華麗なる圧勝!!
王位戦第四局を振り返る
第65期王位戦7番勝負第4局は19、20日に佐賀県唐津市の洋々閣で指され、後手の藤井聡太王位が挑戦者の渡辺明九段を100手で下し3勝1敗で防衛に王手をかけました。
藤井王位は防衛すれば5期連続獲得となり、棋聖位に続く2つ目の永世称号の資格を得ることになります。第5局は27、28日に神戸市の中の坊瑞苑で指されます。
2時間37分の大長考の真意は
1日目の封じ手に157分の大長考をしたことについて「その後の方針が1日目では決まらなかったので、封じ手にしてその後考えようと思った」と理由を明かしました。 下図が、その局面です。ここでは、84角とする以外の手はまず考えられないところです。この発言からも、角頭の歩から始まる後手の攻めの厳しさがうかがえます。
封じ手は、予想通りの84角。8筋へ回る飛車引きに、先手は48の銀を5筋に引き、角の引き場所を作りました。しかし、この手は形勢を損なう一手になりました。辛抱の一手でしたが、ここからは先手には芳しい打開策はありませんでした。
久々の藤井曲線
中盤からの藤井王位の差し手は、疑問手すらない完璧な差し回し。ほぼAIが示す手順で進みました。先手は、藤井王位の攻めに対応するのが精一杯という感じで、反撃の手が回ってきませんでした。
局面は91手目。渡辺九段が最後の勝負手を放った所です。この角打ちは、うっかり同金とすると、大逆転となります。しかし、藤井王位は読み切っており、26桂と王手をかけ、55歩と打って飛車の利きを抑えていきました。これが先手の狙いを打ち砕く、絶妙の手順でした。もう、先手には勝つ手順がありません。形作りの桂はねに対して、38金を見て先手の投了となりました。
堅陣に囲った渡辺玉に対して、自玉はバランス重視の簡単な囲いで対抗。「お互いの玉形がかなり異なる形だったので、そのあたりの距離感をつかむのが終始難しい将棋だったかな」と振り返った藤井王位。その中でも一度ペースをつかんだ後は優勢を崩さない快勝。勝てば永世称号の資格を得る第5局に向けて「すぐ来週にあるので状態を整えていきたい」と静かに抱負を語られました。
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