壮絶なる逆転劇~名人戦七番勝負第一局を振り返る
第82期名人戦七番勝負の第1局(は11日午後9時22分、藤井聡太名人が豊島将之九段に141手で勝ち、初防衛に向けて好スタートを切りました。
横歩取りの力勝負で進んだ1日目、豊島九段の封じ手は、駒の連結を重視した7二銀でした。。互いに相手の動きをけん制しながら陣形を整えていましたが、昼食休憩後に豊島九段が95角と放ち、局面が動き出しました。藤井名人も4六角と角を手放して強気に応戦したが、8六歩から豊島九段が7筋突破に成功し、徐々にペースを掴みました。
勝勢の後手に痛恨のミス
図は121手目、後手の飛車成りの王手に対して、先手が46玉ととした局面です。この局面での形勢は、後手の勝勢。ほぼ勝負は決まりという状況でした。
AIは、ここで「48龍」と金を取る手を示していました。以下、
▲6三金打 △4四香打 ▲4一銀打 △3三玉▲3七桂△3八桂成と進めば、おそらく後手の快勝だったのではないでしょうか。
しかし、後手の選んだ一手は、「44香」でした。痛恨の手順前後となってしまいました。形勢は、互角まで戻りました。
敗着
先手は、44香に対して、当然桂馬と取りながら48金を守ります。後手は、金を取りました。先手は、99馬の効きを消す88
歩。
この局面では、38桂成と迫って行けば、まだまだ互角の勝負が続いていました。しかし、後手の着手は、「79龍」。形勢は、一気に先手勝勢になりました。後手にとっては、好局を落とす敗着となってしまいました。
華麗な収束の一手
図は139手目、先手が馬に当てながら82飛と打った局面です。後手は、馬取りを受けつつ、98飛と指しました。しかし、この82飛は単なる馬取りではなかったのです。41銀からの勝ちを決定づける一手だったのです。同玉は52飛成からの詰み。21玉は、必死になる手順があります。
後手は、41銀を見て投了しました。一手の緩手を逃さなかった藤井名人の劇的な勝利でした。
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