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壮大なスケール。。第６２期王位戦７番勝負/第３局「藤井王位、完勝で２勝目」
初防衛を目指す藤井聡太王位に
棋界のエース・豊島将之竜王が挑戦する
第６２期王位戦７番勝負。
ここまで２局を消化し、ともに譲らず１勝１敗のイーブン。。
あらためて仕切り直しとなった注目の第３局が、昨日より
兵庫県神戸市「中の坊 瑞苑」にて運命の幕を開きました。。
第３局の先手は藤井王位。
その初手は飛車先を突く▲２六歩から。。
対します、豊島竜王も２手目に同じく飛車先を突く
△８四歩と返し、対局はスタート。。
４手目△８五歩。
上図での持ち駒
▲藤井王位： なし
△豊島竜王： なし
次に両者は息を合わせて飛車先を決め
まずは「相掛かり」の出だしとなりますが。。
９手目▲８八銀。
上図での持ち駒
▲藤井王位： なし
△豊島竜王： なし
そこから「角換わり」を目指す定跡手順へと進行。。
迎えた上図の局面で、藤井王位は銀を８筋に開き
後手からの角交換を注文しました。。
この手に対し
豊島竜王はノータイムで。。
１０手目△７七角成。
上図での持ち駒
▲藤井王位： なし
△豊島竜王： 角
注文通りに角交換を敢行。。
手損のない「ノーマル角換わり」となりました。。
３７手目▲５六銀。
上図での持ち駒
▲藤井王位： 角
△豊島竜王： 角
角交換成立後
双方、細かな駆け引きを繰り広げながら駒組みは進み
先に形を決めた後手に続いて、藤井王位も上図の局面で
銀を５筋に繰り出し、戦型は「角換わり相腰掛銀」に決定。。
４０手目△３一玉。
上図での持ち駒
▲藤井王位： 角
△豊島竜王： 角
互いに自陣の駒が組み上がると
争点の４筋に飛車を合わせた先手に対し（３９手目▲４九飛）
豊島竜王は慎重に間合いを計りながら玉をじっと３筋へと寄せ
来るべき開戦を前に、玉の「入城」へ目処をつけました。。
ここで手番の回った藤井王位は
８分の考慮で読みを入れ直してから。。
４１手目▲４五歩。
上図での持ち駒
▲藤井王位： 角
△豊島竜王： 角
飛車、銀、桂馬の利きが重なる
４筋の歩を突き合わせ、ここで仕掛けを開始します。。
６２手目△５五角。
上図での持ち駒
▲藤井王位： 角、歩
△豊島竜王： 銀
豊島竜王もすかさず飛車を４筋に合わせ
銀交換を合図に中盤の主導権争いがスタート。。
その最中、手持ちの角を先に活用した豊島竜王は
上図で５筋に迫り出し、先手の動きをけん制します。。
この手に対し、藤井王位は３８分の長考の末に
歩を突き出して角を追い払うと（６３手目▲５六歩）
豊島竜王が６筋に角を引いたのをみて。。
（６４手目△６四角）
６５手目▲７九玉。
上図での持ち駒
▲藤井王位： 角、歩
△豊島竜王： 銀
藤井王位も玉を７筋に引き、囲いに目処をつけた
上図の局面で、豊島竜王が次の手を封じる意思を示し
一日目は終了、二日目へと指し掛けになりました。。
一夜が明けて
迎えた本日、決着の二日目は。。
６６手目△５四銀打。
上図での持ち駒
▲藤井王位： 角、歩
△豊島竜王： なし
注目の豊島竜王の「封じ手」は△５四銀打。
争点の４筋を塞ぐ先手の銀を剥がしに出ました。。
この「封じ手」は本線だったか、否か。。
藤井王位は２６分の考慮で▲同銀と応じると。。
