第80期名人戦7番勝負/第5局・二日目「斎藤八段、強く踏み込み終盤戦突入」
3連覇を目指す渡辺明名人に
2年連続挑戦者に名乗りを上げた関西の新若大将
斎藤慎太郎八段が挑戦する、第80期名人戦7番勝負。
ここまで4局を消化し、渡辺名人が3勝1敗とリード。
タイトル防衛に王手を掛けて迎えた大一番/第5局が、昨日
岡山県倉敷市「倉敷市芸文館」にて運命の幕を開きました。。
第5局の先手は渡辺名人。
その初手は飛車先を突く▲2六歩から。
対します、斎藤八段も2手目に同じく飛車先を突く
△8四歩と返し、対局はスタート。。
9手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲渡辺名人: なし
△斎藤八段: なし
互いに居飛車を明示する出だしから
いざ、「角換わり」を目指す定跡手順の進行となり
迎えた上図の局面で、渡辺名人が銀を6筋に繰り上げ
後手からの角交換、あるいは角交換拒否に備えると。。
10手目△7七角成。
上図での持ち駒
▲渡辺名人: なし
△斎藤八段: 角
斎藤八段は角交換を敢行。。
手損のない「ノーマル角換わり」となりました。。
24手目△6四銀。
上図での持ち駒
▲渡辺名人: 角
△斎藤八段: 角
角交換成立後もテンポ良く
両者は息を合わせて同形模様で指し進み
先手に続いて後手も銀を飛車のコビンから戦場へ繰り出し
戦型は現代調の「角換わり相早繰り銀」に決定。。
31手目▲3五歩。
上図での持ち駒
▲渡辺名人: 角
△斎藤八段: 角
先に仕掛けたのは渡辺名人でした。。
「中住まい」に玉を立ててから(27手目▲5八玉)
オーソドックスな「金開き」に構えると、上図で機敏に
3筋の歩を突き合わせました。。
34手目△4五歩。
上図での持ち駒
▲渡辺名人: 角
△斎藤八段: 角
しかし、斎藤八段は動じることなく
まずは「矢倉囲い」を完成させてから(32手目△4三金右)
名人が玉を6筋に寄せたのをみて、4筋の歩を突き合わせ
居玉のまま強く反発します。。
【 一日目終了図・47手目▲4五歩 】
上図での持ち駒
▲渡辺名人: 角、歩
△斎藤八段: 角
一日目は上図47手目まで進行。。
互いに突き合わされた歩を取り込み、しばし間合いを計ってから
二枚の銀を戦場に並べた名人があらためて4筋から突っかけた局面で
斎藤八段が次の手を封じて、二日目へと指し掛けになりました。。
一夜が明けて
迎えた本日、決着の二日目。。
48手目△4五同桂。
上図での持ち駒
▲渡辺名人: 角、歩
△斎藤八段: 角、歩
注目の斎藤八段の「封じ手」は△4五同桂。
突き合わされた歩を桂馬で取り込む自然な一手から
勝負の二日目をスタートさせました。。
この「封じ手」は想定の範囲内だったか
渡辺名人は7分の考慮で桂交換を成立させると。。
(49手目▲同桂~△同歩~)
51手目▲2四歩。
上図での持ち駒
▲渡辺名人: 角、桂、歩
△斎藤八段: 角、桂、歩
渡辺名人は48分の長考の末に
飛車先2筋から突っかけ、局面を動かしに掛かります。。
56手目△5三銀。
上図での持ち駒
▲渡辺名人: 角、桂、歩2
△斎藤八段: 角、桂、歩
以下、△同歩~▲同飛の進行で歩交換が成立。。
斎藤八段は突進してきた先手の飛車先へ歩を打ち(54手目△2三歩)
2筋を穏便に収めてから、名人が飛車を自陣最下段へ下げたのをみて
1時間16分の大長考で、銀を引き下げ自陣を引き締めました。。
この局面で、今度は渡辺名人が長考に入り
そのまま午前の対局は終了、お昼休憩へと突入します。。
【 お昼のメニュー 】
渡辺名人: 岡山県産和牛すき焼き丼(小鉢抜き)
斎藤八段: 岡山県産牛を使ったビーフカレー
午後の対局開始の一手で
渡辺名人は午前と合わせて46分の長考の末に。。
57手目▲6五銀右。
上図での持ち駒
▲渡辺名人: 角、桂、歩2
△斎藤八段: 角、桂、歩
戦場に並べた二枚の銀のうち
右の銀を6筋の位へ立てて、後手に圧力をかけます。。
この手に対し
斎藤八段が4筋の歩を突き出すと(58手目△4六歩)
自陣低くくで手堅く受けた渡辺名人は(59手目▲4八歩)
次の△3六歩(60手目)をみて。。
61手目▲7四銀。
上図での持ち駒
▲渡辺名人: 角、桂、歩2
△斎藤八段: 角、桂、歩
渡辺名人は銀で7筋の歩を食いちぎり
威風堂々、盤上へいざ開戦を告げました。。
斎藤八段は△4五桂(62手目)とすぐに呼応し、以下
▲3五歩~△3七歩成~▲3四歩~△3八「と」金~▲7九飛に
△4八「と」金~▲7七玉~△5八「と」金をみて、下図71手目
▲6三銀成と進行。。
71手目▲6三銀成。
上図での持ち駒
▲渡辺名人: 角、銀、桂、歩2
△斎藤八段: 角、金、歩2
と「金」で攻め込む後手に対し
渡辺名人は要の飛車と自玉を遠くへ逃してから
上図でズバリと切り返し、銀を敵陣へ成り込みました。。
ここで手番の回った斎藤八段は
32分の考慮でじっくりと読みを入れ直すと。。
72手目△6九玉。
上図での持ち駒
▲渡辺名人: 角、銀、桂、歩2
△斎藤八段: 角、歩2
手持ちの金を敵陣へ投入。。
露骨に飛車取りを決め、勝負に出たこの局面で
夜戦に備えて夕食休憩突入となりました。。
【 夕食のメニュー 】
渡辺名人: 鯛茶漬け(わさび抜き)
斎藤八段: ミックスサンドイッチ、ピオーネジュース
斎藤八段の強い踏み込みに
盤上の緊張は高まりますが、形勢の針はいまだ混沌としたまま
名人戦の大一番はクライマックスへと向かいます。。