バーゼル音楽院の卒業試験シーズンもほとんど終わりに近づいてきました。

試験ではありがたく最高点をいただきましたが、先生には"いいかい、世の中の99パーセントの音楽家は真実を表現できてない。嘘で覆われているんだ。我々は文化の誠実さ、まことの人間性を表現するためにまだ勉強しなければいけない"と真顔で言われ、リアルにへこみそうになったところです。2年前からは比べものにならない成長を遂げたと褒めてくれた上で、こうやって釘をさしてくるあたり、まことに教育者の鏡だなと頭が下がります。

最近は伴奏を頼まれることもめっきり増え、ピアニストの本業は、ソロ半分、伴奏(サポート)半分ですから、実に楽しく引き受けさせていただいてます。あらゆる楽器奏者はよいピアニストからいろんな勉強をしていくわけですから、なにかいいものを一緒につくりたいとこちらも一生懸命です。ただ先日は反応がいまいちで、うまく摩擦が起きない学生さんがいて、言葉でもなかなか伝わらず、そういう時は悲しくなってしまいますね。チューリッヒのオケに入りたての奏者ふたりともコンサートがあり、外国人としてスイスでバリバリ働くその姿(これは想像以上に大変なことです)からは非常によい刺激を受けています。

譜読みスーパーマンを自負している私ですが、それでも追いつかないほど新しい曲がやってきます。フリーランスは休みがない!!!(笑) 演奏会のオーガナイズも自分次第です。そもそもお引き受けするか、曲目、リハーサル調整、条件交渉、旅程の調整、そしてなにより練習、家事(!)なにからなにまで自分でやるのはたーいへーんです。実にマルチタスクです。おまけに今はピアノを買い換え中でドタバタです。

そしてすべてケースバイケースです!
10月30日にバーゼルで最も由緒あるリサイタルホールでリサイタルを企画していただけることになり、それに関しても今一生懸命です。


そんな中、あるバイオリニストのレッスンについていったら草原に囲まれた豪邸に到着。そこでまさにブサカワのブリティッシュショートヘア2匹に遭遇。どーんとかぎりない山並みをバックにプール付きのお庭の長椅子で、遠くにバイオリンを聞きながらゆったり昼寝をするその姿は、羨ましい以外のなにものでもありませんでした。スイスの猫は幸せだ。。。


今日はドイツ、マイセンでのリサイタルがコロナでキャンセルになったと連絡があり落ち込みましたが、ひとつは新しく、来年度神奈川フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会で演奏させていただけることになりました。出身地の神奈川で弾かせていただくことはなにより嬉しいことです!!!


日曜日はリヒテンシュタインでバイオリニストのリサイタルのピアニストをつとめます。キャンセルになったり新しい演奏会をいただいたり、あまり一喜一憂しすぎず、落ち着いて演奏会にのぞめればいいな、と思っています。