高須藩関係者の著作物 1 | 松風園文庫 「高須藩への招待」

松風園文庫 「高須藩への招待」

岐阜県海津市にかつて藩庁が置かれた尾張藩の支藩である高須藩について紹介するブログです。また、所蔵品も載せていきます。 
 

高須藩関係者の著作物

 

高須藩関係者の著作物について管見のものを紹介したい。

 

□東來焚餘

 藩医を勤めた松尾東來の漢詩集。松尾東來は、実名世良といい、尾張藩の儒者岡田新川に詩を学んだ。文化八年、火災に遭い詩稿の多くを失ったが、残った詩稿を菊池五山(高松藩の儒者)の勧めで出版した。文化十三年発行、十八丁、川内泰、川内修同校、大窪詩仏及び菊池五山が序を書いている。名古屋市蓬左文庫・大垣市立図書館・内閣文庫に所蔵されている。

 なお、松尾東來の漢詩は、稲毛屋山編纂の采風集にも二編掲載されている。

 

 

 

□初学詩材

 日新堂教授を勤めた川内甚左衛門が漢詩を学ぶ子供のために編集した漢詩の用語集。

 川内甚左衛門は當當と号し、私塾方壺館を開き藩士子弟のほか近郊の子供に教授した。『初学詩材』は、寛政四年五月、京都の書肆「植村藤右衛門」から上中下巻が発行された。

 尾張荘内隠者が題を、美濃の釈観妙至道が校をしている。

 名古屋市博物館、東京大学総合図書館に所蔵されている。

 

 

□大統歌註解

 日新堂教授の森川篤蔵の子息で自身も訓導を勤めた森川重明の著作。明治十六年、愛知県知多郡の野間学校から出版された。当時森川重明は、野間学校の校長を勤めており教科書として出版された。

 

 

□通語字解

 森川重明編輯、岡崎綱三閲。明治十六年に名古屋の慶雲堂から出版された。岡崎綱三も日新堂教授を勤めた。

 

 

 

□勢遊草

 紀州藩の儒者川合春川は、高須出身である。名を孝衡、通称丈平といい、高須の医師佐竹一鴎の子で京都の医師川合龐眉の養子となる。安永八年紀州藩の儒者となり文化二年松坂学問所の教授となる。

  著作は多く、「勢遊草」もその一つ。文化三年に京、大阪、江戸、津、和歌山、松坂の書林で発行されたが、今でも時々古書店の目録で見かけることがある。

 

 

 「美濃の文化」 平成14年 No88