時計を見ると、既に0時を指していた。
明日も仕事だから、眠らないといけない。
でも、眠くない。
潤さんが居ないから?
リビングの本棚・・・
私はおもむろに本棚から一冊の本を取り出した。
もちろん、心外の本。
症例とか術式とかが書いてある、難しそうな本。
難しい本を読めば眠れる(笑)
ペラペラとページを捲る。
やっぱり、難解です・・・
心外って、難しいと再確認。
すごいな、潤さん。。。
でも、少しでも、彼に近づきたい。
難しいが頑張って読んでみる事にした。
・・・・ね、眠い!!
私のバカな頭ではナカナカ理解できず、徐々に眠気が襲ってきた。。
ペラ、ページをめくると・・・
1枚の写真が挟まっていた。
手に取る。
!?
その写真には、今より少しだけ若い潤さんと・・・
とっても可愛らしい女性が映っていた。
潤さんは、とても優しい笑顔を浮かべ、女性の頭に手を置いている。
隣に映る女性も、優しく微笑んでいる。
私とは違って、可愛らしくて、小柄で華奢で、透き通るように白い肌、、。。
フワフワしていて・・・
儚げな人。。。
胸が痛くなった。
きっと・・・
この可愛らしい女性が、
潤さんの大切な人。
根拠はないけど、そう確信した。
潤さんの家には写真が全くない。
それなのに、本に挟んであったこの写真。
きっと、なにか意味があるはず。
私は初めて潤さんと逢った時の事を思い返した。
「大切な人がいなくなったら・・・どうする?」
その言葉を反芻していた。
今を、未来を生きる。
過去に拘らない。
そう思っていたけど、その写真はそんな私の決意を鈍らせた。
彼が大切に想っている事が写真からも伝わる。
私ではなくて、この可愛らしい女性を想っているの?
以前は、それでもいいと思った。
でも、こうやって写真を見ると、、、
途端に不安や悲しみ、嫉妬・・・
汚らしい感が湧き出てくる。
もう写真を見て居たくなくて、元のページに戻し、本を本棚へ返した。
遥介も同じ気持ちだった?
今頃、遥介の痛みや葛藤が理解できるなんて・・・
あの時・・・
遥介は、前を向けない私に何をしてくれた?
・・・ただただ傍に居て、私を支えてくれたんだ。
私に出来るかな?
簡単なようで、難しい。
できる?
この日、潤さんは帰って来なかった。
私は、一睡もできず、そのまま出勤した。