「同性婚」と「外国人参政権」~~日本国憲法を学ぶ | 紙風船

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中学校と高校で社会科を教えています(いました)。街探検や銭湯が大好き。ピクトグラムや珍しいものが好き。でも一番の生きがいは、子どもたちに「先生の授業、たのしい」と言ってもらえることです。

「同性婚禁止は合憲」からはじまる話題の続きです。
大阪地裁の判決は「同性婚禁止は合憲」としつつも,次のような一文もありました。


憲法が同性婚や,それに準ずる制度を禁止していると解釈すべきではない。国の伝統や国民感情,時代ごとの夫婦や親子関係などを踏まえ民主的に決められるべきだ

 

つまり,今後の社会状況の変化によっては同性婚などを認める立法措置を取らないと憲法違反になりうるということです。

なんか,ここが,憲法(法律)論のおもしろいところだなぁと思うのです。
(A)「憲法は婚姻を異性間のことと規定している」
(B)しかし「憲法は同姓婚を禁止しているわけではない」
--高校生が(A)(B)を理解してくれるかなぁ?


ボクも「専門家」ではないので,きちんと理解できていない気がしますが,
大ざっぱに「ダメと書いていないのだからダメではない」
--こういうことでいいのでしょうか。

そう思ったボクの脳裏に浮かんだのは「外国人参政権」です。
「日本に在住する外国人に参政権を与えないのは憲法違反だ」という訴訟です。
これまでに,国政参政権,地方参政権,国政被選挙権について請求裁判が行われ,いずれも最高裁においてすべて請求棄却されてきました。
その理由は大ざっぱに以下のような内容です。

日本国憲法第3章「国民の権利及び義務」第15条
「第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
3 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。」

ここでいう「公務員」には「国会や地方議会の議員、地方公共団体の首長」が含まれます。
「公務員の選定=選挙」を行うのは「国民固有の権利」と憲法は規定している。
だから「国民ではない外国人に参政権を認めないのは合憲である」という論理です。

(ちなみに,「国民」というとなにか分かった気になってしまいますが,その定義は憲法には明記されていません。
日本国憲法第3章「国民の権利及び義務」第10条「国民たる要件」
「日本国民たる要件は,法律でこれを定める。」)

ところで,1995年の最高裁判決に次のような一文が書かれていました。
「憲法は法律をもって居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至った定住外国人に対し地方参政権を付与することを禁止していないが、それは国の立法政策にかかわる事柄であって、そのような立法を行わないからといって違憲の問題は生じない」
 

先程の「ダメと書いていないのだからダメではない」と同じ論理ですね。
この一文はその後のに参政権付与運動の根拠とされています。

また,2010年菅・民主党内閣は,

この一文を「最大限尊重しなければならない」とする政府答弁書を閣議決定しています。

「同姓婚」が,日本国憲法を改正することなしに「国の伝統や国民感情,時代ごとの夫婦や親子関係などを踏まえ民主的に決められる」そんな日がくるのかもしれない。

 

それならば,「外国人参政権」もまた認められることがあるのかもしれませんね。

決めるのは誰か?

「民主的に決める」--その主体は,国会ではありません。

ボクたち「日本国民」です。


ボクたちが「同性婚」や「外国人参政権」をどう考えるのか。

 

それを「日本の国益」の問題と考えるのか,

「個人の基本的人権」の問題と考えるのか,

焦点はそこにあるのかもしれません。

 

いや,ひょっとして,「日本の国益」と「個人の基本的人権」を二項対立のように考えること自体がおかしいのかもしれません。

 

あなたは,どう考えますか。