筆耕という仕事をしていると、たくさんの名前に出会います。

一般的な宛名書きの場合、それほど気を付ける必要はありませんが、認定証や卒業証書などの正式な証書は戸籍通りの書き方が要求されます。

高について

高橋さんの場合は、『高』『髙(ハシゴダカ)』に注意が必要です。苗字は圧倒的に『髙(ハシゴダカ)』が多く、普段使いは『高』でも戸籍上は『髙(ハシゴダカ)』といことが多いです。

ちなみに『高』と『髙(ハシゴダカ)』の関係ですが、単純に新字体と旧字体という関係ではないそうです。

確かに古典を見ると『高』と『髙』の両方が存在します。ただ使用頻度は『髙』の方が高かったので、『髙』に旧字体のイメージがあり、『高』が新字体のイメージがあります。

現在は『高』が常用漢字となっているので、普段の文章内(名前以外)では『高』を使います。

橋について

高橋さんの場合、『高』よりも『橋』の方が大変です!

『高』は『髙(ハシゴダカ)』に注意していればいいのですが、(※異体字はまだありますが檄レア)『橋』の異体字はすご~くたくさんあるのです。軽く調べても20個以上ありました。

※橋の異体字

『橋』こそ普段は『橋』の形を使っていますが、実際に戸籍を見たら異体字だったということが多いです。ご本人も気が付いていないことがあります。

何故、これほど異体字があるのでしょうか?

もちろん、意図して文字の形を変えることもあります。しかし、最大の原因は、明治期に役所で国民の戸籍を登録する際に、誤字のまま申請したり、役場の人間が書き間違えてしまったことにあるようです。

当時は手書きですし、楷書が書けなくて行書や草書しか書けない人もいました。※現代と逆の現象ですね。江戸時代、楷書は公文書にしか使用されず、文官仕事をする武士(公務員)しか書けませんでした。

 

また、標準的な文字の形も浸透していなかったので仕方が無かったと思います。

でも、そんな異体字も大切な個性とも思えますよね。テレビで日本に数件しかない苗字とか見るとうらやましく思います。

ご自身の苗字なので是非誇っていただきたいです。

橋の書き方

※高橋さんの橋の書き方

現在の常用漢字の『橋』の書き方です。

偏と旁の関係は『1:2』くらい。木偏は右辺を揃えます。

旁の1画目の左払いはできるだけ寝かせます。真横でもいいくらい。

4画目の右払いは止めてもOK!

後は中心を揃える事、それぞれの横画がだいたい均等になるように配置する事です。

って、ポイントはたくさんあります。漢字の中でも難しい部類に入るかもしれませんね。

練習してみてください。

おわり

 

筆ペンで書く高橋さんの楷書と行書の動画

 

 

 

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清水克信
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筆耕コム主催のプロ筆耕士、実用書道のスペシャリスト。
賞状全文を中心に、筆耕業務を承ります。

 
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