まもなく、地上の闇が、広がり始めた

「シオン・・・運命にどこまで抗えるのか・・・・」


白虎に乗っていたユナは、テラスにいるクウナを見つけた。

「リーク!クウナのところへ!」

突風が舞うと、クウナの目の前に、ユナとファル、リークが姿を現した

「お姉さま!ファル!」

「クウナ!ケンタは?」

「ケンタは、まだ、眠ったままです。」

闇が、ラディストを包み込もうとしている!

「あの、お姉さまそちらの方は?」

リークは、クウナのそばに近寄ると、

「はじめまして、風王リークと申します。お見知りおきをクウナ王妃」

「あなたが・・・こちらこそ、よろしく」


ユナは空を見上げた

こんな近くまで闇が・・・

できるかどうかなんて迷っていられない!


胸のクリスタルは、杖となりユナの左手に、右手はまっすぐ上に伸ばして

手のひらを空にかざした。

呪文は空を駆け巡り、一筋の光の束となって広がっていく

一瞬、闇が遠のいたように思えた

だが、闇の勢いはとどまることを知らず、近づいてくる。

「私だけではだめだわ・・・」


ドアが突然開いた

「クウナ王妃!ケンタが!」

ロバートが突然駆け込んできた!

リークは思わず身構えるが、ファルがそれを手で制した。

「ロバート!ケンタがどうかしたの?まさか・・・」

「ケンタのところへ!目が覚めた!クウナ王妃と話したがっている」

ぱぁっと笑顔に包まれるクウナ王妃

「リュイ、天界に戻りたくは無いか?昔のように、自由になりたくはないか?

精霊たちは、記憶を受け継いでるはずだ。ならば、はるか昔は、天界と地上を自由に行き来していたのを知っているはずだ。」


リュイはじっとシオンを見つめ

「シオン、それは貴方の意思ですか?それとも・・・・」

「それとも・・・なんだ?」

男性にも女性にもどちらともつかない、その美しい顔は

シオンから目を離さず、射るような目で見ている

「ジーンは元気でしたか?」


シオンの指がピクっと動いた。

その瞬間、リュイの周りに衛兵がずらりと並んだ。

「もういちど聞く。天界にもどりたくはないか?」

「ジーンとキルアを助けてくれるなら、お手伝いしましょう。貴方が何をたくらもうと

私は、もう、あの二人の苦しむ姿をみたくない」

「それが何を意味するかわかっているんだろうな。」

リュイは左手を上げると、衛兵達はすっと消えた。


「あなたの望みと同じだと思いますが?」

フッとシオンは笑顔を見せた。

「ジーンは、憎しみだけで生きている。キルアに会えたところでその憎しみが消えるとは思えない。どうする気なのです?シオン」

「水王リュイ、なぜ俺が生まれたかわかっているんだろう?」

「このまま、運命のまま進めば貴方も破滅ですよ。それでも?」

「先代地王が死に、シャナンが受け継いだ時点で、リュイ、お前が一番長生きしてる。

だからこそ、お前の力が必要なのだ。」

王座から、すっと立ち上がると、シオンの前に立ちはだかった


「キルアは貴方を見て、ジーンと間違えるでしょう。堪えられますか?ユナが、キルアに似ているように貴方もまたジーンに似ている。」

「リュイ、俺は俺でしかない。ジーンに乗っ取られはしないよ」

「その言葉忘れないで下さい。キルアは、ここにいます」

そういうと、床に、人が通れるほどの池が現れた。

「リュイ、感謝する」

そういうとシオンは、その池に入っていった。

外に出てみると、

闇がすぐそこまで迫っていた。

「な!なんだこれは!」

リークが叫ぶ

「予言が・・・こんなに早く・・・」

ユナ姫は呆然と立ち尽くす

「ユナ姫、城に戻り、急いで結界を!」

「私が城まで送ろう」

そういうと、白虎のすがたになり二人を乗せ

飛び立った!

