リゾートしらかみ「ふれあい販売」とは? | 車内販売でございます。

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車内販売を15年半で11000回を利用してきた「車内販売大好きな乗客」が書くブログです。 多数の観光列車に乗り鉄しています。

秋田県と青森県の五能線を走る観光快速「リゾートしらかみ」は、日本海沿いの景色を眺めることができる列車だ。

特に「大人の休日倶楽部パス」の期間は、満席になることが多い人気の観光快速となっている。

 

この「リゾートしらかみ」では、3月のダイヤ改正から、車内販売が大きく変わっている。

「くまげら編成」と「青池編成」から、ワゴン販売が消滅した。

かわりに、地元の業者が乗り込んでくる「ふれあい販売」が拡大している。

今回は、「ふれあい販売」への転換に関する話。

 

「リゾートしらかみ」には、3種類の編成がある。

【1】橅(ぶな)編成では車内販売が継続

この橅(ぶな)編成は、カウンター形式の車内販売を、実施している。

このため、橅編成の車内販売は、今後も継続する。

橅編成の品目の情報は、まだ入っていない。弁当やアイスは、無いのかな。

 

【2】青池編成・くまげら編成では、ワゴン販売が取りやめ

《青池編成》

《くまげら編成》

青池編成・くまげら編成は、今までワゴン販売で車内販売を行ってきた。

ホットコーヒー、ビール、お菓子、つまみ類が、下の写真のように、ワゴンに乗って客の座席にやってきていた。

この3月のダイヤ改正を機に、東北新幹線「やまびこ」等で車内販売が廃止された。

そして「リゾートしらかみ」にも車内販売廃止の波が押し寄せたことになる。

お金を使いに来る観光客向けの列車でも、厳しいようだ。「リゾートしらかみ」は、首都圏から遠いこともあり、繁忙期と閑散期の差が激しいのも、原因のひとつだと思う。

 

【3】ふれあい販売の拡充

青池編成・くまげら編成で、車内販売が廃止されてしまった。

そのかわり、拡充したのが「ふれあい販売」だ。

「ふれあい販売」とは、地元の業者が、一部区間だけ品物を車内で販売する形式。今までも「リゾートしらかみ」の1号2号で、土曜休日を中心に実施していたのを、今回拡充された。

2018年6月の案内は、このようなものだった↓

地元の木工品を能代観光協会が、車内に売りに来るわけだ。

 

ふかうら開発は、マグロのカツ300円、笹餅200円、プリン400円など地域の特産物を売りに来る。

JIN CAREは、立佞武多どら焼き3個500円、リンゴのフリーズドライ500円。

 

3月のダイヤ改正からは、ワゴン販売が廃止され、その分ふれあい販売が拡充となった。

具体的には・・・

(1)新規の業者が参入

すでに実施している3社のほか、「日本白神水産」と「イシザワ菓子舗」が加わる。

(2)販売日が増加

今までは、原則土曜・休日だけの販売だった。

これが実施日数が増加した。

6月の能代観光協会だと24日間、ふかうら開発だと20日間も販売を行う。

(3)対象列車が増加

今までは6本のうち、1号・2号だけのことが多かったが、3号~6号でも販売されることがある。

「ふれあい販売」の実施列車などの詳細は、JR東日本秋田支社のホームページに詳しい。

 

【4】ふれあい販売のメリット

ふれあい販売のスケジュールは、「立佞武多どら焼き」「りんごのフリーズドライ」等を販売するJIN CAREの場合、こうなっている。

五所川原駅9:28の「リゾートしらかみ2号」に乗り込む。

深浦駅に10:55に着くまで車内販売をする。1時間半あるから、観光客と雑談もできそうだ。

深浦駅に10:55に着いたら、すぐ隣のホームに停まっている「リゾートしらかみ1号」に乗り換える。

そして、五所川原駅に12:08に着くまで、車内販売をする。

 

