新版「資本論」 最高峰を見上げ 登山口に立つ
きのう、新版「資本論」の第一冊を手にした。
マルクスが築き上げた理論の山。何メートルあるのだろう。
新版「資本論」は、これまでの「資本論」編集とは違う。
「資本論」についての膨大で緻密な数々の研究が、マルクスが築きあげた全体像を、より正確に映し出すことになった。そびえ立つその全容を浮かび上がらせている。その成果を余すところなく詰め込み整理されたのが新版「資本論」。
マルクスが築き上げた峰々を、上り詰めるための地図。
これまでの「資本論」では、決して向こう側には行くことができない奥深い谷、崖があちこちにある。迷路もある。書物だから、その先へは進むことができるが、そうして歩き通しても頂にはたどり着くことができない。袋小路もある。
新版「資本論」は、谷や崖に橋をかけ、道を補修し、新たに舗装もされる。道標の付け替え、矢印の方向も付け替えられる。分岐点には、こちらを行くと、洞窟があって、その先がないという説明板が立て掛けてあるかもしれない。ここは古い道、ここは新しい道、そんな案内板もきっとあるだろう。
もしかしたら、崖を登らないといけない所に遭遇するかもしれない。でも、そこにはちゃんとハシゴやロープもつけていてくれる。休憩はいつでもどこでも読者の側で自由にすれば良い。しかし、必要な給水の場も置かれているかもしれない。
マルクスが築き上げた理論の峰。その最高峰を見上げる。私達は新しい地図を手に入れた。
いま、登山口に立つ。さあ、登ってみようか。