明日は第3回将棋電王戦/第3局「豊島将之七段-YSS」 | 柔らかい手~個人的将棋ブログ

明日は第3回将棋電王戦/第3局「豊島将之七段-YSS」

将棋電王戦 HUMAN VS COMPUTER

第3回将棋電王戦特設サイト



プロ棋士と将棋ソフトの代表による5対5団体戦

毎週土曜日に行われています第3回将棋電王戦。



第3回将棋電王戦



プロ棋士側の負け越しに終わった前回大会の結果を受けて

基本的にはやりたい放題だったソフト側のレギュレーションを

今回はハードとPCを統一し、さらにソフトの事前提供を義務化。


プロ棋士側に有利と思われるルール変更が施され

さあ、今回こそは「反撃開始」と意気込んでの開幕でしたが。。




【 電王戦/第1局 】


3月15日 有明コロシアムにて。

「菅井竜也五段-習甦」


1




【 投了図・98手目△6七歩成 】



98


投了図での持ち駒


▲菅井五段: 飛2、金、歩

△習甦: 金、歩




第3回将棋電王戦/1回戦「習甦、大圧勝!」

衝撃の一局。。「菅井五段-習甦を振り返ろう」



【 第2局 】


3月22日 両国国技館にて。

「佐藤紳哉六段-やねうら王」



将棋電王戦/第2局




【 投了図・95手目▲3二銀 】



95


投了図での持ち駒


▲やねうら王: 歩3

△佐藤六段: 飛、角、歩




「佐藤六段、執念も実らず。。ソフト側が開幕2連勝」




ここまで2局を消化して、プロ棋士側の2連敗。

前回大会から続く連敗も1分(持将棋)を挟み「5」まで更新。。



「ソフトは終盤が強い」

「詰みが発生すれば正確無比な計算で絶対に逃さない」

などなど。。。


ソフトの長所を

そんな言葉で表現していたのも、今は昔。。


序盤はプロ棋士が築き上げた定跡をベースとして

一手、一手に意味のある、実にこなれた駒組みを展開。


中盤の難所では

曲線的でケレン味たっぷりの手でプロ棋士側を翻弄。。。


もちろん、終盤の計算力は言うに及ばず。。




将棋界期待の振り飛車党若手一番星

菅井五段を手厚い指し回しでひねりつぶした「習甦」。


プロの間では居飛車良しが共通理解となっており

最近はほとんど公式戦でお目にかかることの出来ない

「ノーマル四間飛車vs居飛車穴熊」に敢えて持ち込み

不利なはずの振り飛車でねじり合いを制した「やねうら王」。



第3回大会のここまで2局をみた限り

将棋ソフト側はスペックが制限されているにも関わらず

前回大会よりも圧倒的に洗練され、強くなっていると感じます。


また、2局とも「対抗形」となり

メリハリのある序盤、中盤、終盤を経て100手以内で終局。

内容的にも勉強になる上に面白く、何度も棋譜を並べています。



ただ、勝敗はソフトの連勝スタートとなりましたが

棋譜に魂を吹き込み、名勝負へと昇華させたのは紛れもなく

プロ棋士の強さ、頑張りによるところが大きいとも感じています。





佐藤六段



「うねうら王が強くて負けたというより、僕が弱いから負けた」



第2局終局後の記者会見で

唇を噛み締め、何度も強調した佐藤六段。



いや、そんなことはない。


当日、ライブで佐藤六段の対局を見守った

将棋ファンはひとり残らず、心の中でそう呟いたはず。



いや、そんなことはない。



鬼気迫る表情で闘志を前面に押し出し

真剣に、心の底から勝利を目指した佐藤六段の将棋からは

人間の強さ、凄味が存分に、余すところなく伝わってきました。



しかし、だからと言って涙は出ません。


前回大会では

ニコ生の大盤解説をつとめた女流棋士がプロ棋士側敗戦に

悔し涙を流す場面も見られましたが、今回はもう涙は似合いません。。



佐藤六段が負けた悔しさよりも

その頑張りに心が打たれている時点で、もうすでに

将棋ソフトとプロ棋士側の立ち位置が入替わっていることも

当日ライブで見守った関係者、将棋ファンは実感しているはず。。



プロ棋士側が、人類こそが、チャレンジャーなのだと。。




豊島ーYSS




明日の第3局、プロ棋士側代表として姿を現すのは

次代の名人候補である、23歳の秀英・豊島将之七段。


将棋界の未来を託すべく超逸材は

団体戦的な背水の陣というよりもはるかに大きな意味を持って

しかし、その割には無防備に、電王戦の舞台に足を踏み入れました。



豊島七段の今期ここまでの成績は

49戦35勝14敗(.714)。順位戦はB級1組で9勝3敗。


デビュー以来の通算成績も

350戦253勝97敗(.723)と勝利率7割を超える

豊島七段はすでにタイトル戦も経験済み



居飛車も振り飛車も器用にこなすオールラウンダーで

その棋風は手厚くもあり、時にはかみそりのように鋭くもあり

今なお、グングン成長し進化を遂げる真っ最中。。


また、不利な局面でも諦めることなく

周囲があきれるほどの粘りを発揮するのも、豊島七段の真骨頂。

大きな魅力となっています。



今回は連敗ストップへの期待を一身に背負っての出陣。。


もし負けるようなことになれば、豊島七段より格上の棋士として

広瀬章人八段、そしてついに渡辺明二冠の名前を挙げざるを得ず

さすがにここまでくると将棋界のコアのコア、心臓部を差出すことを

意味します。。。


無垢な将棋連盟とは言え、いくらなんでも

これ以上、気前良くは限りある人材を投入できないはず。。


本局は文字通り

電王戦の存在意義どころか、存続をかけた戦いと位置づけて

過言はありません。




豊島七段と対しますのは

コンピューター将棋の創世期より参戦している老舗ソフト

山下宏氏開発のYSS。


電王戦トーナメント3位での出場ですが

5位・習甦、4位・やねうら王の完成度の高さをみるにつけ

相当の強豪であることに全くもって疑いの余地はありませんが。。


しかし



豊島将之七段 vs YSS - ニコニコ生放送



今回の舞台はあべのハルカス。

開演時刻は午前9時半からとなっています。



我らの至宝に、諦めムードは似合わない
豊島七段なら勝ってくれると心底信じ、力の限り応援します!