
なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?/瀧口範子

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ぼくの評価




(知的好奇心を刺激される一冊。イノベーションに興味のある方におすすめ。ちょっとマニアック度高いです)
本書はシリコンバレーで暮らす人々やITで世界を牽引するような人物のちょっとしたエピソードを紹介する本です。
ひとつのエピソードが3~4ページほどになっており、およそ70エピソードくらい紹介されているので、仕事で忙しいビジネスマンにとってはちょっと空いた時間にさくっと読める一冊です。
ぼくもなにかと忙しい日々を送っているので、こういった構成の本は非常に助かります

では、その中のひとつのエピソード。
タイトルにもなっている「シリコンバレーではゴミを一切分別しない理由」を紹介しようと思います。
シリコンバレーでは他の地域に比べエコや地球温暖化に危機意識を持っている人が多いにもかかわらず、ゴミを一切分別しないそうです。
ではその理由を紹介する前に、ゴミの回収についての豆知識を

豆知識と言ってもちょっと想像すれば誰でもわかることではありますが、行政機関から分別を細かく指定されればされるほど回収率は悪くなります。
確かにそりゃあ誰だって細かく指定されたらおっくうになりますよね??
ぼくもけっこう苦手です

と書いてあったら別の袋だとか、カン・ビンは水曜に捨てるけど燃えるゴミは月曜だとか、いちいち覚えてられません。ではシリコンバレーではどうしたのか?
シリコンバレーでも以前はプラスチックやカンや新聞などと書かれたカゴが各戸に置かれていて、収集されていました。
しかし、ある日突然超巨大なゴミ箱が街中に置かれたのです。
そこには、「これからは分別の必要なし。すべての資源ゴミをこの中に入れること」と書いてありました。
そりゃあ誰だってビックリしますよね

「そんなバカな・・・」
著者もそう感じたそうです。
で、
パロアルト市役所に電話して聞いてみると、
「資源ゴミをかなり高い確率で分別する機械を導入したので、これからは分別の必要がない」
というのです。
というわけで、シリコンバレーではゴミというゴミをぽいぽいその街中に置かれた巨大ゴミ箱に入れるようになっているようで。
なんてすばらしい街なんだ!
と、思いません??
これぞテクノロジーを利用した最新のエコ事例ですね

確かにこれなら街中からゴミが減る確率が格段に上がることも容易に想像できます。
これもGoogleの発想に近いですね。
優秀な(増殖エンジンならぬ)回収エンジンをひとつ開発したことで、双方にメリットのある状況を作り出す。
まさに民主主義というか人間の心理と最新のテクノロジーを組み合わせたすばらしい事例だと思います。
不特定多数の人に「こうしてくれ!」と訴えたところで、それが100%実行に移されることは不可能に近いことです。
それがめんどうなことであればなおさらです。
で、あれば民衆が考えるベクトルに合わせつつ、自らにもメリットのある方法を考え出す。
こういった発想をぼくはこれまでGoogleの発想と名づけて紹介させていただいてきましたが、これからの時代にはこの発想が非常に競争優位性を生むと思います。(ゴミの分別は競争ではありませんがね)
本書では思わず納得してしまうようなシリコンバレーならではのおもしろエピソードが満載です

その他にもGoogle、Yahoo、Apple、Microsoft、ebayなどのエピソードも出てきます。
本書はITやイノベーションに興味ある方は刺激される一冊になること間違いなしです


