-サイバーエージェント流- 成長するしかけ | ビジネススキル向上のための書評ブログ

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第51回となる今回は、インターネット広告最大手サイバーエージェントの組織論を書いたこちら!!

サイバーエージェント流 成長するしかけ/曽山 哲人

¥1,470
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ぼくの評価☆☆☆☆☆
(人事異動の仕組みや新規事業の立ち上げ、若手の人材育成など人事面において参考になる箇所が随所にちりばめられている)


若手が積極的に発言し、行動し、主体的に活躍できる職場は意外にも少ないのではないでしょうか。

まさにこのサイバーエージェントという会社は20~30代の若手が中心となってバリバリ活躍している企業です。

ぼくもこの会社と関わったことがありますが、
対応の丁寧さ・正確さ・スピードどれをとってもいい対応をしてくれます。

前のこちらでも書きましたが、
サイバーエージェントの最大の強みはマネージメントだと思っています。
常に働く社員のことを優先し、いかに働きやすくかつ社員一人一人が成長できる環境を提供し続けられるか。

そのマネージメントに徹底的にこだわっている強いこだわりが本書からは伝わってきます。



サイバーエージェントが創業した1998年といえば
インターネットが注目され、ネットを主体とした事業を掲げる企業が雨後のタケノコのように現れた競争が最も激しかった時代。
その中で紆余曲折ありながらも、成長する意欲を失うことなく悩みながらも進み、成長してきたことを序盤では赤裸々に綴っています。
若さとベンチャー特有の自由度と熱気、そして世間から大きな期待を寄せられる成長分野とその働きがいはなにものにも代え難いものだったと思います。

それ故に社内での摩擦、方向性の不一致、次から次へと振りかかる課題。
創業期のサイバーエージェント社内はどういった空気だったのか想像もつきません。

そこで当時、離職率30%を超えていたサイバーエージェントは人事戦略の見直しにとりかかります。

まず取り組んだのは課題の洗い出しです。
社員がどういった不満を抱いて働いているのか。
退職者はなぜ退職していったのか。
耳がいたくなるような現状を一つ一つ受け止め、
会社の現状を把握していったとあります。

ぼくがサイバーエージェントの人事戦略に魅力を感じることのひとつは決して人事を押し付けない価値観です。
会社の都合で人事を配置することはあまりなく、本人の希望する部署を尊重してくれるのです。

会社の都合で仕事の内容を決められてしまうのは、本人のやる気を削いでしまう危険性があり、ぼくもあまりいいことではないと思います。
本人が希望して配属された部署で結果を出せなかったり、不満が多少あっても自分が決めて今の部署に配置されているのでそう簡単には音を上げることもできません。
自分の言ったことを簡単に曲げるようでは会社から信用もされなくなってしまう可能性もあるでしょう。
だからこそ多少のことではブレずにしがみついて必死になれるのだと思います。


他にも福利厚生の面で言うと、「2駅ルール」や「休んでファイブ」などユニークかつ社員想いの制度が充実していることがわかります。

かつて「会社は株主のもの」と豪語していたIT企業がありましたが、
サイバーエージェントはそれとは全く逆で、「会社は社員のもの」という意識が強く感じられます。
リーマン・ショックもどちらかというと株主や利益を重視した企業が自然と増え続け、結果的に経済が暴走した側面がありますから、
こういった会社が1社でも多くこれからの時代に現れて欲しいものです。

ぼくが思うに会社でなにより大事なのは、
創業者や社長などトップの価値観
結局はそこに尽きるような気がします。

人事を動かすのは人事部長なのかもしれませんが、
その人事部長を配置するのは役員、もしくは社長ですから
社員が働きやすいと感じられる企業に共通するのは
社長などのトップマネージメント層が
「一人でも多くの社員に長く働いて欲しい」と
本気で思っているか、どうか。

そこに尽きるのではないかと思うのです。

企業によってどこに力をいれていくかは主に社長次第という側面があります。
営業戦略なのかマーケティングなのかそれともマネージメントなのか。
少なくともマネージメントに最も力を入れている会社は社員想いの会社と考えてまず間違いないと思います。

サイバーエージェントが掲げる新しい形の終身雇用という考え方は強く共感します。
新卒、中途関係なくその会社に長年務めたことで蓄積されるノウハウや顧客とのつながりは何者にも代え難いはず。
それこそが会社の財産であり、競争力である。
そんなメッセージが随所から伝わってきます。


その点、サイバーエージェントの藤田社長は「一人でも多くの社員に長く働いて欲しい」と本気で思っているのが伝わってくるので、なにより尊敬できる経営者の一人だとぼくは思っています。


株式会社サイバーエージェント http://www.cyberagent.co.jp/
藤田社長のブログ http://ameblo.jp/shibuya/


※おもしろい対談をみつけました。
今、政界は大変なことになっていますが、対談を聞いていてこんな二人に日本を引っ張っていって欲しいなと思いました。











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