【実験】紙コップの保温性能 | 車内販売でございます。

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 車内販売の紙コップが手元に集まった。前回は、これを使って、滑りにくさを測定した。

 今回は、もうひとつ測定したかったことを測ることにした。それは、紙コップの保温性能」である。温かいコーヒーを、どのくらいの間、温かい状態を保つことができるか、実際に測ることにした。




【1】『使用した紙コップ』

 使用した紙コップは、前回の実験と同じく7種類だ。

上の写真の前列右から

A「グリーン車」・・・スーパービュー踊り子グリーン車の紙コップ

B「東海道新幹線」・・・「ひかり」で使われていたICカード使用可の宣伝絵柄

C「JR九州」・・・JR九州の紙コップ

後列の右から

D「JR東日本」・・・はやぶさ等で使われている紙コップ

E「みそ汁」・・・山陽新幹線でみそ汁が入っていた紙コップ

F「山陽新幹線」・・・山陽新幹線でコーヒーが入っていた紙コップ

G「100均くまもん」・・・比較のために100円均一で買った「くまもん柄」


【2】『実験方法』

 65度のお湯を150mL、紙コップに入れてフタをする。実際のホットコーヒーの分量は、150mLより少し少ないくらいだ。

 そして、フタをしたまま温度計をさす。10分おきに温度を測定して、どの程度まで保温できているかをチェックする。




【3】『測定データ』

 65度のお湯は、次の温度になった。データを読むのが面倒な方は、飛ばして【4】に進んでください。

 7種類の紙コップを、上記のA~Gの記号で表示する。測定値は、0.5℃きざみとした。(受験生の方は、最小目盛の10分の1まで読み取るのが適切ですので念のため)


≪10分後≫ なお、この時の室温は21℃だった。

A51.5℃、B51.5℃、C52℃、D51.5℃、E52℃、F52℃、G50.5℃

Gの「100円均一くまもん」以外は、ほぼ52℃。65℃から13℃下がった。ほぼ一致している。


≪20分後≫

A47℃、B46.5℃、C47℃、D47℃、E47℃、F47.5℃、G45.5℃

さすがに「100円均一くまもん」は温度が下がったが、これ以外は1℃の範囲に入っている。


≪30分後≫

A43℃、B43℃、C43℃、D43℃、E43.5℃、F44℃、G41.5℃

30分たっても1℃の範囲内。各社の紙コップで、温度の変化はほとんどないことがわかる。


≪40分後≫

A40.5℃、B40℃、C40℃、D40℃、E40.5℃、F41℃、G39℃

各社とも変化はない。40℃はお風呂の温度だが、飲むと結構ぬるく感じる。


≪50分後≫

A38℃、B37.5℃、C37.5℃、D37.5℃、E38℃、F38℃、G36.5℃

50分たって、ようやく体温に近くなった。ここで実験は終了だ。




【4】『分かったこと』

この実験で、次のことが判明した。

(1)紙コップによる差はほとんどない

車内販売で使われていた紙コップは6種類だ。しかし、温度の変化は1℃以内だ。初め65℃だったお湯が、30分経ったら43℃~44℃で、それぞれの紙コップの断熱効果の差は、ほとんどない。各社の紙コップは、そこそこ断熱効果はあると言えそうだ。

普通の薄い紙コップ「100円均一くまもん」であっても、それより約2℃低い程度で、決定的な差は出なかった。材質を少し工夫しても、大きな差にはならないと言える。

(2)保温時間は結構長そうだが・・

この条件の下では、20分で47℃、40分で40℃くらいと、かなりの長時間、温かい状態で保てる。

「この条件下」というのが、「全く飲まずにフタをした状態」という、あまりない条件だ。普通は、砂糖やミルクを入れてかきまぜ、少しずつ飲んでいくものだ。最後まで150mLの数値だが、実際は100mL、50mLと減って行けば、一気に温度が下がりそうだ。

なお、私は実に変わった飲み方をする。熱い状態で少し飲んで、あとはぬるくなって味が変わった状態で飲むのが好きだから、冷めるのOKだけど。


【5】『他の材質は?』

 紙コップの温度差は、予想に反してほとんどなかった。やや面白くないから、もう一つ実験することにした。

 紙コップでなくて、スチール缶だったら、どうなるだろうか?



 65℃のお湯に、「缶コーヒー・ボス微糖」を15分間入れた。これで缶全体が65℃になった。これをヤカンから取り出して、実験を行った。65℃の鉄は、銅や銀ほどではないが熱をよく伝えるから、2~3秒なら持つことができたが、かなり熱く感じた。

 フタを開けないまま木の板の上に置き、20分経った時点で、缶のフタを開けた。そして温度計をコーヒーの中に入れたら、47.5℃だった。紙コップと全く同じ温度である。紙コップとスチール缶が、全く同じ温度になった。冷めやすさは、紙コップとスチール缶は、変わらないのである。

 もちろん、厳密には同じ条件ではない。たとえば、「珈琲のボス」は中身が185gだから、中身が紙コップより多く、若干有利に働いた可能性はある。また鉄は紙コップより重く、比熱を考えれば更に多くの65℃の水と同等と考えることもできる。


【6】『まとめ』

 確かに紙コップは、断熱効果が高い。でも、せっかく車内販売で、温かいコーヒー頼んだんだよ。冷める前の美味しい時に、コーヒー飲んだ方が、いいんじゃないかな?