メイウェザー対ゲレロ考察 | ボクシング原理主義

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ボクシングの原理原則に則っとりながら技術論や方法論を分析考察。技術や意識の向上を目指したい、いちボクサーの見識メモ。
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練習後あまりの腹痛に死を想像し、


ベルトも巻かずに野たれ死ぬ事を嘆きながら、


回復した。


姫路の黒い犬、きむらです。


ブローナーとマリナッジは本当にやるみたいですね。

6月の22日に。



ところで、


5月4日に激突するフロイド・メイウェザーJr


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ロバート・ゲレロの一戦について。


この試合、構図はドネア対リゴンと同じでオーソドックス対サウスポー。


この試合で注目されるべき二つの事、それは「ステップオーバー」と「ショルダーロール」です。



「ステップオーバー」とは本来はサウスポーの技術です。(違う使い方がありますがそれはまた別の機会に)

サウスポーが右構えと向かい合うと鏡写しになる。

そこでクロスを当てたい方は前足を相手の前足の外側に踏み越える(ステップオーバー)事でそれを可能にするフットワークの事をそう呼びます。
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ステップオーバーでダイレクトクロスを当てるパッキャオ!



「ショルダーロール」とは日本で言うところのL字ガードの事です。


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「ショルダーロール」または「フィリー・シェル」と呼ばれるこの構えは、あらゆるディフェンステクニックを一緒に用意した状態の事であって、決して単一の技ではありません。


ロール(回転)自体は古典的なボクシングにおいてはボビングやウィービングと並んで最も基礎的なスリッピングに他ならず、「高等技術」というのは誤認です。


デフェンス技術を一つ一つ習得していない選手には扱い難い構えです。



さて、メイウェザーは昔からサウスポーに弱いと言われてますね。

デマーカス・コーリー戦、ザブ・ジュダー戦、そしてオーソドックスでもリッキー・ハットン戦やシェーン・モズリー戦は相手が瞬時にスイッチ(サウスポーに切り替える事)した事でパンチを当てられた。


その理由は、「ショルダーロールはサウスポーには通用しないから」だとされています。

単純にパーリングが効かないからでしょう。


確かに
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ジェームス・トニー対ワシリー・ジロフでもそうでしたが、L字ガードはサウスポー相手だと被弾率が高くなる傾向にあるようです。


しかしエイドリアン・ブローナー対アントニオ・デマルコはそういうわけでは無かった。


そしてアンドレ・ベルト対ロバート・ゲレロは正にそうだった。


ここで二つの試合を比較する時に注意したい二つの点があります。


一つはアンドレ・ベルトをメイウェザーら真のボクサー達と同等に認識する事。

ベルトにそんな技術はありません。どっちかというとジャン・パスカル的なフィジカルだと思います。ベルトをベタ誉めする人がいますがよお分からん。


2つめは、ナチョ・べレスタイントレナーも24/7で言ってましたが4・5・6・発と続くコンビネーションを打てばL字は崩れるという認識です。L字に限らずバランスを崩すというのはボクシングにおいては致命的ですが、バランスの維持力というのは個人差で、確かに優れた意見だと感じますがスタイルの穴とまでは言えない気がします。


この2点を踏まえて、もっと単純に二つの試合を比較した結果出てきた答えは


サウスポーが半身を切っているかいないかの差でした。



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スクエアスタンスからクロスを出すデマルコと


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半身で闘うゲレロ。


メイウェザーはサウスポー相手だと、とても攻撃的になりダイレクトクロス(いきなりの右)を多用します。

この時メイウェザーは半身ではなく正面向き。


ゲレロは前に出ても受けに回ってもインファイトにならないと半身から出ない。


ゲレロが逆にメイウェザーを半身で迎撃しようとするかもしれない。

そのためにはインファイトでの能力が問われる。世界でも本当にインファイト出来る選手というのは少ないと思いますがゲレロはやはりその少数ではないでしょう。


ではメイウェザーは攻めていってインファイトに自分から持ち込みたい。

ベルトみたいにゲレロに攻め込まれて変な状態からのインファイトにはしたくない。



このレベルの試合で「ステップオーバー」がどちらかをさほど優位に立たせる、という事は無いと思いますが、必ず気をつけておかないといけない点ですね。


つづく



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