こんにちは。書道の上達は『お手本を見る力』に比例すると考えている、書道家の清水克信です。

今、書道を習っている方は、お手本を見て練習していると思います。その時に、いろいろと感じるでしょう。

  • お手本のように書けない
  • お手本と同じように書けた
  • お手本より上手に書けた
  • ・・・
  • ・・・


もし、お手本のように書けない場合、なぜなのか?必ず分析してみてください。分析というと大げさですが、見直してみるということです。

これを繰り返すと、お手本を見る力が身に付きます。

お手本を見る力

  • 筆の入り方は?
  • 線の太さは?
  • 線の方向は?
  • 偏と旁のバランスは?
  • ・・・
  • ・・・


お手本を見たときに、無意識にお手本を分析するようになります。分析が癖になると、再現力は高くなり、お手本に近い書きぶりになるでしょう。お試しください。

さて今回は、筆の使い方の中でも基本的な、『横画の起筆の書き方』ついて解説します。これが簡単なようで奥が深いのです。

起筆をはじめ、筆の使い方は書道会によっても異なりますし、書道家さんによっても異なります。

僕の場合は、根底に日本賞状技法士協会の書き方がありますが、自分なりにアレンジしています。その点を踏まえて、以下をご覧ください。


横画の起筆のパターン

横画の起筆は、大きく分けると3パターンに分けられます。

①45度でシッカリ入れる

※45度でシッカリ入れる

②力を入れずにスッと入れる

※力を入れずにスッと入れる

③逆筆もしくは真上から入れる

※逆筆もしくは真上から入れる

この3パターンを使い分けることで、横画の表情が豊かになります。そのほかにも細かい起筆の方法があるのですが、まずはこの3パターンを習得しましょう。

①(45度)は最も基本的な起筆で、書道っぽい書き方ですよね。でも、意外に使い道は少なく、かつ難しい書き方です。

②(スッ)は止めずに、スッと入れる起筆です。上に反る横画になり、最も多く使われます。短い横画はほとんどコレ。

③(真上)は細く長い横画の時によく使う起筆で、被せる横画になります。技術的にコツが必要なのですが、とても使い勝手が良いので、僕は多用しています。

基本的には真上から筆を入れることが多く、状況に応じて筆を逆筆気味に入れています。※横画の逆筆が苦手な方は、真上から起筆がオススメ。


横画の俯仰

※横画の俯仰

ほとんどの横画は俯仰しています。つまり、かぶせる・そるのどちらかの線ということで、まっすぐの線はほぼありません。

『二』の場合は、1画目が反る線、2画目が被せる線です。『三』の場合は2画目がまっすぐの事もありますが、僕は反らせることが多いです。

そして、俯仰によって起筆が変わってきます。上記の①(45度)は被せる線、②(スッ)は反る線ですね。

起筆は横画の線の書き方によって変えるということなのです。


被せる線

被せる線は、上記の①(45度)と③(真上)の起筆が多いのですが、①(45度)と③(真上)の使い分けについて説明します。

※長いの横画

※長いの重い横画

『長』の場合、2・3・4画目は②(スッ)、5画目が③(真上)の起筆です。5画目は被せる線なので、①(45度)も考えられますが、①(45度)の場合は重く感じませんか?※長の1画目は縦画

もちろん、間違いではないですし、①(45度)でもいいのですが、僕は重く見えるので③(真上)を採用しています。※好みだったりする。


次に『書』を見てみます。

※書の横画

※書の横画

『書』に関してはどちらでも良いと思います。ただし、①(45度)の場合は細く書かないと、やはり重く見えてしまうので、注意です。


謝と貢の横画

※謝の横画

※貢の横画

ちょっと目についた文字をランダムに書いてみました。それが『謝』と『貢』です。

こうして見ると分かるように、①(45度)は使っていませんよね。画数が多い文字は特に①(45度)の使い道が限られてくるのです。


①(45度)の使い道

最も基本的な書き方のはずの①ですが、意外に使い道は限られています。

※六の横画

※七の横画

画数が少ない文字の横画、強調したいときの横画、または最終画でシッカリ締めたいときの横画などで①(45度)は使用します。


以上、今回は『横画の起筆の書き方』をご紹介しました。

今回の3パターンはあくまで基本です。この書き方を習得したら、もっと細かいバリエーションを増やしてみてください。

また、①(45度)は使用方法が限られていることを書きましたが、本来は適さない場所に敢えて使ってみるもの楽しいものです。

そう、最終的には自分の書きぶりを確立できたら最高ですよね♪

 

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清水克信
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筆耕コム主催のプロ筆耕士、実用書道のスペシャリスト。
賞状全文を中心に、筆耕業務を承ります。

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