こんにちは。ついにガンプラ『ガンタンク』に手を出してしまった、書道家で筆耕士の清水克信です。

先日頂いた賞状全文のご依頼で、書き直しが発生してしまいました。理由は「齋藤さんの齋の字が間違っていた」というものです。

※実際の賞状『斎藤』⇒『齋藤』への書き直し

今回はご依頼主の原稿が間違っていたので、料金は2枚分かかってしまいます。僕としては構わないのですが、料金2枚分はもったいないです。そんな間違いが起こらないためにも、実際に使われている齋藤さんの【齋】の異体字をご紹介します。


斎・齋のバリエーション一覧

※齋のバリエーション一覧

『斎・齋』の字の異体字を並べてみました。20個書いてありますが、これは代表的な形です。僕が軽く調べただけでも30種類は超えていました。

常用漢字は【斎】
旧字体は【齋】


斎について

部首・・・斉(セイ)
総画・・・11画
意味・・・神をまつるために、食事や行いや身を清める事

だから、葬儀場の事を【斎場】っ言うのですね。

正確には
葬儀場・・・お通夜と葬儀・告別式を行う場所
斎場・・・葬儀場に火葬場の機能が加わったもの


斉・齊(セイ)について

斉・齊は『一斉』や『国歌斉唱』の『セイ』です。

※斉(セイ)について

本来は『齋・斎』と別の字なのですが、『齋藤』さんのバリエーションで『斉・齊』も使われます。『斉藤由貴さん』とか。


斎・齋の込み入った話

なんで、こんなにバリエーションが多いのでしょうか?

これにはイロイロな理由といろいろな説があります。

例えば『藤』が付く苗字は『藤原家』の末裔や『藤原家』と関係が深い家柄と言われています。この時に、本家筋・分家筋・集落単位などで敢えて形を変えたという説があります。

次に明治期の戸籍制度です。江戸時代から明治になり、戸籍を登録する際に役所で【誤字】から異体字がたくさん生まれたという説もあります。これは、本人の記憶違い、役所の職員の凡ミスも考えられます。

また、楷書と行書がごっちゃになったという話もあります。例えば【Y】の部分を【了】と書く異体字がありますが、これは【Y】を行書で書いたら【了】の形に近いからそのまま異体字になったという具合です。

これはちょっと気になったので、五体字類を眺めてみました。

※五体字類の斎・齋

う~ん、何とも言えませんね。

【Y】がもとになって【了】ができた気もしますし、全く別の字形として認識していたようにも見えます。

この辺は学者にお任せするしかないでしょう。

兎にも角にも、齋藤さんの『齋』はたくさんの種類があるので、賞状を書くプロとしては注意しなくてはいけません。また、賞状の原稿を依頼する際も、今一度ご確認いただけるようお願い致します。

 

でも・・・普通の人と違う形の漢字があるって、うらやましい気持ちになるのは僕だけだろうか。

 

 

 


 

 

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清水克信
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筆耕コム主催のプロ筆耕士、実用書道のスペシャリスト。
賞状全文を中心に、筆耕業務を承ります。

 
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