Ⅰ.植物相

 

植物相(フロラ)とは、

ある特定の地域に分布生育する植物の総種類数をいう。

佐渡の植物相(シダ植物以上の高等植物の総数)はおよそ1700種。

(亜種・変種・品種を含む)

長崎県一県の種類をこし、

北海道全土の1800種に迫る。

 

植物の豊富さ・多様さ、

これが佐渡の植物相の特徴である。

南北の植物分布境界線とされる北緯38度線が島の中央を通過し、

暖地(南方)植物と寒地(北方)植物がすみわけ、

そのコントラストは鮮烈である。

南方植物北限(15種)の島、

北方植物南限(3種)の島、

また隔離分布(10数種)の島である。

このように佐渡の植物相は①暖地・②寒地・③山地

④高山・⑤雪国・⑥海岸・⑦人里の7つの顔をもち、

表情豊かである。

 

Ⅱ植生

 

植物は1本1本単独に生えているものでなく、

緑のベールとして地表をおおっている。

この植物の集まりを植生という。

佐渡の立地は変化に富む。

その環境匂配にしたがい、

立地に応じた植生の生態配置はみごとである。

海岸型のシオデ(サドシオデ)

 

大佐渡の山地の植生(森林)の垂直分布は、

標高差1000㍍のせまい差の中に①タブ林、

②シイ林、③カシ林(以上丘陵地・100㍍以下)、

④コナラ林(山麓・100~400㍍)、

⑤ミズナラ林、⑥ブナ林(山腹)から・山頂400~1000㍍)

⑦ミヤマナラ林(脊稜部・1000㍍以上)と7つの植生帯が推移し、

垂直分布の「寸づまり現象」がみられ、

日本列島の主要植生帯圧縮され集中分布する。

西三川のヤブツバキ林

 

 

 

「佐渡自然と草木と人間と」(2003)

著:伊藤邦男

引用させていただきました