「同性婚の禁止は憲法違反にあたらない」。
6月20日大阪地方裁判所が原告の訴訟を棄却しました。
原告は「同性婚を認めない民法や戸籍法の規定は、婚姻の自由を保障した憲法に違反する」と訴えていたのですが,敗訴。
裁判所はどのような理由で判断を行ったのでしょうか。
大ざっぱに書いてしまうと,次のような論理です。
「日本国憲法には婚姻は両性がおこなうと書かれている」
「したがって,同性婚の婚姻は憲法で認められていない」
「よって,同性婚を認めない民法や戸籍法の規定に違憲性はない」
--ふ~~む,そう来たかぁ(法律の専門家ではないので,まとめ方におかしな点が多々あるかもしれません。ご容赦を)。
勤務校での高校3年生との授業は,
「日本国憲法と民主政治」の単元に入っています。
平たく言うと,「日本国憲法にはどのようなことが書かれているのか,そして,どのように現実の生活(政治・経済・社会)に反映されているのか」を学ぶことです。
憲法や法律を学んでおもしろいと感じることがあります。
それは「書かれていることがすべて」。
であり,同時に「書かれていないこともすべて」であるということです。
ややこしくなったので,話を「同性婚」に戻しましょう。
日本国憲法第3章「国民の権利と義務」第24条
「婚姻は,両性の合意のみに基いて成立し,夫婦が同等の権利を有することを基本として,相互の協力により,維持されなければならない。」
「2 配偶者の選択,財産権,相続,住居の選定,離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては,法律は,個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して,制定されなければならない。」
裁判所が依拠したのは「婚姻は,両性の合意のみに基いて成立」という部分です。
両性すなわち「異性」。「同性婚は想定されていない」という論理です。
このことの是非はひとまずおきます(当事者の方,勝手に「おいて」ごめんなさい)
「憲法の条文と異なるから認められない」--あれ?そうなんだ。
ボクの脳裏に浮かんだのは日本国憲法第9条。
日本国憲法第2章「戦争の放棄」第9条
「日本国民は,正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し,国権の発動たる戦争と,武力による威嚇又は武力の行使は,国際紛争を解決する手段としては,永久にこれを放棄する。」
「2 前項の目的を達するため,陸海空軍その他の戦力は,これを保持しない。国の交戦権は,これを認めない。」
「陸海空軍その他の戦力は,これを保持しない」と明記されています。しかし,自衛隊は存在している。
どうして?それは歴代自民党政権が「自衛隊は,自衛のための必要最小限度の「実力」であり,「戦力」にあたらない」という論理を貫いていて,裁判所も事実上容認しているというのは周知のこと。
「憲法の条文と異なるから認められない」--ですよね。
この点に関する政府見解
「憲法第9条第2項で保持が禁止されている「戦力」にあたるか否かは,わが国が保持する全体の実力についての問題であって,自衛隊の個々の兵器の保有の可否は,それを保有することで,わが国の保持する実力の全体がこの限度を超えることとなるか否かにより決められます。」( 防衛省・自衛隊のホームページ→「防衛省の取組」→「防衛省の政策」→「憲法と自衛隊」より 2.憲法第9条の趣旨についての政府見解
防衛省・自衛隊さん,ごめんなさい。
上の文章の日本語は一読しただけでは理解できませんでした
憲法に「戦力は保持しない」と明記されていても,
「実力」と言えば容認される。
ならば,憲法に「両性の合意」と明記されていても,
読み替える途があるのでは?
一瞬ボクはそう考えてしまったのですが,どこかオカシイのでしょうか。いかんせん,法律の専門家ではないので,考えを深めておきたいのです。
「基本的人権の尊重」の授業は2学期に行います。
生徒たちにいい加減なことを話すわけにはいきません。
どなたか教えていただけると嬉しいです。