先日、イタリア留学帰りの友達と、ご飯を食べに行きましたが、彼女と会うと、やっぱりオペラの話題になります。
彼女は、イタリア・オペラ黄金期の歌手達が好き。
まず、発声とイタリア語の発音が第一で、それらが伴ってない歌手は、聴く気にはなれないそう。
「最近の歌手、あんまり知らない。」って言ってました。
なので、好きな歌手は、イタリア人の歌手が多くなるようです。
そして、テノール贔屓。特に、マリオ・デル・モナコ。
彼が歌ってる、イタリア歌劇団来日公演「アンドレア・シェニエ」のDVDで、終幕の二重唱、お互いを無視して(?)、モナコとテバルディが、我先にと、前へずいずいと出て、声を張り上げる様がすごいよねーって話題に。
「俺の(私の)声を聴け~~!」って感じ。
こういうのが、彼女にとっては、たまらないようです。
今の歌手は、演技が繊細になってきたから、ほとんどマイクつけてるけど、やっぱり、昔の歌手は、マイク無しで、あれだけの声があるんだからすごい・・・ってことになるみたい。
彼女に言わすと、あのドミンゴも、アクートにはもちろん難があるし、発声にも問題があるようだけど、
「でも、ドミンゴはそれでもいいねん。あれだけ演技が出来て、フェロモンがむんむんやったら。」
とのこと。
私も同感。細かいことはわからんけど、ドミンゴはやっぱりすごい。
ドミンゴが現れたことによって、オペラの映像化に、拍車がかかったのではないでしょうか。
で、その彼女が、前からよく話題にしてるのが、フランコ・ボニゾッリが歌う、トロヴァトーレのアリア「見よ、おそろしい炎を(=Di quella pira)」。
アレーナ・ディ・ヴェローナで行われた、14人のテノールのコンサートで、彼はなんと!このアリアを2回続けて歌ってるのであります。
私は、FMから録音したカセットテープを持ってるんですが、彼女は映像を見たことがあるらしく、
「歌ってる時の手が、マクドナルドおじさんみたいやけど、すごいって!」
って言っていて、その“マクドナルドおじさん”って表現に、超うけた(笑)
これね↓
で、その映像がないかと、You Tubeで調べてみたけど、みつからなかった~。
代わりに、面白いものを見つけました。
やっぱり、ボニゾッリが“Di quella pira”を歌ってるんですが。
絵は動かないんだけど、Gran Teatro del Liceo, 1983って書いてあります。
この動かない絵が、またドナルドそのものなんですけど・・・・。あ、髪型がね。笑える。
こちら
から聴けます。
聴かせどころの、ハイCのアクートが、ボニゾッリにしては短く、あれ?もしかして失敗?
客席もザワザワ・・・・。
すると、ボニゾッリさん、いきなり、ハイCだけ歌い、今度はロングトーンで、お客さんも大喝采。
いや~、歌手の黄金時代を感じますわ。
フローレスが、やっぱり2回続けて、ハイCの出るアリアを歌ったそうですが、ハイCだけ出すって・・・・
そういえば、コレッリでしたっけ。
トスカの「星は光りぬ」のアリアの後、拍手がおさまらなくて、舞台にピアノが出てきて、Core'ngratoを熱唱しちゃったってのは。
まだ、「トスカ」の舞台も終わってないのに・・・ですよ。
訂正:舞台は終わった後だったようです。そりゃ、そうですよね・・・
その後、歌手の時代から指揮者の時代、そして、今は演出家の時代でしょうか。
そりゃ、生の舞台を観に行くなら、声がすごい方がいいと思いますよ。
でも、今は映像で見ることも少なくない・・・っていうか、私は映像の方が多い。
そうなると、繊細な表現をする人の方が、こちらも、ストーリーに入り込みやすい・・・ってことがあるわけで。
「舞台で、そんなちまちました演技されても、全然見えないよ!」
と言われれば、それまでですけど。
でも、今の歌手の皆さんの声、声量は落ちてるかもしれませんが、美声の人多いですよね?
私は、音声だけで楽しむ時も、声に微妙な抑揚があるっていうか、繊細な表現する人好きなので、この傾向は嫌じゃないです。
そりゃ、マイクを使わないに越したことないけど。
この彼女と話すと、突っ込みどころ満載のオペラの話をたくさんしてくれて(特に、ロッシーニは専門だから詳しい!)、いつもすっごく楽しいんだけど、近々結婚して、韓国に行ってしまうの~。悲しいわ・・・
ま、おめでたいことだから、喜ばなくちゃね!