第34期女流王位戦5番勝負/第1局「激闘制し、伊藤女流四段が白星発進」
5連覇を目指す里見香奈女流王位に
無冠返上を期す伊藤沙恵女流四段が挑戦する
第34期女流王位戦5番勝負。
楽しみな顔合わせが実現した注目の番勝負が、本日
兵庫県は姫路市「夢乃井」にて運命の幕を開きました。
振り駒で決まる開幕戦の手番で
幸先よく先手を得たのは、伊藤女流四段でした。。
2手目△3四歩。
上図での持ち駒
▲伊藤女流四段: なし
△里見女流王位: なし
伊藤女流四段の初手は飛車先を突く▲2六歩から。
対します、里見女流王位は2手目△3四歩と角道を開き
戦型選択に含みを持たせて、対局はスタート。。
8手目△2二飛。
上図での持ち駒
▲伊藤女流四段: なし
△里見女流王位: なし
伊藤女流四段が飛車先を決めてから角道を開いたのをみて
里見女流王位はすぐに自らの角道を止めると(6手目△4四歩)
次の▲4八銀をみて、飛車を2筋へと振り「向かい飛車」を投入。。
注目の戦型は「対抗形」となりました。。
29手目▲7八金。
上図での持ち駒
▲伊藤女流四段: なし
△里見女流王位: なし
互いに飛車のポジションが決まると次は
双方、息を合わせて居玉を解除し玉の囲いを目指します。
後手の振り飛車は想定の範囲内だったか、伊藤女流四段は
一息に、上図で「銀冠」を完成させます。。
40手目△5五歩。
上図での持ち駒
▲伊藤女流四段: なし
△里見女流王位: なし
さらに、堅くて遠い「穴熊」へと囲いをシフトした先手に対し
「高美濃囲い」を完成させた里見女流王位は、上図の局面で
飛車を合わせた5筋の歩を突き合わせ、仕掛けを開始します。。
緊張高まるこの局面で、伊藤女流四段は手を止め長考。。
41分の考慮でじっくりと読みを入れてから、▲同歩と応じたところで
午前の対局は終了となり、お昼休憩突入となりました。。
【 お昼のメニュー 】
両者ともに「和み御膳」
42手目△3五歩。
上図での持ち駒
▲伊藤女流四段: 歩
△里見女流王位: なし
午後の対局開始の一手で、ケレン味なく
里見女流王位は3筋の歩を突き出し、追撃開始。。
伊藤女流四段はすぐに▲同歩と応じて、以下
△4五歩~▲4七銀~△4六歩~▲同銀~△6五桂~
▲8八角~△5六歩をみて▲2四歩~△同歩~▲4五桂~
△4四角~▲2四飛に下図56手目△5七歩成と進行。。
56手目△5七歩成。
上図での持ち駒
▲伊藤女流四段: 歩4
△里見女流王位: 歩
6筋に桂馬の拠点を作った後手に対して
伊藤女流四段は飛車先2筋から鋭く反撃開始。。
4筋にお返しの桂馬の拠点を作ってから飛車を走らせ
敵陣突破を狙います。。
ようやく手番の回った里見女流王位は
先手の飛車先を受けることなく、中央から敵陣に切り込み
強気に攻め合いを志向し、終盤戦の幕を開きました。。
66手目△8七金。
上図での持ち駒
▲伊藤女流四段: 金、桂、歩5
△里見女流王位: 歩
里見女流王位はそのままエンジン全開。。
腕ずくの寄せに入り、先手玉へと襲い掛かります。。
が、しかし。。
66手目△8七金。
上図での持ち駒
▲伊藤女流四段: 金2、銀、桂、歩6
△里見女流王位: 銀、桂、歩3
「伊藤穴熊」の足腰も盤石。。
切ったり貼ったりの攻防を凌いだ後、中央から反撃に転じ
駒を存分に捌いてから、上図で満を持して飛車が成り込み
激しく揺れ動く形勢の針は、ジワリと先手に傾きます。。
86手目△7五桂。
上図での持ち駒
▲伊藤女流四段: 金2、銀、歩6
△里見女流王位: 銀、桂、歩2
苦しくなった里見女流王位は渾身の勝負手を投入。。
最終盤戦での再逆転へ、勝利への執念の燃やしますが。。
【 投了図・133手目▲3三桂成 】
投了図での持ち駒
▲伊藤女流四段: 桂、歩3
△里見女流王位: 金、銀、歩3
伊藤女流四段は勝機を逃さず。。
手厚く丁寧な寄せで後手玉を仕留め上げ、上図の局面をみて
里見女流王位は万策尽き果て、無念の投了を告げました。。
終局時刻は午後7時13分。
最後まで気の抜けない激闘を見事制した伊藤女流四段が
タイトル奪取へ向けて、大きな大きな白星発進を決めました。。