「カオルコちゃん、何かイイ事でもあったの?」
石川さんが私の顔を覗き込む。
『はい!?な、なにがですか!?』
石川さんの問いに、不意に潤さんの事を思い出し動揺・・・
「・・・もしかして、彼氏できた??」
『はいーーーーーーーーーーーー!???』
この人は、サイコキネシス??
「この前、言ってた男と上手くいったの??」
『このまえ??』
「え?もしかして覚えてない??」
『はい・・・』
「あー、相当酔ってたしね。ほら、焼き肉食べに行ったでしょ?」
『行きましたね・・・』
気がついたら家に居たあの日・・・
石川さんと何を話したのか、どうやって帰宅したのか、全く記憶にないあの日。
「その時に、色々話してくれたのに。酔うと素直に話してくれたんだけど・・・」
『全く記憶に無いです・・・』
「マジかー・・・」
少し残念そうに肩を落としたような気がした。
「・・・ま、でも、上手くいったのなら良かったよ!!カオルコちゃんの幸せが俺の幸せだから!!」
そんなクサいセリフに少しだけ胸がときめいた。
「相談ならいつでものるから!!」
・・・私はあの日、石川さんに何を話したのだろうか。
「なあ、カオルコ!!聞いてた??」
私の左の頬を潤さんがつつく。
『え!?ごめん、トリップしてた・・・』
「んだよ、妄想してたんだろう?(笑)」
『すんません・・・』
「だから、、、旅行行こうって!!もう少ししたら、休みも取れるようになるしな!!」
『え?』
彼からの突然の提案に驚く。
「あ?カオルコ、旅行したいって言ってたろ?だから一緒に行こう?嫌か?」
と不安げに私を見つめる。
『嫌な訳ない!!ただ驚いただけ。・・・嬉しい。。ありがとう!!』
以前、私が言った小さな希望を、忘れずに気に留めていてくれたことが嬉しかった。
「俺も嬉しい!!」
そう言って嬉しそうに微笑むと、私を優しく抱きしめた。
♪♪♪
『潤さん、携帯鳴ってる。』
「・・・・。」
私を抱きしめる腕に力が入る。
『仕事の電話じゃないの??』
「・・・・くそ!!」
『こらこら、先生の力が必要なんだから、そんな事言わないの。』
「・・・分かってる。でも、俺は今カオルコと一緒にいたの。」
・・・嬉しすぎる、そのセリフ。
渋々、電話に出る。
「これから、少しだけ病院行ってくる。先に寝てていいからな?」
『私、潤さんの部屋に居ていいの??』
「当たり前だろ?俺が帰って来た時、カオルコが居ないと寂しい。」
えーーーーーーーー!??
なんですか??
その少女マンガみたいな御言葉!!
私、死にそう・・・
『わ、わ、私も寂しい。。だ、だから、待ってる!!』
いつもなら、きっと、恥ずかしくて言えない。
でも、私は決めたの。
素直になるって。
嬉しいことは言葉や身体、態度で表現しようって決めた。
「・・・!!んだよーーーー!!」
と、潤さんに抱きしめられた。
私も、彼の背中に手を回した。
「そんなこと言われたら、いけねーし。。。」
『さ、寂しいけど、、、気を付けて言って来てね??』
「・・・んじゃ、チューして?」
彼の唇に自分の唇を重ねた。
「よし!!行ってくる!!」
彼は急いで準備をし、病院へと向かった。
彼の居なくなった部屋。
私には広すぎて、、、急に寂しくなった。
彼は・・・太陽みたいに明るくて、私に元気をくれる。
言葉遣いは乱暴だけど、言葉自体は優しいことは知ってるんだ。
何よりも、その優しさを行動で示してくれる。。
そのおかげで、私は、彼がよりいっそう愛しく思える。
私も彼みたいになりたい。
そう思った。