７１手目▲８八玉。
上図での持ち駒
▲藤井王位： 角、銀
△豊島竜王： 銀
銀交換成立後
藤井王位はすかさず歩で４筋を再び塞ぐと（６９手目▲４五歩）
豊島竜王が１時間２２分の大長考の末、△３三桂と跳ねたのをみて
堂々と玉の「入城」を完了し、後手に手番を渡しました。。
開戦への機運が最高潮に達した
上図から次に、豊島竜王は２１分の考慮の後。。
７２手目△４五桂。
上図での持ち駒
▲藤井王位： 角、銀
△豊島竜王： 銀
率直に桂馬を連続跳躍させ
争点の４筋をこじ開けに掛かります。。
７５手目▲２四歩。
上図での持ち駒
▲藤井王位： 角、銀
△豊島竜王： 銀
直後に桂交換が成立した流れに乗って
豊島竜王が飛車を突進させたところで（７４手目△同４五飛）
藤井王位は２筋の歩を突き合わせ、反攻の火の手を上げます。。
この手に対し
豊島竜王がノータイムで△同歩と応じた局面で
午前の対局は終了、お昼休憩突入となりました。。
【 お昼のメニュー 】
藤井王位： 冷やしうどん膳
豊島竜王： 神戸牛肉うどん膳（天ぷら抜き）
７７手目▲５一角。
上図での持ち駒
▲藤井王位： 銀、桂
△豊島竜王： 銀、桂、歩２
午後の対局開始の一手で
藤井王位は手持ちの角を敵陣へと投入し
金に引っ掛け手番を確保しつつ馬を作りにでます。。
８１手目▲３七桂。
上図での持ち駒
▲藤井王位： 銀、歩
△豊島竜王： 桂、歩２
藤井王位がヒラリと角を翻し２筋に馬を作ると
豊島竜王はすかさず銀を当て（８０手目△３三銀）
馬を詰ませますが、藤井王位は全く動じることなく
お返しの桂馬を跳ね、まずは飛車を払います。。
この手に
豊島竜王が△４一飛（８２手目）と引いたのをみて。。
８３手目▲３三馬。
上図での持ち駒
▲藤井王位： 銀２、歩
△豊島竜王： 桂、歩２
藤井王位は２７分の考慮の後
銀との交換でズバリと馬を切り、勝負に出ました。。
豊島竜王はこの一手となる△同金（８４手目）と応じて
以下、▲３五歩～△４二玉～▲２五桂～△２三金～▲２四歩～
△同金～▲３三銀～△５一玉～▲２四銀成～△２一飛をみて
▲８三銀～△６三銀に、下図９７手目▲３四成銀と進行。。
９７手目▲３四成銀。
上図での持ち駒
▲藤井王位： 金、歩
△豊島竜王： 角、桂、歩３
強い踏み込みから自在に駒を捌いて形勢を引き寄せた
藤井王位は淀みなく、寄せに基本である挟撃態勢を素早く整え
スムーズな仕上げの準備から終盤戦の幕を開きます。。
１１６手目△５一桂
上図での持ち駒
▲藤井王位： 角、金、歩２
△豊島竜王： 金、桂、歩５
一方、神童の圧倒的な指し回しの前に
あっという間に形勢を損ねた豊島竜王は握った手番で
怒涛の反撃に転じ、先手玉を９筋の端へと追いやってから
上図で渾身の受けに回り、勝利への執念を燃やします。。
が、しかし。。
【 投了図・１１７手目▲４六飛 】
投了図での持ち駒
▲藤井王位： 角、金、歩３
△豊島竜王： 金、桂、歩５
大差の終盤戦に執念の灯火ははかなく。。
藤井王位が構わず飛車を前に出し、歩を弾き飛ばした
上図の局面をみて、豊島竜王に指し手の選択肢はなく
万策尽き果て無念の投了を告げました。。
終局時刻は午後６時４０分。
圧倒的なスケールを感じさせる見事な完勝を飾った
藤井王位が第２局に続く連勝で番勝負を２勝１敗とました。。