のと鉄道の「のと里山里海号」に乗車してきた時の話、今回は3回目。列車の窓から見える車窓、下車しての駅の観光、そして接客についてまとめた。
【1】鉄道郵便車
途中の能登中島駅では、停車しての下車観光がある。特産物の販売もあるが、鉄道郵便車「オユ10」の見学ができる。
能登中島駅には、全国的にも珍しい鉄道郵便車が、駅構内に停まっている。
郵便物を入れる袋・郵袋を運ぶ貨車なのだが、この設備を見ると列車を走らせながら、郵便物の区分けができるような造りと分かる。
車内には、昔ながらの丸ポストもある。車両自体はかなり古い。他には1両だけしか現存していない車両とのこと。
【2】車窓の景色
「のと里山里海号」は、景色が良い場所3ヶ所で停車して、観光客が楽しめるようにしている。
一か所目は、「深浦地区」の港だ。線路が高台を通っているから、港が良く見える。
2か所目は「七尾湾 ツインブリッジ」だ。遠く見渡すと、2つの橋が見渡せる。ここも景色が良い。このような↓看板も置かれている。
3か所目は「ボラ待ちやぐら」だ。線路の近くの海にいくつかあり、原始的な漁法に使われたやぐらだそうだ。
【3】電飾イルミネーション
七尾・和倉温泉から乗車して、終着の穴水に到着する直前の短いトンネルに、光る装飾がなされている。
プロの業者に任せたものはなく、のと鉄道の職員の手で飾られたものだ。決して派手で豪華なイルミネーションではないが、気持ちが伝わってくる。
【4】車両
のと鉄道には、新型の「のと里山里海号」以外にも、マニアには注目される車両がある。
この↑車両は、「のと恋路号」だ。もう使われていないが、カッコイイ車両と言える。穴水駅のホームで静態保存状態だから、「のと里山里海号」で穴水に行けば、見ることができる。昔、時刻表でしか知ることができなかった車両に会えるのは、うれしい。
のと鉄道の車両には、アニメ柄のラッピング車両がいくつかある。これは「花咲くいろは」の車両だ。他に「永井豪」の車両もある。
【5】スタンプ
「のと里山里海号」の車内にも、乗車記念スタンプがあるが、穴水駅にもスタンプがある。
【6】「のと里山里海号」車内放送
「のと里山里海号」で観光案内や車内販売をしてくれるアテンダントさんの 接客について。
私が乗った時は、2両編成の各車両担当の2人と、放送担当の1人の計3人だった。
この車内放送は、アテンダントさんがコード無しのマイクを着用していて、車内を動きながら観光案内ができる。列車に搭載された設備としては、音質が圧倒的に良い。
往きに観光案内をマイクで話したアテンダントさんは、FM放送のアナウンサーのような話し方だ。話し方、特に語尾がきれいで、上品な話し方だ。音がきれいな放送設備だからこそ活きる話し方と言える。(私は今まで、FM・AM・短波のラジオ、民放・BS・NHK教育のTVで話をしたことがあるが、放送の種類によってアナウンサーの話し方に大きな違いがあるのを実感している)
帰りの列車のアテンダントさんは、イベントの司会者のような客を引き付けることを重視した話し方だ。引きつける話し方は、表情が見えないと、うっとうしくなりかねないが、2両編成で話す人の顔が見えるから問題なく、分かりやすい話し方と言える。
個性的な話し方が、うまくバランスとれていて、面白かった。
【7】気配り
「のと里山里海号」が能登中島駅に着いた。私は当然降りて、駅マルシェに向かって買い物をした。席に戻ったら、コーヒーカップがラップに覆われていた。冷めにくくするためか、ホコリ対策かは不明だが、気持ちは伝わってきた。
地方のローカル線が、観光列車を走らせる場合、ピカピカの新型車両を導入できれば、もちろん魅力的だ。でも、それ以上に、路線そのものに観光的な魅力があることが大事だし、あたたかいおもてなしも大切だ。
とえば、秋田内陸縦貫鉄道は、車両がやや古い普通のディーゼルカーで地味ながらも、乗りに行った観光客は、景色とアテンダントさんの温かさに結構満足して帰っていく。
のと鉄道「のと里山里海号」は、新型車両、酔い景色、温かい接客と3拍子揃った列車だ。観光列車の魅力が詰まっている。
東京からは簡単に乗りに行けないが、今年10月にはJR七尾線に「花嫁のれん」が運転される。これに乗りに行く時には、もう一度乗ってみたい。
「のと里山里海号」の記事は、今回の他こちらもご覧ください。
★「車両編」
http://ameblo.jp/syanaihanbai/entry-12034257730.html
★「車内販売編」
http://ameblo.jp/syanaihanbai/entry-12034716155.html
★「車窓・下車観光編」