JR東海は、東海道新幹線のワゴン販売を終了すると発表しました。
車内販売好きの者にとって、痛恨の一撃です。
【1】発表の中身
本日8月8日に発表された内容は、
(1)ワゴン販売の終了
東海道新幹線は、「のぞみ」「ひかり」で一貫して車内販売を実施してきました。
写真のようなワゴン販売を、臨時列車でも、新型コロナで緊急事態宣言が出ていた時でも、一貫して実施してきました。
ところが、来る2023年10月31日で、ワゴン販売を終了することとなったのです。
弁当も、ホットコーヒーも、山崎12年も、シンカンセンスゴイカタイアイスも買えたワゴン販売が消滅するのです。
↑当時の販売品目40種類全部利用した話。
(2)グリーン車は「モバイルオーダーサービス」
グリーン車では、それに代わって「モバイルオーダーサービス」を実施するとのこと。
スマートフォンから欲しい品物を注文すれば、パーサーの人が座席まで届けてくれるそうです。
QRコードを読み取ると発表されていますから、事前予約では無く、席に着いてから注文する形式です。
2019年に上越新幹線「とき」グリーン車で、モバイルオーダーサービスを利用しましたが、特に問題はなく、少し慣れればスムーズに注文と受け渡しができました。
グリーン車は16両編成の8・9・10号車ですが、車内販売の準備室は8号車と10号車にあるので近いためでしょう。高い料金を払っているグリーン車の客には、1段上のサービスをするということでもあります。
グリーン車の客にとっては、形式は変わるとはいえ車内販売は続くと言えます。しかし、16両中13両を占める普通車の乗客は、車内で飲み物を買うことができなくなります。これは非常に残念です。
(3)ホームの販売機などの充実
公式発表では、こう書かれています。
『車内ワゴン販売でニーズの高いドリップコーヒーやアイスクリーム等、自動販売機の ラインナップを増やし、ホーム上等に順次拡充することで、ご乗車前にご購入していた だきやすくなります。』
東京駅では「シンカンセンスゴイカタイアイス」の販売機を昨年に設置しました。
飲み物、食べ物の販売機の増設など、駅で買えるようにするとのこと。
【2】今までの経緯
実はJR東海は、2012年3月までに、「こだま号」と「在来線特急」で全面的に車内販売を打ち切った「車内販売に理解が無い」会社でした。
ところが、この10年間は、JR北海道で車内販売全廃、JR九州とJR四国でも観光列車以外は車内販売打ち切り。JR東日本でも、弁当や取り扱い品の大幅削減と続きました。
JR他社が、車内販売の大幅削減&廃止が続いたので、JR東海は「のぞみ」「ひかり」で車内販売を堅持している「車内販売に理解ある会社」という認識に変わりました。
★臨時「のぞみ」でも車内販売を実施。
★新型コロナで緊急事態宣言が出ていた時期でも車内販売実施(酒類は販売停止)
というように、車内販売に力を入れてきました。
●東海道新幹線はビジネス客と観光客が共に利用して、閑散期の乗客減少が少ない。
●販売を実施しているパーサーは、車掌業務の一部も担当する。
という特殊事情もありましたけど。
11年前は車内販売をバサッと切り捨てた「車内販売軽視」でした。
しかし現在では、他社が更に車内販売を削減したため「相対的に車内販売を頑張っている」と言えました。
【3】普通車の乗客は、大変
グリーン車の乗客は、11月からも車内で冷たいビールを注文できます。
でも普通車の乗客は、車内で飲食物を買うことができなくなります。
★ホームで買いやすくするは代案にならない
「駅のホームで販売機を増設する」のは、対策にはほとんどなりません。
東京~新大阪だと、2時間半の間、冷たい飲み物を買えなくなります。
広島から東京まで「広島始発のぞみ」に乗ると、山陽区間は普通車には車内販売は来ないため、約4時間も水分の追加購入ができなくなります。
乗車して1時間以上経って、ぬるくなったビール飲みたいですか?
700Sの普通車↑
★せめて飲み物の販売機を
16両編成なら2か所に、飲み物の販売機を設置すべきと考えます。
次の写真は、2014年1月撮影の東海道新幹線700系です。
10年前には、飲み物とグッズの販売機が新幹線で稼働していたのです。
振動で故障しやすいとか、主に臨時で使われる車両だと閑散期に消費期限を過ぎた飲み物を販売してしまうといったリスクはあるようです。食べ物はともかく、夏場に冷房が入っていると言っても28℃の車内に4時間以上いるのは、かなり苦しいです。
新幹線は、飛行機に比べて安心感があるのが特色です。
●駅で簡単に特急券を買える。(ネット限定ではない)
●いつでも料金はほぼ同じ(繁忙期でもバカ高くならない
●自由席がある(座れない覚悟をすればすぐ乗れる)
このような新幹線ですから、買い忘れたら4時間も水分採れないのは、安心感が吹き飛びます。
JALとANAなら無料で飲み物くれますし。
【4】長時間乗る場合の対策
(1)新大阪や名古屋で指定席を分割する
東海道山陽新幹線は、改札を出なければ2つの新幹線を乗り換えても、特急料金は変わりません。
私は新大阪から東京に帰る際に、名古屋駅の売店で土産を買うため、指定券を分割したことがあります。
新大阪18:00→(のぞみ244号)→18:50名古屋19:06→(のぞみ246号)→20:45東京
名古屋駅で16分の時間が取れたため、お土産が買えました(改札は出られません)
乗換無しで東京まで乗った場合と、料金は変わりません。
同様にして、西明石から名古屋まで乗る場合は、直通の「ひかり」普通車では車内販売を利用できませんから、新大阪で売店に寄って始発の「のぞみ」に乗るのです。
(2)旅行商品で、グリーン車を利用する
東京から京都・新大阪までグリーン車に乗ると、グリーン料金は5400円になります。
通常期だと特急料金は530円引きになりますから、普通車指定席より4870円高くなります。
ところが、旅行商品ですと、割安でグリーン車に乗れることがあります。
東京~京都まで「のぞみ」往復で『ずらし旅!日帰り1day 京都■首都圏発』というJR東海ツアーズの旅行商品があり、料金は20300円です。
これをグリーン車に変更すると、片道1300円増しになります。
通常の切符なら4870円増しですが、旅行商品なら1300円増しで乗れます。
グリーン車なら車内販売を利用できますので、車内販売マニアを名乗るこの私は、グリーン車に乗る機会が増えそうです。
【5】その他もろもろ
★コーヒー回数券の販売中止
東海道新幹線のコーヒー回数券が、6月末で販売を終了しました。
今思えば、車内販売打ち切りのステップの1つだったのですが、全く気づきませんでした。
新型コロナの長いトンネルから抜け出し、乗客が戻ってきたこのタイミング。
もっと長期的な要因不足の影響があったのでしょう。
★山陽新幹線も心配
山陽新幹線は、博多発着の「のぞみ」を中心に、現在も車内販売を実施しています。
東海道新幹線より採算が厳しいと思われる山陽新幹線の車内販売、こちらもこの秋に何らかの発表があるのかもしれないと考えると、憂鬱です。
東海道新幹線のパーサーも、ここ2~3年は安定した接客応対で好感持っていますが、山陽新幹線のパーサーは更に素敵な人ばかりで、どうなるか不安です。
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