ボクシング進化論 | ボクシング原理主義

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ボクシングの原理原則に則っとりながら技術論や方法論を分析考察。技術や意識の向上を目指したい、いちボクサーの見識メモ。
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 「私の期待と予想を裏切り、15点差(3者一致)というシャットアウトで勝利したウラジミール・クリチコ

エマニュエル・スチュワート氏無き現在は弟子兄弟であるジョナサン・バンクスだったかをトレーナーにつけ、敬遠されがちで退屈と受け取られがちなヘビー級のボクシングからの脱却を図る様に少し前から色んな事を試していたクリチコ。

そして今回姿を現した新生クリチコは、上手くなったというより汚くなっただけだった。
個人的には12ラウンドがあっという間の面白い試合だったけども、普通に見ている人からすると余計に面白くなくなっているなと考えさせられた試合だった。


逆に、アレクサンデル・ポベトキンは試合はボロ負けしたけども、期待に違わぬ動きや速度、打たれ強さや根性をみせ私の中では株がまた上昇した。おそらく、背が高いと言うだけで抜擢されたでろうカカシ同然のレフェリーや目前で理想に向かって暴走するサイボーグという地獄絵図をよく生き延びたものだと感心する。



アメリカでは新生ミゲール・コットが降臨。
予想をいい意味で裏切る展開で3ラウンド、代名詞である左フック一閃で実力者デルビン・ロドリゲスをKO。

売れっ子トレーナー、フレディー・ローチの手腕が輝いた試合で、公開練習でのインタビューでローチは「コットはオーバーワークしすぎていた、私なら彼を蘇らせる事ができる」と発言。

エマニュエル・スチュワート氏も以前、「コットをアマチュア時代の動きに戻す事が出来れば偉大な可能性がある」と同じ事を試みる発言をしていて、今回ローチの手によってそれが実現したわけだ。

言葉通りの復活劇だったわけだが、新生コットは速い。
動きが軽やかで、アマチュアやプロ前半ぐらいを思い起こさせるアップライト・セミクラウチ気味の構えでウェイトも後ろだった。

ボクシングというスポーツは行為の有効性を競う競技である事を考えると、
速い上にディフェンスやカウンターの数が減らず、武器である左を効果的に連発し、動きの軽快化に成功した脚のバランスとそれに伴うリングジェネラルシップの有効性は彼の残りの試合に大いに期待を抱かせる。


アンダーのテレンス・クロフォードは技巧派のアレクセイ・クリモフを100-90(三者一致)で完封。

やはりクリモフ系のあの跳ねるスタイルはシンジロク同様にこれからはもう通用しないと思わせる。
ロペスやジョニゴンのようにワンツー意外にも長いフィニッシュブローがあれば話は別だが、やはり沈み込むインファイトやカウンターがますます発達していくであろうこれからのボクシングではステーショナリーなファイターが多いメキシコや東洋意外では姿を消す事になりそうである。

という事は、ライト最強かもしれないミゲール・バスケスも、おそらくクロフォードには勝てない。」


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