2024年6月西宮市議会第7回定例会での一般質問 | 庄本けんじのノートブック

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 みなさん、おはようございます。日本共産党の庄本けんじです。傍聴においでくださいましたみなさん、また、インターネットをご覧のみなさん、さくらFMをお聞きのみなさん、ありがとうございます。

 ただいまより、日本共産党西宮市会議員団を代表して、一般質問をおこないます。

 保育所の待機児童問題について質問いたします。

 西宮市の保育所の待機児童問題は、まだまだ深刻な事態が続いています。

 今年、4月の保育所の待機児童数は121人。昨年の4月は、56人でした。去年と比べて65人増え、倍増となっています。

 政府は、これまでにも、幾度となく、さまざまな対策を打ち出してきました。さかのぼること、1994年の「エンゼルプラン」からはじまっています。続いて、1999年の「新エンゼルプラン」、2001年の「待機児童ゼロ作戦」、2004年の「子ども子育て応援プラン」、2008年の「新待機児童ゼロ作戦」、2013年の「待機児童解消加速化プラン」、2018年の「子育て安心プラン」、そして、いま継続中の2021年に策定された「新子育て安心プラン」へと、さまざまな対策が繰り返されてきました。

 その30年ほどの間には、2016年、「保育園落ちた、日本死ね」という言葉が流行語大賞にノミネートされるほどに、保育所の待機児童問題が大問題となりました。それでも、政府は、抜本的な対策を講ずることなく、規制緩和と、その場しのぎの対応を繰り返してきました。その結果、保育の質を著しく低下させ、制度を極端に複雑化し、待機児童問題は、根本的な解決がされないまま今に至っています。

 よく、日本経済について、「失われた30年」といわれます。保育政策においても、政府の新自由主義的な対応によって、まさに、失われた保育ともいうべき事態を生じさせてきた、と言わざるを得ません。問題を解決するためには、政府の保育政策を抜本的に転換することが強く求められます。

 そのことを前提にして、保育所の待機児童問題をどのように解決してゆくのか、市の見解をただしたいと思います。

 まず、明確にしておきたいことは、保育所の待機児童問題は、当事者にとってはもちろんのこと、社会にとっても待ったなしの、即刻解決しなければならない重大かつ深刻な問題だ、という点です。

 子どもが保育所に入れない事態は、なによりも、親の就労が、たちまち、たちゆかなくなります。それは、生活の糧を失いかねない、とほうにくれる重大な問題です。また、女性の働く権利が奪われることにもなり、生き方を選択する自由が奪われる、これもまた重大な問題です。そして、保育所に子どもが入所できる家族とそうでない家族との間で、不公平かつ不当な格差を生じさせることになります。さらに、待機児童の存在そのものは、事態が深刻なだけに、保育の質を低下させる負の圧力となってしまいます。

 まさに、待機児童問題は、当事者にとっても、社会にとっても、一刻たりとも放置するわけにはいかない重大で深刻な問題なのです。

 そこで、質問です。

 第一に、市長は、選挙において「待機児童ゼロ」を公約に掲げられていますが、待機児童問題が解決しえないこの事態をどのように受け止めているのか、また、どのような方法で待機児童の解消をめざすのか、お答えください。

 

 第二に、市長が掲げた「待機児童ゼロ」というのは、政府が定義する待機児童の解消のみを目標としているのか、そうではなくて、さらにすすんで、希望通りに入所できなかった方の解消も目標とするのか、どちらを目標に置いているのか、お答えください。

 政府は、待機児童の定義を幾度となく変更してきました。なかでも、とくに、2001年に変更した定義は、待機児童の範囲を大幅に縮減しました。もともと、待機児童と言えば、認可保育所に申し込みをしたが入所できなかった子どもたちのすべてでした。ところが、このときの定義の変更によって、待機状態にある児童の大半が待機児童から外される、新たな定義を設定し、その数倍にもなる、いわゆる隠れ待機児童という新たな問題を生じさせたのです。