「ユナ姫驚いてる暇などありませんよ!しっかりつかまっててください!」

ものすごいスピードで空を走る

風王だけあって、あっという間にラディスト国が見えてきた。



第7章 闇の中の希望


シオンは空を見上げた。

闇が、世界を包み込もうとしている様を見続けていた。


ユナ・・・

もうすぐだよ

もうすぐ迎えにいくからね


ほんの少し前

シオンは、深い海の底にある神殿へ向かった


精霊達しかしらない、深い深い海の底

そこに、水王がいる


「何の用ですか?シオン」

歩く音だけが響く

「水王 リュイ 小さい頃一度だけ会ったな。覚えているか?」

「ずいぶんと生意気な口をたたきますね。両国の王のクリスタルを手に入れて自信がつきましたか?」

静まり返ったその城に、二人の声だけが響き渡る

「リークが風王、ファルが火王・・貴方達二人がそのキルアという女性を慰めていたのね?」


リークは、初めて優しい顔でユナを見ながら

「そうですよ。キルアは貴方にそっくりです。」

思わず、リークの笑顔にドキッとする。

あまりにも優しい笑顔で、見ることができなかった


「そ・・・それなら・・」

ユナはどもりながら、

「地王と水王はタウオンに閉じ込められている人をずっと?」

「そのはずだ。別に取り決めたわけじゃないんだが、いつのまにかそうなっていたんだ。」

「私は、時々タウオンにいっていたがね」

リークは、にやりとファルを見る。

「そのときにシャナンを見つけたんだ。先代の地王が私を呼んでね。着いたときには、もう継承が終わっていた。」

「シャナン・・・私・・・彼女に可哀想なことを・・・」

「ユナ姫、伝説の書とは私達精霊王4人のことをいう。ファル」

「ああ、わかった。」


そういうと、二人の胸からクリスタルが、額には石が浮かび上がってきた。

クリスタルと額の石から光が一点を差し、二人の手には、それぞれ本が出てきた。


4人からこれを集め、あわせると、一冊の本になる。それが伝説の書だ。」

「では、これをあと二人から集めないとだめなのね。」

「その前に、キルアにあいませんか?あなたは、予言の姫だ。ましてや、キルアにそっくりだなんてきっとなにかあるはずです。」


「リーク、手伝ってくれますか?私、1人ではとても・・・」

「ファルもそのつもりで今日私に話をしにきたのですよ。」

思わずファルを見る

「ファル・・・・」

「ユナ姫、どうかキルアを救ってください。」

「私にできることなら・・・ファル、努力します」

リークが突然、立ち上がる!

「おかしい・・・風がざわついている!」

そして、それが原因で、光と闇に別れたのだ。タウオンに閉じ込められた男の悲しみと怒りは、タウオン国に闇をもたらした。」


「そ、そんな!解き放つことはできないのですか!」

「竜王が死なない限り無理だろうね」

リークは淡々と話している。

ファルは、それをさえぎるように言った。

「俺達精霊は、その二人を慰めるために人間界にいるんだ。それでなくても、竜王はいまだに、俺達に恨みを抱いている。」


「恨みって!逆恨みじゃないの!自分が愛されないからといっておかしいわ!」

「確かにね、たぶん正気じゃないんだと思うよ。でも、竜王を倒して新しい竜王になるものもいないんだよ。」

「なぜ?」

「世界が崩壊するから」

「でも!きっと何か方法があるはずだわ!だって、もう何千年も前の話でしょう?

きっと、もう許しているわよ!」

「そう・・・誰もがそう思った。もう許してもいいのではないかとね・・・いや、本当は、竜王も許しているんじゃないかと・・・」

沈黙が流れる。


「ラディストとタウオン、この両国は、この二人を生贄として、それぞれ繁栄しているのですよ・・・」

「え?」

「ユナ姫様、二人が閉じ込められてから、この星全体が、潤っているのです。それまでは、不毛の土地だった。今、この星は美しいでしょう?二人の力が、この星に力を与えているのです。」

「もう人々は、はるか昔のことなど覚えていない。今現在、この星が、美しい星であることが当たり前になっている。今更、昔のように戻れると思いますか?」

リークは、問いかけるようにユナに話している


「国王は、感謝していた。ラディスト国に繁栄をもたらす者に、王妃と共にいつも感謝の祈りをささげていた。」

「ファル・・・」

「ファルはその生贄の女性を、キルアを愛しているんですよ。」

「ずっと慰めてきた。リークと共に・・・彼女の悲しみも苦しみも受け止めてきたんだ」