
プラネット・グーグル/ランダル ストロス

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ぼくの評価





(待ってました!Google専門書!文句なしの内容です
)本書で学んだことは、「Googleの失敗から何を学ぶか?」
ということです。
無敵企業ともいえるほど、猛烈な勢いと強さで成長を続けてきたGoogle。
そのGoogleが犯した判断ミスとは何なのでしょう?
1.「世界中の情報を整理する」ことができない領域。
まず触れるのは、本書でも触れられているこの興味深い内容。
Googleでも踏み込めない領域。
それは、
「Googleの内部情報」と「SNS」です。
Googleの内部情報とはつまり、Googleのアルゴリズムの詳細です。
Googleは社内機密を外部に漏らさないことで成長や存在価値を守っているとも言えます。
簡単に考えれば、世界中の情報を整理するということは逆にその方法をGoogleは一切明かすわけがないのです。
次にSNS。
SNSはある意味、外部からのアクセスを遮断することで価値を見出しています。
その存在価値に、Googleはこれまで以上の価値と脅威を感じているようです。
Google vs Facebook。
Web上で決して、交わることのない両者が今後どのような展開をしていくのか。
楽しみですねえ

2.Google急成長を支えるサーバー群の秘密
Googleは創業当初からサーバーは自作で安価な部品を使用し、なるべくお金をかけないようにしてきました。
現在、30万台ともいわれるGoogleのサーバー。
本書に書いてあった裏話ですが、アメリカでITバブルが崩壊したとき。
GoogleはITバブルの影響で次々と倒産していった会社からパーツを安価で買い取り、それを使用して急成長に伴うサーバーの補強に当てていたという逸話があるそうです。
SaaSやクラウドコンピューティングなどの領域で他社と張り合う場合、やはりサーバーは大きな競争力です。
この先の未来、SaaSやクラウドコンピューティングがますます企業で導入が進むとしたら、
サーバーの構築力はまさに競争優位性を生むひとつのポートフォリオになることと思います。
3.Googleの犯した失敗
(1)図書館デジタルプロジェクトの著作権問題
これはGoogleブック検索と呼ばれるサービスで提供されています。
確かに私たちからすると、本から雑誌などあらゆる印刷物をすべてデジタル化することには多いに歓迎です。
Googleが想定していなかったことは、その印刷物によって生計を立てている人たちがいて、それを犯すものは訴訟をもいとわないということ。
ITは確かに既得権益を簡単に破壊することができる驚異的なツールではありますが、やはりその領域を侵してはいけない領域というものがやはりこの世には存在するということなのでしょう。
(2)Googleビデオの失敗
GoogleはYou Tubeの急成長を目の当たりにして確実に焦っていました。
なぜGoogleが遅れをとったのか。
まさにGoogleらしからぬアルゴリズムの失敗でした。
当初、Googleビデオはメディアに頼った構成となっていたのです。
知の多方向性、Web2.0ともいえるメディア形成は爆発的な成長を促すことができます。
メディアから発信されたコンテンツを待っていては爆発的な成長はありません。
投稿ビデオはまさにGoogleらしいコンテンツ形成手法であり、メディアで作成したものをWeb上にアップロードしていく手法はGoogleらしくなかったのです。
そんな裏事情を知ると、確かにYou Tubeの買収はGoogleらしくないといえばらしくないのかもしれません。
自社の製品に並々ならぬ自信を持っている企業ですからね

(3)あまり知られていないGoogle Answers
これはいわゆるYahoo!知恵袋のGoogle版です。
失敗要因としては、回答者が専門家だったということです。
Googleとしては意外ですよね

本書には知られていないGoogleの失敗談がこれ以外にも載っています。
超優秀な人材をそろえ、無敵ともいえる強さを誇るGoogleですら、社内では数々のプロジェクトが生まれは消えているということなんですね

ちょっと親近感が沸きます

3.Google Earthも実は買収から始まっていた
これは知りませんでした。
そういわれてみると、Google EarthのインターフェイスはGoogleらしくないと言われれば確かにそうですよね。
これはGoogleのすぐ裏手にあった小さな新興企業キーホールを買収したことから始まったようです。
ポイントは敵対的買収ではないということ。
キーホールはすばらしい技術力を持った会社だったのですが、資金難で売り手を探していたところにGoogleが名乗り出たということのようです。
M&Aによって相乗効果を生み出すサービスを提供するには、やはり双方の合意がないとうまくはいかない場合が多いようです。
ちなみにこれはYou Tubeの買収にも当てはまります。
技術力があっても資金を集めることに苦労するIT企業は思いのほか多いということなのでしょうか。
なかなか難しいですね。
IT企業の運営って

4.ストリートビューに思う
いろいろなところで議論を呼んでいるストリートビュー。
プライバシーの観点から言うと確かにGoogleに非がないとは言えないかもしれません。
しかし仮に、利用者からアンケートを取ったら賛成派が多数を占めるのではないでしょうか。
このストリートビューというサービスはテクノロジーの進化の過程で、避けては通れないサービスだと思います。
たまたま提供したのがGoogleだったというだけです。
Googleがやらなくても、どこか別の企業が少なからず提供を考えていたはずです。
Googleの強さはまさにこのやりきる力、つまり実行力ですよね。
テクノロジーとはまさに生まれたての時は八方から批判され、叩かれるものです。
自動車だって飛行機だってそう。
たとえ死亡者やけが人を出そうが、それを理由に自動車や飛行機を辞めようという人はいません。
そのサービスを望む人が圧倒的に多いからなのです。
そしてそれを真っ先に提供したGoogleはやはり技術力があり、実行力もあるというわけです。
プラネットグーグル。
Googleはまさに惑星規模の会社になろうとしています。
その高い技術力、超優秀な人材、自由度の高い社風、全米の働きたい企業No,1にはそれなりの理由と魅力があるということなのでしょう。
まさに感服です。
これからも批判などに負けず、信念を持って成長し、発展していくことを切に願いたいと本書を読んで思いました。






