新次元の攻防戦。。第58期棋王戦・本戦/準々決勝「三浦九段-豊島八段を振り返ろう」
今回は先週の木曜日(19日)に行なわれました
第58期棋王戦挑戦者決定トーナメント/準々決勝
注目の「三浦弘行九段-豊島将之八段」の模様を
振り返らせていただきます。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲三浦九段: なし
△豊島八段: なし
先手は三浦九段。
その初手は角道を開く▲7六歩から。。
対します、豊島八段は2手目に飛車先を突く
△8四歩と返し、対局はスタート。。
5手目▲7八金。
上図での持ち駒
▲三浦九段: なし
△豊島八段: なし
続く3手目に、三浦九段が飛車先を突くと
豊島八段は追随せずに△3ニ金(4手目)と返します。。
この手をみて、三浦九段も同じく角に金を連結すると。。
6手目△8五歩。
上図での持ち駒
▲三浦九段: なし
△豊島八段: なし
豊島八段はすかさず飛車先を決め
先手に▲7七角(6手目)の受けを強要し
「角換わり」模様へと誘導します。。
9手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲三浦九段: なし
△豊島八段: なし
そのまま定跡手順の進行で迎えた
上図から次に、豊島八段から角交換を敢行すれば
手損のない「ノーマル角換わり」となりますが。。
10手目△4四歩。
上図での持ち駒
▲三浦九段: なし
△豊島八段: なし
しかし、豊島八段は角道を止め
自らが誘導した「角換わり」を拒否する
最近流行の出だしとなりました。。
18手目△5三銀右。
上図での持ち駒
▲三浦九段: なし
△豊島八段: なし
現代将棋界を代表する序盤の研究家
三浦九段にとってこの形は想定内であり、望むところ。
右銀を中央5筋に繰り出し、手厚く「腰掛銀」に構えました。
一方の豊島八段は右銀を自陣5筋に繰り上げ
やはり現在大流行中の「雁木」模様で、含みを持たせます。
33手目▲9六歩。
上図での持ち駒
▲三浦九段: なし
△豊島八段: なし
後手は居角のまま金銀を連結した「矢倉」を完成。
両者は両サイドの端歩を突き合い、間合いを計ります。。
40手目△6五歩。
上図での持ち駒
▲三浦九段: なし
△豊島八段: なし
先に仕掛けたのは、豊島八段。
まずは桂馬の重なる6筋の歩を突き合わせ
先手の角道をこじ開けます(41手目▲同歩)。。
46手目△6五銀。
上図での持ち駒
▲三浦九段: 歩2
△豊島八段: 歩
豊島八段は先手の角を追いながら
銀を繰り上げ、上図で銀交換を要求。。
三浦九段が応じて、銀交換が成立すると
豊島八段は飛車先を突き捨ててから、満を持して
自らの角道を開きました(52手目△4五歩)。。
すると、次の瞬間。。
53手目▲2ニ角成。
上図での持ち駒
▲三浦九段: 角、銀、歩3
△豊島八段: 銀、歩
角を捌く機会をうかがっていた
三浦九段は間髪入れずに角交換を敢行。。
豊島八段は△同玉(54手目)で角を払い、以下
▲4五歩~△4八歩~▲3九飛~△4六角に▲2五桂~
△3三桂をみて、下図61手目▲6六銀打と進行。。
61手目▲6六銀打。
▲三浦九段: 角、歩4
△豊島八段: 銀
角交換成立後も
豊島八段は攻撃の手を緩めませんが、しかし
角を捌いて重荷を下した三浦九段の手がしなり
盤上では激しい主導権争いが繰り広げられますが。。
73手目▲7ニ角。
上図での持ち駒
▲三浦九段: 歩5
△豊島八段: 桂馬、香、歩
形勢有利を確信する三浦九段はそのままアクセル全開。。
後手の飛車先を受けることなく角を打ち込み、勝負に出ます。。
88手△7五桂。
上図での持ち駒
▲三浦九段: 銀、歩5
△豊島八段: 歩
しかし、今期ここまで9割近い勝率で白星を量産
悲願の初タイトル奪取へ一切の迷いなく突き進む
豊島八段も、勝利への執念を燃やして食らいつき
終盤戦は手に汗握る白熱の攻防となりましたが。。
【 投了図・115手目▲3七角 】
投了図での持ち駒
▲三浦九段: 飛、銀、桂2、歩6
△豊島八段: 飛、歩2
三浦九段の目はスッキリと晴れ渡り
握った手番で鋭く寄せに入った上図の局面で
豊島八段は無念の投了を告げました。
今期、猛威を振るう秀英をねじ伏せ、その実力をみせつけた
三浦九段が全将棋ファン待望の渡辺明棋王との番勝負実現へ
また一歩駒を進め、力強くベスト4進出を決めました。
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再び連勝街道ばく進中。。
藤井四段今期成績一覧(昨日更新)
藤井四段激戦譜(炎の七番勝負など)
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竜王戦/第1局は羽生棋聖が先勝
竜王戦/第1局・一日目の所感。。
いざ、「冬の本場所」竜王戦へ