考えてみると、この「ふれあい販売」のメリットは、案外多い。

《販売業者》

「リゾートしらかみ」は定員142人(橅編成の場合)と、それなりに多い。深浦駅で折り返しとなるから、1回売りに行ったら2本の列車で販売できる。地方でこのお客の数は魅力的と言える。

シーズンオフで客が少なそうな日は、あらかじめ販売休止にすることができる。

そして、観光列車で販売していることで、業者と商品の知名度アップにつなげることができる。

《JR東日本》

車内販売廃止が進んでいる大きな原因は、「販売員の人件費」、「人手不足」の2つである。

地元業者による「ふれあい販売」は、全面的に代替にはならないものの、必要なカネとヒトを、民間業者に委託することになり、JRの負担は軽減される。

品数は限られるものの飲み物・食べ物を業者が販売してくれるので、観光客の満足度を保てる。

《観光客》

地元の珍しい特産物を、観光客は買うことができる。

地元の業者さんには、地元の観光に詳しく、観光客のために観光案内をしてくれることが多い(のではないかと想像する)

地元のオバちゃんの裏表のない案内は、観光客に凄く受けが良い場面を、何度も見てきた。(たとえば予土線)

 

【5】モデルケースになるかも

売り上げが減って赤字、販売員を募集しても集まらない、という2つの原因で、車内販売が削減されてきた。

その解決策のひとつに、「ふれあい販売」が活用できるかもしれない。

★JR側が雇った販売員は、列車に乗らない。

★途中駅で民間業者に乗り込んでもらい、地元の特産物を中心に販売してもらう。

★場合によっては、販売員が乗客に、観光案内をする。

 

今回の「ふれあい販売」を、どう受け取るか、2つの見方ができる。

(1)販売員を乗せるのが難しいから、単に仕方なく民間業者に代替をさせた。

(2)地元の民間業者に特産物を販売してもらうことで、メリットと問題点を確認する。これでより良い、そして無理ない販売の形を模索しようとしている。

もしかしたらJRが、民間業者の力を借りて、今までの車内販売に代わる販売形態を、試行錯誤しているのかもしれない。

「ふれあい販売」の今後に注目したい。

 

 

【参考】民間業者による車内販売の例

民間業者が乗り込んできて、地元の名産品を販売する例は、JRでも既にいくつかあるので紹介する。

《予土線》JR四国

予土線の江川崎付近では、地元の業者・山間屋が車内販売を行う。

土曜休日に「しまんトロッコ」と「普通列車」で1往復していた。

1両だけの客だから、販売が済んだら、自主的に車窓の案内をしてくれた。

販売員のオバちゃんが降りる際には、観光客が大きく手を振ってくれた。

これで一体感がわいたのは、感動的だった。

予土線の車内販売の話は、こちらこちら

 

《奥出雲おろち》JR西日本

木次線のトロッコ列車「奥出雲おろち」には、牛肉弁当、アイス&プリン、笹寿司など多くの業者がどんどん入れ替わり、車内販売をする。駅での立ち売りもあり、たった1両のトロッコの乗客に、「いかがですか~」と、民間業者が殺到するような状況だ。

停車駅で、名物のそばをホームから販売する駅が2か所ある。

トロッコ車両だから、窓から販売できるわけだ。

奥出雲おろちの話は、こちら

 

《リゾートあすなろ下北》JR東日本

青森県の大湊線を走るこの観光列車では、「ほっかむり行商隊」が乗り込んでいた。

地元の特産物「食用なたね油」「リンゴかりんとう」「磯岩のり」などを販売していた。

(現在は乗り込むのかは不明)

これは買いたくなってしまうんだよね~。

この話は、こちら

 

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「10連休」ですが、今年の私は土曜休日が仕事です。

それでも強引に2日間、仕事を休んで乗り鉄です。

4月30日には、山梨&長野に出かけます。

5月6日は、全日空機で遠出します。