こんばんわ。屋内から出た時の夜風が身に染みる季節になって来ましたが、コートの備えで防寒は万全です!
・・・・、しかしながら、なぜこのブログ作成中のコンピュータルームは外より寒いのか・・・・。
熱い本でもご紹介して、ハートだけでもホットになろうかと思います(^▽^;)。(*画像は全てネット書店・e-honに繋がります。)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
齋藤孝さんによって、「過剰な人達」とまで称される登場人物達を量産した(何しろ、どの作品に出て来る登場人物達も、全員何つけ過剰なのですから、“量産”と言っても過言でないかと思います)、ロシアの大作家・ドストエフスキーの、「カラマーゾフの兄弟」
が、光文社さんより古典新訳文庫として発売されてより、100万部が発行されたそうです。
続けて、同じくドストエフスキーの、 「罪と罰」
も新訳文庫から発売されました。
従来新潮社さんより発売されてきた版の、 「カラマーゾフの兄弟」 ・「罪と罰」 も、売上げが伸びているそうです
〔「カラマーゾフの兄弟」〕
過剰なまでにあらゆる欲望に貪欲であり、それを満たす野蛮なまでの生命力に満ち溢れた父親と、彼の持つ様々な貪欲さを分け合ったような3人の兄弟と、彼等を巡る周囲の人々が、父親の貪欲さに翻弄され、ついにはその父親の殺害に発展、その犯人追及の上で吹き出る、人間存在の深奥を過剰にまで突き詰めた、読まずに死んだら後悔するであろう、地球内部のマグマのたぎりのように熱い熱量を持った作品です。
ワタクシなどは、ただただ、その迫力に圧倒されるばかりで、「すげえ熱さだなあ(書いてある事の100分の1も理解できんが。)」と、その熱が感染して、ひどく興奮してただけですが(↑上の文にしても、うけうりの簡略化です)。
理解力不足で全く分らないながらも、途轍もない迫力と熱さだけはヒシヒシと伝わって来て、「こんな途轍もない熱量を放出する作品を書き上げる作家を産み出した国土だもの、世界で初めての共産主義国家も産み出すだけの熱さがある訳だ」と、見当違いな方向で納得しておったものでした。
ドストエフスキーさんの「罪と罰」をはじめとした他の作品達も、もちろん「カラマーゾフの兄弟」に勝るとも劣らぬ、激しい熱さですので、読み応え充分!!全作品読まずには損です!!おこがましくも、私が言うまでもないのは百も承知で、ついつい。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
さて、先日ご紹介した本で、コメントをいただいた本が、丁度共産主義下のソ連が舞台でしたので、もう一度コメントのお礼がてらご紹介します!
「(ご紹介した際の文章から)フィクションか、ノンフィクションか分らなかった。」とのコメントをいただきましたが、伝え聞く限りの情報から想像される、西側に閉ざされたソ連社会の姿が、生々しく描かれており、その西側社会から見れば特殊な世界と連続殺人の謎を巧みに絡めあった構成は、読み応え充分でした。
社会制度のせいとはいえ、色々な面で過剰に熱い人々が登場し、「やはり、ロシアはドストエフスキーのような作家を生み出す土地なんだなあ。」と再確認。
しかも、作者のトム・ロブ・スミスさんは、まだ30歳前という事で、末恐ろしいというか、今後が楽しみな作家さんが増えて、嬉しい限りです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ソ連絡みと言えば、青池保子さんの、「エロイカより愛を込めて」
シリーズも大変オススメです!!
〔「エロイカより愛をこめて」〕
英国貴族ながら、美術愛好家として目に適う美術品を手にすべく世界を飛び回る怪盗・エロイカ(↑34巻、表紙)と、内外から強面で知られ、世界中起きる諜報戦争や事件に挑むドイツの剛腕NATO軍情報将校・エーベルバッハ少佐(↑32巻表紙)を中心に、魅力的且つ、過剰な人々が、時代時代の様々な世界情勢を背景に繰り広げる、迫力あり、笑いあり、の大活劇です!