 隠れ待機児童とは、希望する保育所に入れず、待機の状態におかれている児童であるにもかかわらず、待機児童にカウントさえされない、文字通り、政府の定義変更によって隠されてしまった待機児童のことです。

 政府定義の待機児童と、いわゆる隠れ待機児童とが存在するもとで、問題となるのは、待機児童対策の目標です。西宮市は「第2期西宮市子ども・子育て支援事業計画」において、待機児童対策の今後の方向性を示されていますが、そこでは、「待機児童の解消だけでなく、希望通りに入所できなかった方の解消」もめざす、としています。

 市長の答弁を求めます。

 次に、「西宮市幼児教育・保育のあり方」と保育所の待機児童対策との関連についてお伺いします。

 西宮市は、2023年3月、「西宮市幼児教育・保育のあり方」を策定し、公表されています。この方針の内容は、西宮市域を8つのブロック、すなわち、山口地域、塩瀬地域、大社地域、広田地域、甲東地域、浜脇地域、上甲子園地域、鳴尾地域に区分し、それぞれのブロックごとに、公立幼稚園と公立保育園を再編統合し、公立の幼保連携型認定こども園を設置する、というものです。そうして生み出された財源は、今後、必要となる子ども・教育施策へ優先的に活用する、とのことです。

 具体的な推進は、すでに公表されているアクションプラン[part1]、アクションプラン[part2]にもとづくとともに、今後は、いまは検討中とされているアクションプラン[part3]でしめされることとなっています。

 ここで問題にしたいことは、このような公立園の統合再編によって、保育定員を減らす計画になっていることです。

 すでに公表されているアクションプラン[part1]では、まず、浜脇ブロックにおいて、浜脇幼稚園と浜脇保育所とを統合し、認定こども園を、来年度(令和7年4月)開設予定で整備するということになっていますが、問題は、保育定員を18人減らす計画です。

 アクションプラン[part2]では、広田ブロック(令和8年度)、鳴尾ブロック(令和9年度)、上甲子園ブロック(令和10年度)の3つのブロックで公立幼稚園と公立保育所を統合し、保育定員を68人減らす予定とされています。

 いま、西宮市も、保育所が足りない、由々しき事態にあります。そのさなかに、保育定員を減らす計画を同時に進めようとする。これはまさに、市長が選挙で掲げた「待機児童ゼロ」の公約とは真逆の計画推進ということになるのではないですか。待機児童問題が解決できない状態が続いている事態に直面しながら、保育定員を減らす計画を進める。このようなことがあってはなりません。見解をお聞きします。お答えください。

 この「西宮市幼児教育・保育のあり方」にもとづくアクションプランを計画通りに進めるとなれば、当然、待機児童への悪影響が心配になります。当局は、この問題が指摘されると、待機児童への影響は、極力生じないようにすると繰り返し答弁されます。

 たとえば、第5回定例会でのわが党市議団の代表質問への答弁では、「待機児童解消と公立園の再編の双方に取り組むこととなりますが、各ブロックの再編に当たりましては、施設の規模と合わせ、年齢ごとの受入れ人数をシミュレーションするなど、待機児童への影響が極力生じないよう計画を進めてまいります」と答弁されています。

 しかし、待機児童への影響がないようにすることなど、ありえないと考えます。

 「西宮市幼児教育・保育のあり方」とアクションプランを実行する、ということであれば、西宮市域8ブロックごとの待機児童状況や動向をリアルに把握し、待機児童への影響を絶対に生じさせないための対策を立てることが、どうしても必要になるはずです。当局の見解をうかがいます。

 保育を必要とされる児童を保育する責任は、行政にあります。児童福祉法24条1項で、そのことが明記されています。行政当局にあっては、待機児童問題を一刻も早く解決するために、全力を傾注していただきたいと思います。私たちも力をつくします。その決意を表明して、壇上からの質問は終わります。答弁を受けた後、自席にて再質問、意見要望を述べさせていただきます。

 ご清聴ありがとうございました。

 

以上