
経済は感情で動く―― はじめての行動経済学/マッテオ モッテルリーニ

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ぼくの評価





(マクロ経済学に近い。消費行動から投資まであらゆることに活かせる知識です)
まずは「行動経済学」を理解するために本書でも紹介されている例をいくつか紹介したいと思います。
1.「\10,000」と表示されている商品
2.「
これは日常でも見かける消費者心理を突いた商品販売手法です。
さらに「3日間限定」と表示すればさらに消費行動は変わってくるかもしれません。
これを本書によると、アンカリング効果と呼びます。
実質一万円なのにも関わらず元の値段を知らずに意識してしまうことだそうです。
(アンカリングとは船の錨をアンカーと呼び、そのアンカーをおろすことで船の行動範囲がアンカーを基点に限られてしまうことが語源)
さらに、
(死の危険がある病にかかったとして)
医者に、
1.この手術の生存率は95%です。手術されますか?と提示される。
2.この手術の死亡率は5%です。手術されますか?と提示される。
これは断然、後者の方に恐怖感を感じることと思います。
よくよく考えてみると、意味合いは一緒です。
このように提示のされ方で、人は判断が変わることがある。
これを、フレーミング効果と本書では紹介しています。
確かに言われてみると、どうしてそんな判断をしてしまうのだろうと考えてしまいますよね。
うーん

不思議だ

さらに、ギャンブラーに当てはまる心理的な法則を紹介すると、
(株式投資をされている方にも当てはまるかもしれませんね)
コインを連続で投げて、3回連続で表が出たとして次こそ裏が出るんじゃないかと考えること。
(実際は常に1/2の確率なので変わりません)
これを小数の法則と呼びます。
さらに平均値への回帰という法則は、
統計学の用語で、長い目で見れば平均値へもどることをいいます。
平均値を基点にあれこれ考えてしまうことですね。
こんな感じで読んでいると非常に興味深い法則がたくさん出てきます。
消費行動、つまり自分の財布からお金が出るときにどういうことが脳の中で起こっているのか。
それは単純に「直感」と「理性」のたたかいと言えます。
これはこの本を読んで感じたことなのですが、
たいていの人は「反応」することだけで生きているといえます。
「腹が減った」と感じたからめしを食う。
「眠い」と感じたから寝る。
「寒い」と感じるから暖房をつける。
「ひまだ」と感じるからTVをつける。
主体性がない場合が実は非常に多いのです。
一日の大半はなにかに反応して生きている場合が多いといえます。
つまり実は「理性的な行動」がなかなか出来ないのです。
人は「理性」や「論理的に考える」より先に「反応」や「直感」で行動している場合が多いのです。
それは人間の遺伝子の歴史ともいえます。
どんな動物でも「反応」や「直感」は発達していますが、「理性」や「論理」などはほとんどなく、あるのは人間だけです。
つまり人間の中の脳で起こる現象の中で、理性や論理という機能はごく最近発達したばかりの新しい機能だということです。
これは訓練していないと常に機能的にはたらかせることは難しいのです。
行動経済学を学ぶことの大きな意義は、
この「理性」をいかにうまく素早くコントロールできるかというところにあるとぼくは感じました。
消費行動をする場合、その金額が大きくなるにつれて「理性」や「論理」が比例して高まります。
車やマンションなどを購入する場合、よーく検討しますよね??
それは「直感」だけで購入したい気持ちはあるが、直感だけで判断してはいけないと「理性」が押さえつけている状態と言えます。
その高額な買い物以外ではどうか?
理性がはたらいているでしょうか?
では最後に本書の最後に紹介されている「直感」と「理性」のはたらき具合を判定するテストを3問紹介します。
1問につき約30秒以内でお答えください。
※下の方に答えを書きます。
分からない場合、できれば簡単には見ないで考えてみることをおすすめします。
1.サッカー用の靴一足とボール一個を合わせた値段は110ドルである。靴はボールより100ドル高い。ボールの値段はいくらか?
2.5分間に5個のボールを生産するには5台の機械が必要である。機械100台でボール100個生産するには、どれだけの時間が必要か?
3.サッカーのグラウンドが一部草地になっている。草地は毎月2倍の範囲で拡がる。48ヶ月後にはグラウンド全体が草地になる。グラウンドの半分が草地になるには何ヶ月かかるか?
ちなみにぼくは2番しか当たりませんでした。
本書を読んできたにも関わらず、お恥ずかしいかぎりです

結局ぼくも「直感」で生きているタイプということなんですかね

ショック

1.5ドル
2.5分
3.47ヶ月
正答率はいかがだったでしょうか。
これを一瞬にして全問正解された方は、消費行動でムダ使いなどあまりされない方なのかもしれませんね。
すばらしい

また解きかたがどうしてもわからない方は本書に詳しく解説が載っていますので、読んでみてください。
「行動経済学」は経営者のような会社を運営する立場の人は学ぶことの多い学問だとぼくは思います。
まさに誘導尋問といったら聞こえが悪いかもしれませんが、消費者行動を学べる学問ですからね。
もちろんマーケティングにも大いに役立つことだと思います。
さらにビジネスモデルがBtoBやBtoCに関わらず、知っていて損はないと思います。
逆に消費者の立場からすると、この学問を知り、「理性」や「理論」を先に活かすような生活を送るとまた生活も変化していくのかもしれません。
おもしろくてためになる「行動経済学」を本書にてぜひ学んでみてはいかがでしょうか。

