つけ入る隙なし。。第62期王位戦7番勝負/第4局「藤井王位、圧勝で防衛に王手」
初防衛を目指す藤井聡太王位に
棋界のエース・豊島将之竜王が挑戦する
第62期王位戦7番勝負。
ここまで3局を消化し、藤井王位が2勝1敗とリード。
シリーズの行方を占う正念番となった注目の第4局が
昨日より、大雨の影響で佐賀県から対局場を変更して
西の聖地・関西将棋会館にて、運命の幕を開きました。。
第4局の先手は豊島竜王。
落とすとカド番に立たされる本局の初手は
飛車先を突く▲2六歩から。。
対します、藤井王位も2手目に同じく
飛車先を突く△8四歩と返し、対局はスタート。。
4手目△8五歩。
上図での持ち駒
▲豊島竜王: なし
△藤井王位: なし
次に両者は息を合わせて飛車先を決め
戦型は「相掛かり」となりました。。
10手目△5二玉。
上図での持ち駒
▲豊島竜王: なし
△藤井王位: なし
互いに角頭を金で受け、飛車の横に銀を立てる
おなじみの出だしから、豊島竜王が△5八玉(9手目)と立て
「中住まい」に構えたのをみて、藤井王位も追随して玉を立て
出だしは格調高く、同形模様の進行が続きます。。
25手目▲2二角成。
上図での持ち駒
▲豊島竜王: 角、歩2
△藤井王位: 歩
さらに呼吸を合わせた進行は続きますが
両サイドの端歩を突き合ったあと、先手と同様に
藤井王位が飛車先で歩を交換した、次の瞬間。。
豊島竜王は角交換を敢行、模様を動かします。。
28手目△4四角。
上図での持ち駒
▲豊島竜王: 角、歩2
△藤井王位: 歩
しかし、角交換成立直後
藤井王位は手にした角をすぐに盤上へ再投入。。
先手の飛車に当てつつ、機敏に形を決めました。。
この手に対し、豊島竜王は8筋へ歩を打ち込み
後手に飛車交換を打診しますが(29手目▲8七歩)
藤井王位は応じず、飛車を下げると(30手目△8四飛)
局面は落ち着き両者は再び自陣の駒組みを進めます。。
39手目▲5六角。
上図での持ち駒
▲豊島竜王: 歩
△藤井王位: 歩
互いにじりじりと間合いを詰め合い
迎えた上図の局面で、豊島竜王も手持ちの角を投入。。
本格開戦を前ににして両者の大駒を戦場で顔を揃える
迫力ある模様が盤上に描き出されました。。
【 一日目終了図・57手目▲3六銀 】
上図での持ち駒
▲豊島竜王: 歩2
△藤井王位: 歩
一日目は上図57手目まで進行。。
双方、自陣の駒を盛り上げ入念に模様を調整し
豊島竜王が銀を3筋の戦場へと繰り出した局面で
藤井王位が次の手を封じて二日目へと指し掛けに。。
一夜が明けて
迎えた本日、決着の二日目は。。
58手目△6二金。
上図での持ち駒
▲豊島竜王: 歩
△藤井王位: 歩
注目の藤井王位の「封じ手」は△6二金。
まずは手堅く自陣の陣形を引き締めたのをみて
豊島竜王も呼応する形で玉を寄せ(59手目▲6八玉)
一日目の流れそのままに、二日目の攻防がスタート。。
64手目△5五歩。
上図での持ち駒
▲豊島竜王: 歩2
△藤井王位: 歩
互いに自陣の駒をガッチリと組み上げると
上図で藤井王位は中央5筋の歩を突き出し
先に仕掛けを開始しました。。
緊張高まる局面で、豊島竜王が
28分の考慮で、当たりの角を4筋に下げたのをみて。。
(65手目▲4七角)
66手目△3五銀。
上図での持ち駒
▲豊島竜王: 歩2
△藤井王位: 歩
藤井王位は角のラインが重なる3筋で
ガツンと銀を立て、強く追撃に開始します。。
豊島竜王は▲7九玉(67手目)と早逃げして
以下、△4六銀~▲3八角~△3四歩に▲8九玉~
△3三桂をみて▲4七銀~△同角成~▲同角~△3五角に
下図77手目▲3六角とテキパキと進行。。
77手目▲3六角。
上図での持ち駒
▲豊島竜王: 銀、歩2
△藤井王位: 銀、歩
前に出た後手に対して
豊島竜王は慌てず騒がず、一先ず駒を下げ
自陣の態勢を整えてから自らの主導で銀を捌き
さらに、後手に呼応し角を戦場へと迫り出しました。。
この局面で、藤井王位の手が止まり
そのまま午前の対局は終了、お昼休憩に突入します。。
【 お昼のメニュー 】
藤井王位: みそ煮こみうどん
豊島竜王: プレミアム和牛ハンバーグステーキ
78手目△5四銀打。
上図での持ち駒
▲豊島竜王: 銀、歩2
△藤井王位: 歩
午後の対局開始の一手で
藤井王位は手持ちの銀を手厚く玉頭へ投入。。
4五の歩に狙いをつけながら磐石に構えます。。
この手をみて
豊島竜王が飛車を4筋に合わせると。。
(79手目▲4八飛)
80手目△7五歩。
上図での持ち駒
▲豊島竜王: 銀、歩2
△藤井王位: なし
藤井王位はすかさず7筋の歩を突き合わせ
メリハリも利いてテンポ良く、攻勢に転じました。。
86手目△4五桂。
上図での持ち駒
▲豊島竜王: 銀、歩5
△藤井王位: 歩
7筋に続けて、9筋、6筋の歩を突き捨てた
藤井王位は桂馬をヒラリと跳躍させ捌きに出ると
豊島竜王が▲同角(87手目)と応じたのをみて。。
88手目△6六歩。
上図での持ち駒
▲豊島竜王: 銀、桂、歩5
△藤井王位: なし
藤井王位はノータイムで6筋の金の頭上を歩で叩き
しなやかな畳み掛けで手を繋ぎ、形勢を引き寄せます。。
93手目▲7四桂。
上図での持ち駒
▲豊島竜王: 銀2、歩5
△藤井王位: 角
攻勢強める神童に対して
またしても苦しい展開で終盤戦を迎えた
豊島竜王はようやく手番の回った、上図の局面で
桂馬を打ち込み反撃に転じますが。。
102手目△7四飛。
上図での持ち駒
▲豊島竜王: 角、銀2、歩6
△藤井王位: 角、桂、歩2
藤井王位は全く動じることなく
悠々と駒を捌いてから、重厚な攻撃態勢を築き
強烈な圧力で先手陣を締め付けます。。
112手目△6六桂。
上図での持ち駒
▲豊島竜王: 銀、歩7
△藤井王位: 金、歩2
豊島竜王は必死に食らいつき、耐え忍びますが
藤井王位はスケールの大きな攻めは途切れることなく
盤上は一方的な展開でクライマックスへと向かいます。。
【 投了図・140手目△5三玉 】
投了図での持ち駒
▲豊島竜王: 飛、角、歩7
△藤井王位: 金、香
藤井王位の厳しい寄せの前に
豊島竜王の渾身の粘りも形勢には響かず。。
上図で万策尽き果て、無念の投了を告げました。。
終局時刻は午後19時14分。
本局でも超高精度の事前研究と圧倒的な終盤力で
問答模様の圧勝を飾った藤井王位が番勝負成績を
3勝1敗とし、初防衛へ王手をかけました。。