カラフルな壮絶さ。。第６８回ＮＨＫ杯/１回戦「三浦九段－大橋四段を振り返ろう」
昨日放送されました異色にして魅惑の初手合い
日曜午前のお楽しみ第６８回ＮＨＫ杯将棋トーナメントの１回戦
「三浦弘行九段－大橋貴洸四段」は、三浦九段が先手に。。
４手目△４四歩。
上図での持ち駒
▲三浦九段： なし
△大橋四段： なし
三浦九段の初手は角道を開く▲７六歩。
対する大橋四段も２手目に同じく角道を開く
△３四歩と返し、対局はスタート。。
続く３手目に、三浦九段が
飛車先の歩を突き、居飛車を明示したのをみて
大橋四段は△４四歩と開いたばかりの角道を止め
振り飛車投入を示唆しました。。
この手に対し
三浦九段が最も自然な▲４八銀（５手目）と返し
後手の意向を尋ねると。。
６手目△４ニ飛。
上図での持ち駒
▲三浦九段： なし
△大橋四段： なし
大橋四段は飛車に手をかけ、４筋へと振り
振り飛車の王道「ノーマル四間飛車」を投入しました。
２３手目▲９八香。
上図での持ち駒
▲三浦九段： なし
△大橋四段： なし
互いに飛車のポジションが決まると
両者は呼吸を合わせて玉の囲いを目指しますが
三浦九段は９筋の端歩を受けずに、飛車先を決めると
上図で振り飛車の天敵「穴熊」を明示します。。
４５手目▲７七銀右。
上図での持ち駒
▲三浦九段： なし
△大橋四段： なし
双方、角のポジションに神経を使いながら
重厚な駒組みを続き、上図で銀を囲いに連結した
三浦九段の堅くて遠い「穴熊」がしっかりと完成。。
すると、次の瞬間。。
４６手目△８五桂。
上図での持ち駒
▲三浦九段： なし
△大橋四段： なし
早々と９筋の端歩を突き越し
駒組みの最中、抜け目なく角道を通した
大橋四段は右の桂馬を戦場へと跳躍。。
部分的には「藤井システム」風の構想を
盤上に反映させ、先に攻撃態勢を整えました。。
５４手目△６六歩。
上図での持ち駒
▲三浦九段： 歩
△大橋四段： 歩
一方の三浦九段は、ジッと辛抱。。
飛車を横にスライドさせながら受けに回ります。。
上図で後手が突き越した６筋の歩を△同金で払うと
とんとん拍子で攻めの勢いを加速させた大橋四段は。。
５６手目△９七桂成。
上図での持ち駒
▲三浦九段： 歩２
△大橋四段： 歩２
８筋にぶら下げた桂馬を、このタイミングで
敵陣９筋に放り込み、仕掛けを開始しました。。
三浦九段は銀で桂馬を払い（５７手目▲９七同銀引）
以下、△９六歩～▲８六銀～△９七歩成～▲同香に
△９六歩～▲同香～下図６４手目△同香と進行。。
６４手目△９六同香。
上図での持ち駒
▲三浦九段： 桂、歩４
△大橋四段： 香、歩
大橋四段はそのまま力強く９筋をこじ開け
先手の「穴熊」の頭上から、いざ開戦を告げました。。
７５手目▲６七歩。
上図での持ち駒
▲三浦九段： 桂、香、歩４
△大橋四段： 歩
駒を回転させながら畳み掛ける大橋四段。。
対する三浦九段は重心低く受けながら、来るべき
反撃のチャンスを待ちます。。
上図から、次に
大橋四段は香車で金を捕獲（７６手目△６六香）。
三浦九段の▲同歩（７７手目）をみて、さらに歩を合わせ
強引に角道をこじ開けに出ますが（７８手目△６五歩）。。
７９手目▲５五香。
上図での持ち駒
▲三浦九段： 桂、香、歩４
△大橋四段： 金
三浦九段は、ここで反撃。。
金との交換で手にした香車を天王山の位に打ち込み
銀取りを仕掛けつつ後手の角道を塞ぎました。。
が、しかし。。
８０手目△５七金。
上図での持ち駒
▲三浦九段： 桂、香、歩４
△大橋四段： なし
大橋四段は想定の範囲内とばかりに
妥協なく、手持ちの金を三浦飛車目掛けて投入。。
一歩も引かずにさらに攻勢を強めます。。
９０手目△８一香。
上図での持ち駒
▲三浦九段： 桂、歩３
△大橋四段： 歩２
これだけ攻めても手が途切れない
大橋四段の連打を再び重心低く受けて立つ
三浦九段はそれでも、自陣最下段に香車を打ち込み
抜け目なく反撃の隙を狙います（８９手目▲５九香）。。
しかし、大橋四段はここでも受けには回らず
先手の飛車が素通しの８筋に、お返しとばかりに
自陣最下段へ香車を投入しました。。
この手に対し
一目、▲８五桂の切り返しが味良さ気でしたが。。
９２手目△８八香成。
上図での持ち駒
▲三浦九段： 金、桂、歩３
△大橋四段： 飛、歩２
三浦九段は自らの香車を走らせ、金を捕獲。。
強気の反撃を決断した先手に対して、大橋四段も
８筋の香車を突進させ飛車を捕獲。。
ド派手な応酬から終盤戦の幕が開きます。。
１１４手目△９七香。
上図での持ち駒
▲三浦九段： 金、銀２、歩４
△大橋四段： 飛、桂、歩３
互いに一直線に敵将を仕留めに行く
終盤戦は壮絶にして手に汗握る攻防戦に。。
１３１手目▲５四銀。
上図での持ち駒
▲三浦九段： 金、歩２
△大橋四段： 飛、角、金、桂、香、歩４
後手の攻撃軍が殺到し、自玉を追い込まれた
三浦九段は握った手番で執念の寄せに出ますが。。
【 投了図・１３４手目△８ニ歩 】
投了図での持ち駒
▲三浦九段： 金、歩２
△大橋四段： 飛、角、金、桂、香、歩３
後手玉は、詰まず。。
上図の局面で三浦九段は万策尽き果て
無念の投了を告げました。。
噂に違わぬ個性と勢い、強さを存分にみせつけた
カラフルなニューカマー・大橋四段が堂々の勝利を飾り
２回戦進出を決めました。
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素晴らしい野心とビジョン
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名人戦は１勝１敗のイーブンに。。
名人戦/第２局・一日目の所感
名人戦/第２局開幕前夜
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「将棋界の一番長い日」は劇的なフィナーレ。。
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