世界情勢を背景にした恐ろしく緻密で読み応えのある作品と言えば、「ゴルゴ13」シリーズですが、何ら遜色のない充実した、女性漫画誌掲載とは思えぬ充実ぶり!車一つとっても、男性作家さんが描いたような細かな表現で描かれていますし、NATOの将校としてたまに乗り込む戦車までも出現し↓、大活躍する始末!
登場人物も、女装が趣味の泥棒かつホモ(といっても、ボーイズラブのような生々しさはなく、上質のコメディに昇華されたます)のエロイカ伯爵は、至る所でNATO少佐を追い回しては痛い目にあったり、泥棒としての能力を生かして、情報戦の任務に協力したり。
また少佐は、時に伯爵に追い回されて翻弄され、時にどつき回し、時に協力して事件の解決に当たったり。
旧ソ連からの核物質の流出や、フランス・イギリスとの水面下の確執などから生まれる事件など、芯の通った骨太の各エピソードに、エロイカ伯爵や少佐に加え、過剰なまでに金銭欲に溢れた“宇宙人”とまで呼ばれ怖れられる感覚の持ち主や、旧KGBやCIAをはじめとした一筋縄ではいかない、一人一人キャラの立ち過ぎた各国情報部員、少佐の手足となって、家庭生活から任務の遂行まで、あらゆる面で登場してくる部下達に、行く先々の国で登場するお国柄が出すぎた個性溢れすぎの各国人などが、情報網と人員を駆使した推理や活劇に、絶妙なコメディ・ギャグまでも演じ、分厚い物語を産み出しています!
(↑右端が、エロイカ伯爵の計理士で、不潔と貧乏をこよなく愛する、“宇宙人”こと、ジェイムズ君。)
(↑少佐の後ろが、ホモで“能無し”の上司・部長と、真面目な部下Aとお調子者の部下Bです。)
その登場人物数たるや結構な数ですし(少佐の部下だけでも、A~Zまでいます)、もとより世界情勢が背景で複雑な展開になりそうな上、サスペンス・アクション・コメディ・ギャグなどあらゆる物語要素を詰めこんで収拾のつかないものになりそうな所、これらを見事にまとめ上げて、充実感溢れる作品に仕上げてくれる青池保子さんの実力は、当代きっての名作家です!!
そんなシリーズの中で、西側社会の組織であるNATOと対立する関係上、様々なエピソードに登場し、重要な位置を占めているのが、旧ソ連時代からも含めての、KGB(ソ連の情報部です)の面々。
各国に情報部員として様々な姿で潜り込み、諜報活動をする彼等は、時にシリアスで緊迫した恐ろしい存在であり、時に財布の中身が厳しい共産主義国家ならではの悲哀を抱えたコメディアンを演じたり(西側情報部が経費でレンタカーを使う中、彼等はレンタサイクルだったりします。)、と、ドイツのNATO将校である少佐と、喧々諤々の争いや喜劇を演じます。
常に実名で呼ばれず、暗号名で呼ばれる彼等の名前も特徴的。最も最前線で少佐と対決する強面・スキンヘッド・サングラスの元世界クラスボクサーのベテラン諜報員は“子熊のミーシャ”。長めの白髪に、たくわえた髭が渋い、やはりベテランで知性派のロマンスグレー風が“しろくま”。この他、“あかいきつね”や“あけがらす”などなど、個性溢れる名前の面々が、名前に負けぬ個性的な活躍で、物語を盛り上げています!
女性誌で活躍されている作家さんなので、男性の方はあまり馴染みがないかもしれませんが、このような傑作を生み出す作家さんを見逃しておく手は、全くありません!!是非、御覧になってみて下さい!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
長くなってしまいましたが、お陰様でカラダは寒くても、ハートは変にホットな状態になりました。
何やら過熱気味の文章を御覧下さり、ありがとうございます。
またお会いできるのを楽しみにしております!!