きなタイプの女性が同じなら喧嘩ね」と笑う。

 「へぇ〜お父さんは芸術的な感性の人は好きだった? 例えば・・画家とか陶芸家?」

 「どうかな?特に聞いたことは無かったけど、ただ観賞とか好きだったよ、絵画とかね」

 画家でもある圭子の住み込みでいる家は、山岸と言っていたの覚えている。その山岸と名乗る人物が、石川泰造と同期だとすると、山岸修一という人物で高橋建設で知っていた。

 石川と同じように、山岸も油絵の鑑賞が好きというなら、100号の油絵の注文をしたのは山岸修一と判断することもできた。