グリーグ国際ピアノコンクール
先日ノルウェーのベルゲンで行われた第17回グリーグ国際ピアノコンクールに参加し、第一位をいただくことができました!ノルウェーは一人で行きましたが、知り合いもいないまったく未知の土地で、なんというかいい意味で無私の状態で参加することができました。たくさんのコンクールや本番でいろんな経験を積んできましたが、ひとつひとつのステージで得てきた反省を、全部集大成にして臨んだような感じでした。31歳にしての参加は他のコンクールでは苦しい年齢ではありますが、幸いこのグリーグコンクールは35歳まで参加が可能、若いことはきっとこのコンクールではあまり大事なポイントではないのだろうと思えて、20代ではなく31歳の今でしか表現できないことがあるはずだ、と前向きに挑戦しました。20代は根拠なく希望に満ちていますが、30代は現実への入り口という感じがします。でもだからこそ、まだ心に残る青春の香り、少しずつ現実に見える大人の世界、千差万別な選択肢とそこから派生する責任、選ばなかった(選べなかった)道に思いを馳せる瞬間、、、”若い女性”からの脱却の時期、、、そんなことをぐるぐる考えながら、等身大の自分の心を音楽にのせ、自分の最大限を発揮することだけに集中していました。ものすごく大きなコンクールではないのでリラックスできたのもありますが、なんだか最初からこのコンクールはピンと来ていて、好意を感じていました。驚くほど美しい場所で人も少なく、しんとした環境もインスピレーションを助けてくれました。音楽をやっていると、ひとりでいることは付きものです。でも、逆に、物理的にひとりなことが実際にひとりということでもないんだ、ということも感じていたので、なにか終始ノルウェーの妖精に守られていたような感じでした笑演奏したのは予備審査がベートーヴェンソナタ22番、ドビュッシーの連打のエチュード、グリーグの抒情小曲集より一曲一次が平均律から2巻のfis-moll, ショパンエチュードop.10-1、グリーグの小品、ブラームスのソナタ3番より抜粋2次がコンクールの委託作品、シェーンベルクの作品11とラヴェルの夜のガスパール3次がグリーグのバイオリンソナタ第3番と、ブラームス作品119、シューマンのダヴィッド同盟部曲集本選がベートーヴェンの協奏曲3番またはグリーグの協奏曲というものでした。本選まで残った時、どちらの協奏曲にするか30分ほど真剣に悩みました。というのも長年のレパートリーになっているのはベートーヴェンの方だからです。でもグリーグの風、インスピレーションを強く感じていて、優勝を狙うならやはりグリーグだと思い切ってグリーグにしました。長年のコンクールで学んだのは、闘うのは常に自分だということ。邪念をもてば自滅して、崩れてしまうことがたくさんあります。また相手を気にしてもなにも現実を変えることはできず変えられるのは自分だけなのです。自分の音楽をアイディアの宝庫にして、それを実現することだけをかんがえていたら素直に集中することができました。ここまで来るまで関わったありとあらゆる人が、本選前なぜか走馬灯のように夢の中をかけていきました。彼らがみな、応援してくれているかのような、摩訶不思議な夢でした。美しい音楽に集中させてくれた美しい町ベルゲン、ここにくるまで応援してくださった方々、先生、友人、家族。私にあまりある賞をくださった今回の審査員の方々。審査員のひとりRobert Levin先生は”一次の最初の一音から私はあなたの音楽を楽しんだ。あなたの今回の素晴らしいすべての演奏を私は一生記憶するでしょう”と表彰式後におっしゃってくださいました。大ピアニストからのこんな嬉しい言葉があるでしょうか。聴いてる人は聴いている、だからこそこれからも真摯に弾き続けなければならない。そんな思いになりました。私個人自身は、一介のかなりしょうがない人間の一人にすぎませんが、それでも、もし自分のピアノでできることがあるなら、ステージ上でだけでも精一杯続けていきたい。今回はひとりだったと書きましたが、それでも助けてくれた人がたくさんいました。生身の交流ができた現地の方々に心からお礼を申し上げたいと同時に、遠く日本から応援してくださった皆様にも御礼申し上げたいです。11月は横浜市国際ピアノ招待演奏会のために帰国します。どうぞ今後ともよろしくお願い致します。石井楓子ベルゲンフィルハーモニー管弦楽団と。審査員だった、敬愛する小川典子さん。セミファイナルからいらしてくれて特別賞をくださったスタインウェイハンブルク支社の方とスタインウェイ オスロ支社の方。素晴らしい助言をたくさんくださった指揮の Lawrence Foster氏。晩年のルービンシュタインみたいですね!グリーグの家のお庭から。予選のホールは彼の自宅のすぐ側に建てられています。その名も”トロルの丘”予選の様子。受賞の様子。疲れ切っています。。大ピアニストで審査員だった Lilya Zilbersteinさん。光栄の極みでした。コンペティションディレクターのクリスチャンさんと、ノルウェーの音楽祭オーガナイザーのクヌートさん。