異体字と言えば、バリエーションの多彩さで有名なのが『辺』です。その数24種類、38種類、52種類・・・。名前や国語を研究している学者さんにより諸説唱えられています。

最も有名なのがこの2種類

※渡辺さんのバリエーション『邊』『邉』

『白』or『自』or『目』
『冖』or『宀』
『八』or『儿』
『方』or『口』
之繞の『点1つ』or『点2つ』


これらの組み合わせだけでもかなりのバリエーションになります。

※渡辺さんのバリエーション代表例

更に『辺』にもバリエーションがあって、『刀』が『力』になったり『刀』に点が付くこともあります。

渡辺さん

なぜ、これほどまでにバリエーションがあるのでしょうか?理由は『渡辺』さんにあるそうです。

まず、渡辺さんが本家と分家の区別をしたいために『方』と『口』に分けたそうです。

時代は下って、明治期から国民の戸籍の登録が始まります。この際にも差別化を図るために字形を変えていったようです。

さらに、戸籍に登録する際にもたくさんのバリエーションが生まれました。理由は手書きによる誤字や伝え間違いなど・・・。

日本らしさ

こうして現代まで特に修正も加えずに無数のバリエーションの『辺』が存在するようになっています。

でも、これが本当に日本らしいところです。

たくさんのバリエーションが存在しても、大した問題とも感じずに許容しています。そんなおおらかさが日本っぽい!まさに八百万の神の国といった感じです。なんでもかんでも神様なのだ!

たくさんある?混乱する?いいじゃない!

・米ってすげえ!もっと栽培効率化しよう
・漢字ってすげえ!自分で作ろう(←後にひらがな開発)
・仏教すげえ!もっと追求しよう

・鉄砲すげえ!自分で作ろう
・黒船すげえ!自分で作ろう
・自動車すげえ!自分で作ろう


日本ってなんでも許容して自分なりに作り上げる文化を持っています。

文字にたくさんのバリエーションが生まれても、それを楽しみ、許容する文化が日本なのです。

邊の書き方

※渡辺の邊の書き方

中身のパーツは文字全体のセンターよりやや右側に中心が来るように書いていきます。画数が多いので方のスペースをはじめから想定して書きます。

しんにょうは点の位置が下過ぎないように注意。点2つの場合は上下に均等に並ぶように打ちます。最後の払いは中身の右端の位置から払います。

見ればわかるように『邊』は簡単な文字ではありません。書き始める前に、大体の位置を想定してから書き始めると良いでしょう。

おわり

 

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清水克信
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筆耕コム主催のプロ筆耕士、実用書道のスペシャリスト。
賞状全文を中心に、筆耕業務を承ります。

 
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