起業家2.0 | ビジネススキル向上のための書評ブログ

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日々の読書で感じたITやテクノロジー、経済などビジネスに関する様々なジャンルの書物を独自の観点で評価していく書評ブログです。

第14回となる今回はITバブルの崩壊後からホリエモン終焉後のベンチャー起業家の創業物語を描いたこちら!!


起業家2.0―次世代ベンチャー9組の物語/佐々木 俊尚

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ぼくの評価☆☆☆
(起業に興味のある方におすすめ。起業家=努力家の日常を覗けます)


本書の紹介をする前に、本書のまえがきを一部紹介したいと思います。

-プロローグ-

優秀な若者たちの多くは、いまや起業に向かっている。

今私は、「優秀」という言葉を使った。それは決して、学校の成績が良いとかスポーツができるとか、あるいは大人の世界に迎合するのがうまいとか、そういうことを指しているのではない。勉強がからきしダメでオール1でもスポーツ音痴でも、それとも大人たちの間に入り込めず、社会から排斥されてしまっているような若者であっても、それでもやっぱり優秀と呼べる若者たちがいまやものすごい勢いで増えているのだ。

それは古い時代にいたような学業優秀、品行方正な「優秀」ではなく、もっと広い意味で一芸に秀で、何らかのかたちで自分の才能を世間に問うことのできる若者たちのことだ。

(中略)

彼らは古い世界の常識からみれば、とんでもない跳ねっ返りだったり、あるいは落ちこぼれだったり、引きこもりだったりする。
しかし彼らはさまざまな能力を持ち、自分の才能で社会に打って出ようとしている。

(中略)

裾野の広がりかたや社会への浸透度を考えればまだシリコンバレーにはほど遠いけれども、しかし着実に、日本にもベンチャースピリットは若者の間に根付きつつある。

この本は、そうしたベンチャースピリットを持った新しい若者たち九組の生きざまを描いた。これらの物語を通じて、彼らの思いが読者の皆さんのところに届くことができればと思う。

-以上-



このプロローグを読んでどう感じるでしょうか。

ぼくは非常に励まされている印象を受けました。
学校の勉強がすべての時代ではないのだと。
個人的なことを言うと、正直ぼくは学業はからっきしダメでした。

勉強が嫌いだったというわけではなく、まったく興味が持てなかったのです。
それから社会に出て、現実を目の当たりにして考え方が劇的に変わりました。

須田将啓と田中禎人


本書に出てくる方たちは、ぼくとは違い非常に優秀な方たちばかりですが、
学生を終えた後に一度、大企業に勤めてから起業した方や
学生起業をした方たちなど様々ですが、共通点があります。

それは自分から率先して物事を考えて行動できる人たちだということです。



ぼくはこういった起業を志す人やベンチャー企業に就職する人などの行動や発想を「趣味」に例えます。

誰しも興味のあること、好きなことは自然と調べてみたり、それに関する本を読んだり自然とそういう行動をしたり考えたりしますよね??

起業を志す人やベンチャー企業に勤める人の場合は、「ビジネス」が趣味なのです。

ビジネスが趣味なので、まずは経済や政治を知ろうと自然と日経新聞などを読んだり、ネットで調べたり、ビジネス本を読んだりします。

そう考えるうちに、勤めている企業のことを同僚や先輩の視点から、上司の視点、さらには経営者の視点で考え始めます。
「ビジネス」が趣味の人が経営者目線で考え出すと、その会社のことがだんだんおもしろく考えられるようになってきます。

いやな上司がいたとしたら、
「なぜ○○社長はこの人にこのポジションを任せているのだろう」
と、考えたり。

会社に問題点があったら、
「○○社長はこの問題点把握してるのかな?それとも知らないのかな?それともそれが正しいと思っているのかな?」

会社の大きな決定事項も、
「なんで○○社長はこのような決断をしたんだろう?この方法でこの先この会社は成長していくのかな?」

所属する会社に大きく関係する経済ニュースが流れたときも、
「○○社長はこのニュースをどう捉えているのかな?今後会社をどう動かすのかな?」

などなど、「ビジネス」が趣味の人は経営者目線で考えることでさらにビジネスがおもしろく考えられます。

家入一真


そして、そういった経済や政治のことに興味を持ってどんどん勉強していくうちに
(趣味なので勉強しているという感覚もない)
ついには会社経営に興味を持ち始めるのです。

知識がついてくると、先ほどの疑問から派生した自分なりの発想や考え方が出てきます。
「おれならこうするのになあ」とか「こんなことやったらおもしろそう」
とか趣味なので常にそういうことを考えてしまいます。

すると次第に自分でやってみたいという衝動が抑えきれなくなってくるのです。



仮に優秀な大学を出て、会社で優秀な実績を残す人がいたとしても嫌々その仕事をしていれば、いずれこのての「ビジネス」が趣味の人に追いつかれるか、抜かれて差をつけられてしまうのではないかとぼくは思っています。

なにせこの人たちは常に会社のことやビジネス、経済、政治のことを考えているわけですから。
ビジネスが好きで自然と常に考えている人ほど、強いものはありません。

本当に好きになればそういった知識も自然と頭に残るようになりますし。
なにより成長が早い。

近藤淳也


本気でビジネススキルを向上させたい方は、Googleの発想をベースに考えると、
ビジネスが趣味のレベルに達するまでとことん好きになることがまず大前提だとぼくは思います。

本書ではそういった「ビジネス」が趣味ともとれる非常に優秀な方たちの人生模様を覗くことができますので、起業に興味がない方でも、ビジネスに興味があればなにかと参考になる一冊だと思います。