後輩に後姿を見せる?【38】 | 車内販売でございます。

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車内販売を15年半で11000回を利用してきた「車内販売大好きな乗客」が書くブログです。 多数の観光列車に乗り鉄しています。

 首都圏の普通列車グリーン車のアテンダントさんは、腕の良いベテランから、まだまだの新人も乗務している。腕の良い先輩が、意識がさほど高くない新人に、どう接するか。2つの対照的な?例を今まで見てきた。

 

★後姿を見せる★

 首都圏の普通列車に、グリーンアテンダントが乗務するようになって、まだ間もない10年近く前の話。

 当時は、大勢のグリーンアテンダントを新規採用した。

 JR東日本で車内販売を担当するNRE(日本レストランエンタプライズ)の別の部署から転籍してきた人もいたようだが、多くのアテンダントは、列車に乗務して客と接する仕事は初めてだった。

 分かりやすく言えば、10年近く前は少数のベテランと、大多数の新人が乗務していたことになる

 新人と言っても、意欲のある人や、客と接する経験が長かった人もいる。しかし、5年10年と乗務しているアテンダントよりは、仕事のレベルは低かったのは事実だろう。

 

 10年近く前のある日、リーダーとして働いていた某ベテランアテンダントは、終電に乗務した。ところが、何と列車が発車する40分前に、ホームに立っていたのに私は気づいた。この日は2月の寒い日だったが、ホームに立って列車を待っていたのである。

 実は当時、今よりもギリギリにホームに着くアテンダントが目立っていた。大多数が新人の時期だったから、まだ意識がさほど高くない人がむしろ主流だったわけだ。

 このベテランアテンダントさんとは一応顔見知りだったので尋ねたところ、何も答えてもらえなかったけど、私が考えるには、おそらく意図したのは、これだ↓。

『自分が早くホームに立って、ギリギリに動く雰囲気を変えたい』

 「みんな!入線前に余裕を持ってホームに立たないとダメだよ」などと言うこともできるのだが、反発する人もいるだろう。率先して動いて感じ取ってもらおうとする姿勢には「偉いな」と、感心してしまった。

 

 

★距離を置いて立つ

 グリーンアテンダントの乗っている列車が終点に着くと、「すぐ折り返す場合」もあるが、「1時間くらい休憩が入る場合」も多い。

 同じ車両に乗って折り返す時は、列車から出ないで乗務を続ける。休憩が1時間あれば、駅のグリーンアテンダントセンター(準備室)に行って、残務処理をしたり、一息入れたりする。

 ある日、次に乗務する列車までが約30分という、中途半端な時間になったカリスマアテンダントがいた。普通は、キャリーバック引いての移動は時間がかかるとはいっても、準備室に戻る。でも、このアテンダントさんは、ギリギリに列車に乗り込むのではなく、列車が入選する前からホームに立つため、そのままホームに立つことにした。

 この時、隣のホームには、1本の前の列車が停まっていて、その列車には仕事に力があまり入っていない新人が乗り込んでいた。最低限の仕事すれば、それでOK!というノリの新人アテンダントだ。

 これを見て、ベテランのカリスマアテンダントさんは、どうしたか?

 何と、イマイチの仕事をする新人アテンダントから見えない場所に移動して、次に自分が乗務する列車を待ったのだった。

 グリーン車が停車する場所に立っていると、新人アテンダントの仕事っぷりがよく見える。でも、先輩が見ていると新人がやりにくいと思って、わざわざ見えない場所で待ったわけだ

 私だったら見える場所に立って、「あんた、もっと気合入れてしっかり仕事しろよ」と、にらみつけて圧力をかけたくなる。しかし、このカリスマアテンダントさんは、新人アテンダントがやりにくいと考えて、見えない場所にいたのである。

 

★思うこと

グリーンアテンダントや車内販売員の仕事は、案外、上からの締め付けは強くない。

関係者からは見られていない時間が長いわけだから、次の列車に乗る予定の先輩が駅のホームで見ていても、その時間だけキッチリすることも、可能と言えば可能だ。

ただ、常連客から長い間見ると、半年乗務していれば、手抜きしているアテンダントでも、何か感じることがあって、「しっかり乗務しなくては」と変わっていく人を大勢見てきた。

「最低限の仕事すれば、それでOK!」というノリのアテンダントでも、自分で感じることがあって自分から頑張るようになることも、強く先輩が言わない理由のひとつなのではないかと思う。